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幼なじみ未満。こじらせ初恋に決着を  作者: 阿衣真衣


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14/22

変わりはじめる

「……最近、よく目が合う気がする」

?「誰と?」

麻琴(まこと)と」

「…それは、お前が見てるからじゃね?」


「見た瞬間に目が合ってるっていうか…」

(しっかり見てんじゃん)「同時に見てるってこと?それとも麻琴の方が先に見てるって?」

「…」

「んで?目が合ってどうなんだよ」


「…すぐ逸らす」

「あっちが?」

「…俺が」

「なあ、今度目が合ったら逸らすの我慢して、どういう反応するか見てみれば?」

「……わかった」



(あぁー… 見てるのバレてるかも…)

バレンタインのお礼を言った時の柊斗(しゅうと)の顔が頭から離れず、見かけると、つい目で追ってしまう。

視線に気付いているのか、柊斗はこっちを見て目が合うとすぐに逸らす。

(まぁ、あっちは人から見慣れ慣れてるだろうから、目が合ったところで「なんだ」ぐらいにしか思ってないだろうけど…)


麻琴の気持ちに変化が出始めた頃、颯汰(そうた)(みなと)が高校を卒業する日がやってきた。

『卒業おめでとうございます』「「ありがと」」


式が終わり、グラウンドでは部活の後輩や保護者などが卒業生を囲み、それぞれ写真を撮ったり、プレゼントを渡したりして、卒業を祝っていた。


麻琴は、サプライズで二人の卒業式に駆けつけた玲華(れいか)と一緒に、サッカー部に囲まれていた二人に声をかける。

「湊!颯汰!卒業おめでと」「おめでとうございます」

声に気が付いて、輪から抜けてきた二人は、首にも手にもたくさんのプレゼントや花束を抱えていた。


「玲華!」

さっきまでみんなとニコニコ話していた颯汰の顔が急に真剣になったかと思うと、玲華の前にピシッと立つ。

(((まさか…)))

その様子から、麻琴、柊斗、湊の三人は何が始まろうとしているのか大体予想できた。


「俺と付き合ってください!」

(((…やっぱり)))

周りから「わぁー!」と歓声が上がり、グラウンド中の注目を一気に浴びていた。


「いいよ。大学受かってたらね」

戸惑うわけでも慌てるでもなく、あっさりと言う玲華に、みんな呆気にとられる。

「………マジで?」

いつも断られているので、今回もそうなるだろうと思っていた颯汰は、意外な返答に拍子抜け、一番戸惑っていた。


「うん。ま、()()()()()の話だけどね」

悪戯にニコッと笑う玲華のかわいらしい笑顔に、颯汰をはじめ、見ていた周りは男女関係なく軽いうめき声を上げて、胸を押さえていた。


「颯汰の六年が報われる時が来たかもね?」

いつの間にか麻琴の隣に来ていた湊がボソッと呟く。

「…みたいですね」


「ねえ、前から聞きたかったんだけど、お兄ちゃんのああいう姿を見てどう思うの?」

「あぁ… 正直、恥ずかしいと思うこともありますけど、純粋にすごいなって思います。

 玲華さんに迷惑かけてるかもしれないけど、一途だし、真っ直ぐ素直に思いを伝えられて。」

「わかる」

兄と親友の姿を見る二人は、微笑みながらそんな話をする。


(―……二人で笑って、何話してんだ…? まあ、さっきのことだとは思うけど。

 それにしても、朝陽も颯汰さんもすごいな… まじで、あと俺だけじゃん…)


それからしばらく、写真撮影が続いたが、帰宅するようにとアナウンスが流れたので、全員が名残惜しそうにグラウンドをあとにした。


前から白木家と藍葉家合同で二人の卒業祝いをやろうという話になっていたので、五人で大量のプレゼントを分担して持ち、バス停に向かう。


「そういえば、湊一個もボタン取られてないじゃん。 無いこと期待してたのに」

玲華の発言に、麻琴と颯汰が頷く。

「ああ。 弟が着るかもしれないって言ったら、みんな納得して、ちょうだいって言われなかったよ」

(やっぱ、欲しい人いたんだ…)

「あぁ~なるほど。じゃあ、柊斗に期待するか…」



前を歩く三人の後ろを、柊斗と麻琴が付いていく。

「…こんなにたくさんすごいね。サッカー部一人一人買ったの?」

黙って歩くと、色々考えて逆に気まずくなってしまいそうだったので、思い切って柊斗に話しかけてみる。


「一人ずつから徴収して、それぞれにマネージャーが買ってくれた。」

「そうなんだ。渡すときは?」

「渡すのは担当決めて」

「柊斗は、誰に渡したの?」

「湊。みんなから言われて… 颯汰さんには朝陽が渡した」

「そうなんだ…」


(…せっかく話しかけてくれてるのに、素っ気なくしか返せない自分に苛つく。

 話題を広げられる素質があれば… どうやったら緊張しないで話せんだ…?)


