表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼なじみ未満。こじらせ初恋に決着を  作者: 阿衣真衣


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/22

込めた思い…

白木(しらき)さんって、藍葉(あいば)くんから今までどんなお返しもらったの?」


(何か、久しぶりに柊斗(しゅうと)のことについて聞かれたなぁ)

「今年初めてあげたから、貰うも何もなかったけど」

「え、嘘!? 今まであげたことなかったの!?」


(そんなに驚く?)予想以上に驚かれて、逆にびっくりした。

「…うん。前に話したけど、家が隣ってだけで、別に仲良かった訳じゃないから」

「まあ、頻繁に話してるのは見ないけど… でも、普通に話してるし、体育祭の時も… ねぇ?」

一緒にいた子も、その言葉に、うんうんと頷いていた。


「それは…」

確かに、高校に入ってから柊斗と話したり、一緒に帰ったり、遊園地に行ったり、体育祭で助けてもらって、手も…それに、初めて誕生日もお祝いした。

(そういえば、みんなと一緒に柊斗といる時間も多かったな…)


「じゃあさ、今まで誰かにお返しあげてたとかは?」

「えっと… うちの学校、バレンタイン禁止だったから…」

「そっか~ でも、藍葉くんだったら机に入ってたり、家に渡しに行った子とかいそ~」「お願いされたりとかなかった?」


「あはは~」

(お察しの通り… いろいろありましたよ…)



「で?いつ渡すの?」

「…」

麻琴(まこと)があそこから取ったらどうするんだよ」


朝陽(あさひ)が指さす方には、「お返ししなさい」と母に言われ、柊斗が用意した個包装のお菓子の箱。

誰から貰ったか把握していないので、あげた人に自分で取ってもらうことに。

(みなと)もこの方法で返していたと言うので真似した。


「ちゃんと用意してんだろ?」

「うん。湊からも預かってる」

「それなら、一緒にサラッと渡せばいいじゃん」

(それはそうだけど…)



「見て!藍葉くんからのお返し!」「えー!もらったの!?」

ドクン―(柊斗から?)

教室に入るなり、その子は友だちに自慢げにをクッキーを見せていた。


その様子に、なぜかモヤっとする。

(なんだろ… なんでこんなに嫌な感じがするんだろ…)


周りが「すごーい」と言うと、その子はハハっと笑って、

「なんちゃって! 貰ったっていうか、教室にクッキーの箱があって、あげた人はそこから貰ってって~って感じで置いてあったの。さすがに、一人ずつ返すなんてキツイもんね。

用意してくれるだけ、ありがたいよ~」

と説明し、それを聞いて周りも「なーんだ。そういうこと」と笑う。


(なんだ…直接もらった訳じゃないんだ)ホッ

?(気分が治った?)


「あぁ~藍葉くんからのお返しね… 教室に置いた瞬間、ざわついてたなぁ」

「でも、いい方法だよね」

「麻琴は?柊斗くんから貰った?」


「ううん。ないよ」

「まさか、取りに行かないよね?」

バレンタインの件もあって三人は少し不安そうに麻琴を見る。

「行かないよ~」


(((よかった…)))

「ほら!用意してるけど、渡すの見られたら騒がれそうだし、タイミング見てるのかも」

桃花(ももか)の言葉に二人も、そうそうと頷く。


「そんなことあるかな? そういえば、ゆづは?朝陽くんから貰ったの?」

「うん。キャンディーブーケ。リクエストしたんだ~」

ここに来る前に朝陽から貰った紙袋の中から、カラフルなキャンディーブーケを見せる結月(ゆづき)

「「「可愛い!」」」


(お兄ちゃんからはお返し何がいいって聞かれたけど、柊斗からお返しの話とか何もなかったし、せっかくだから、放課後余ってたら貰おうかな…)



「…」

(渡すタイミングがわっかんねぇ…

見られて何か言われるのもアレだし、もたもたしてると帰るよな…

部活終わり家に寄る?いや、迷惑だろ)


柊斗が考えていると、結月と桃花が話をしながら教室に戻ってきた。

「二人は放課後いつもの喫茶店か~ いいな~」

「今度四人で行ってみたくない?」


(なんだろ…聞こえるように言われてる気がする)

「ってよ? 帰る前に渡さないとな~」

そう言って結月に話しかけに行く朝陽。



(藍葉くんなら、お返し絶対用意してるから、いつもと違う雰囲気の麻琴ちゃんで驚かせよ)

「二人戻っちゃったし、久しぶりに髪やっていい?」

「うん。お願いしま~す」


天音(あまね)にアレンジしてもらっていると、朝陽が来て「これ」と一枚の紙を差し出してきた。

「何?」

聞いても何も言わず、ニコッと笑う朝陽から、一応その紙を受け取る。


貰った紙を開くと、丁寧な字でメッセージが書かれていた。

〈渡したいものがあるから、放課後、美術室のとこの中庭に来てほしい 柊斗〉


(渡したいもの…)


「天音ちゃん、先に涼子(りょうこ)さんのところ行っててもらっていい? 後から行くから」

「オッケー ゆっくり来ていいからね」

全てを察したような含みのある天音の笑顔と言葉に、なんだか気恥ずかしくなった。



「じゃあ、あとでね」

玄関で天音と別れ中庭に着いたが、まだ柊斗は来ていなかった。

(初めて来た…)

「まだ咲かないか~ いつ咲くかな」

中庭にあった桜の木を見上げる。


(来てくれた… ってか、朝と髪型違う。 …かわいい)