(答えてくれるけど、私そうなんだしか言ってない… 会話がぁ…

 あまり聞きすぎてもウザいと思われそうだし。というか、もう聞き終わったんだけど… 

 三人は話に夢中だか…どうやったら柊斗と普通に会話出来るんだろ…)



「…あの二人大丈夫?」

話したと思ったら、急に黙り込んだ後ろの二人が心配になる玲華。


「う~ん… 高校入って前より話すようになったって聞いたんだけど…」

「バレンタインもあげたって言ってたのにな」


「え!? その話聞いてないけど! ホント!?」

「家で聞いたらあげたって…」

「俺も聞いた。しかも、チラッと見えたけど、俺のとは中身違ってたんだよね~」


話を聞いて、クルッと振り向き二人に微笑む玲華。

意味は分らないけど、とりあえず笑い返す麻琴と、何となく嫌な気がする柊斗。


二人の顔を見ると再び前を向き直した玲華は静かに燃えていた。

「これは、家で詳しく聞かないと」


五人は大量のプレゼントを抱えたまま藍葉宅に入った。

『ただいま』『おじゃまします』


中に入ると、両親達がすでにスタンバイしていて、テーブルにはたくさんの料理が並べられていた。

子ども同士の繋がりはあるが、親同士は特になく、こういうことをするのは今回が初めて。


「改めて、卒業おめでとー」

高校での思い出を聞いたり、卒業式のあとどうだったかの話を聞いた親たちは、颯汰のことを聞いて驚いていた。

まあ、どっちの親も颯汰が玲華を思っていることは知ってはいたから、やっぱりやったか…みないな感じの驚きだったけど…

そうして盛り上がっているうちに、二人が卒業パーティーへ行く時間になった。


「あ、これ二人に卒業祝いで…」

何をあげようか、悩んだ結果ギフトカードにした。

「お菓子とか花はたくさん貰うだろうし、使える物って考えたらこれしかなくて…」

(若干、生々しいけど仕方ない)


「あら、麻琴ちゃんと被っちゃった。私からもこれ」

そう言って玲華もギフトカードを二人に渡す。


「ありがと。嬉しい」

「マジありがたいわ。サンキュー」


会場は学校だけど、パーティーということでスーツに着替えた二人。

写真を撮り終えると、学校までは麻琴の父が送ることに。


残った六人で片づけ、そのままお開きに。

「「ありがとうございました」」

颯汰のプレゼントを母と二人で抱えながら麻琴は帰った。


「さて、詳しく聞こうか」

二人が帰るなり詰め寄ってきた玲華に、やっぱり嫌な予感が当たったなと思った。


「麻琴ちゃんからバレンタイン貰ったって聞いたけど、その時の様子を詳しく!」

「何で教えないと…」

と言いかけたところで、圧がすごかったので仕方なく話した。


「―……思ってたのと違ったわ」

まさかロッカーの上に置かれたとは思っていなかったんだろう、話を聞いている途中から頭を抱えていた。

「でも、お礼は直接言ったんだよね?」

「ん」


「それで?お返しはどうするか決めてるの?」

(そうなるよな…そこが一番の問題…)


「いい?お返しには意味があるのもあるから、しっかり調べてから渡しなさいよ!

 …まあ、麻琴ちゃんが知ってるとは…ちょっと思えないけど。

 もしかしたら、友だちとそういう話するかもしれないし!」

「…それは、調べた」

「へぇ~ちゃんと調べたんだぁ~ 偉いじゃん!」

ニヤニヤしながら、弟の髪をなで回す。


「まっ、頑張って!」

乱れた髪を直しながら、部屋を出て行く玲華に、わかってる…とボソッと呟く。


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