来てくれなかったらどうしようという不安は、その姿を見た瞬間に吹き飛んだ。


木を見上げていた麻琴は柊斗が来たことに気付き、笑顔で軽く手を振る。

いつもと違う雰囲気に少し緊張する。

「急に呼び出してごめん、ありがと」


「全然」

二人だけしかいないからか、今日の学校の雰囲気がそうさせるのか胸がムズムズする。

(なんか緊張する…)


「これ渡したくて。クッキーのお礼」

持っていた紙袋を差し出すと、麻琴は袋の底を両手で受け取った。

「ありがとうございます」


紙袋を見つめ、笑っている顔は、麻琴が本当に嬉しい時に見せる顔だった。

(喜んでもらえてよかった)

「袋かわいい。なんか、たくさん入ってるけどいいの?」

「うん。俺は誕生日もらったけど、あげてなかったから、その分も入ってる」


「いや、それは…」

「それでも、俺の気持ちだから」

「……ありがとうございます」

(それにしても、多い気がするけど)


「あと湊からも預かってて…」

「あぁー!湊さんからの分も入ってるのか!」

勘違いしている麻琴の言葉に焦り、もう一つ持っていた袋をバッと差し出す。

「違う!湊からはこれ」


「え? あ、ありがとう」

(ということは、こっちは全部柊斗から…すごいな…)


(ちゃんと全部俺からって伝わったよな…)



「いらっしゃいませ。あ、麻琴ちゃん」

「こんにちは」


麻琴に気付き、カウンターから軽く手を振る天音。

「用事はどうだった?」


「お返しもらったよ。湊さんから預かってる分も渡してくれた」

「よかったね。ちなみに、何もらったの?」

「なんかいっぱい入ってて…」

袋に入っていたお菓子をテーブルに出す。


二種類のマカロン、カラフルなキャンディー、四つのマドレーヌ、キャラメル一箱。

「これ!前にHaruとコラボしたお店のだ!すごーい!」

「ホントだ! 麻琴ちゃんがHaru好きって知ってて入れたんじゃない? 彼氏すごいねぇ」

「彼氏じゃないですよ~」


テーブルに置かれたお菓子と、麻琴の話を聞いた天音は柊斗に感心していた。

(藍葉くんすごいなぁ… 二人とも気付いてないけど、これって全部…)

「ホントすごいね! 結月ちゃんと、ももにも見せてあげたら?」

(二人なら通じるはず)

「うん。あっそうだ、柊斗にももう一回お礼言っとこ」



〈お菓子ありがとう! 

 Haruとコラボしたお店のキャンディー入ってて、びっくりした! 食べてみたかったから嬉しい!

 たくさんの可愛いお菓子、本当にありがとうございます!〉


(喜んでくれてる… めっちゃ嬉しい…

この感じだと、予想通り意味は全然わかってないんだろうな)


一つ一つに込められた意味を麻琴が知ったとき、どういう反応をするか気になるけど、少し怖い。

でも今は、喜んでくれていることを喜ぶことにしよう。


「おつかれ~ 帰るか…」

スマホを見る柊斗の顔は、いつものクールな表情ではなく、誰がどう見ても嬉しそうに笑っていた。

(わっかりやすいなぁ~)


((―…こんなん、告白してるようなもんじゃん!))

麻琴から送られて来たラインを見た結月と桃花は、お返しの内容を見て柊斗の思いがわかったが、貰った当の本人は、飴のことしか言ってなく可哀想になってきた…

((意味を知ったらどうするんだろう…))


麻琴が柊斗の思いに気付くまで、あと…





~ホワイトデー当日、付き合って一ヶ月の人たち~


「はい涼子」

「ありがと。なんか色々入ってるね… あ!この飴!」

「そ。Haruとコラボしたとこの」


「すごっ」と言いながら、笑う涼子に暁翔(あきと)は自慢げ。

「どう?いっぱい入ってて驚いた?」


「ふふ… ホワイトデーって、ホントにこんなたくさん貰えるんだね。しかも、内容まで…」

「? 内容って?」

「実は、お店に来てた子がね…」


「…マジかよ。そいつすごいな…」

(もう、告ってるようなもんじゃん! それにしても、二人揃って鈍感というか… 疎い!一般常識として頭に入れとけよ!

って…あれ? なんか今、一人の高校生が浮かんだような…)


「ほぼ一緒ってすごいね。あっ!私はマドレーヌじゃなくてバウムクーヘンだ。」

助手席で袋に入っているお菓子を見ながらニコニコしている涼子。

(……やっぱり、意味分かってないし)

「実は、一個一個意味があるんだよ。キャラメルは…」


「どう?伝わった?」

一つ一つ説明するごとに、どんどん赤くなる涼子の顔に満足の暁翔。

「それで?検討していた件はどうなったかな?」

バレンタインの日、涼子はある件を検討すると言って暁翔を待たせていた。


「………あ、この絵柄かわいい」

(ま~た、ごまかす)

「ったく、いつになったら… はい、着いたよ~ じゃ、また…」


―…

!?!?!?!?

「―……ちょっ、涼子、今の…」


暁翔の言葉も聞かず、俯きながら逃げるように車を出る涼子。

「送ってくれてありがと! お返しも、たくさんありがと! それじゃ、()()()


涼子の閉めたドアの振動を感じながら、左の頬を抑えたまま、顔を真っ赤にしてうなだれる暁翔。

(―……だから、心臓に悪いって…)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