トラップ ②
【闇堕ち少女、怨霊と化す!】
憎悪の炎は死んでも消えない!
呪い系バッドエンドサイコホラー。
日が完全に沈むのを待ってから、恭弥は隣の部屋に忍び込んだ。
室内に踏み込んですぐに、改めて雅の協力に感謝の気持ちが湧いた。彼が用意した合鍵がなければ、こう簡単にはいかなかっただろう。
部屋の照明は点けずに、まずは暗闇に目が慣れるのを待つ。夜目が利くようになったところで、靴を脱ぎ、足音を忍ばせながら奥へ進んだ。間取りは今マコと住んでいる部屋と同じだったため、妙な既視感にとらわれる。
リュックから荷物を取り出し、座卓の上に並べていく。すべて出し終えると、まずは円筒形の卓上スピーカーを手に取り、浴室へ向かった。アウトドア用のスピーカーで、電源コードが不要のタイプだ。
浴室に入って天井の点検パネルを押し上げて隙間を作ると、そこにスピーカーを慎重に滑り込ませる。設置を終えて部屋に戻り、スマホを操作して浴室のスピーカーから音を流す。
「ん?」
いくら耳を澄ませても、浴室からは何も聞こえてこない。音量を少しずつ慎重に上げていく。やがて、かすかな声が聞こえてきた。さらに音量を上げると、恨めしい声がはっきりと聞き取れるようになった。
「こんなもんかな」
きっと、マンションの住人が寝静まった深夜なら、もっと鮮明に聞こえるはずだ。
次に恭弥は、白い壁に掛かる時計を外し、裏側に小型の黒い機器を両面テープで貼り付けた。続いて、カーテンの裾にカッターナイフで四センチほどの切れ目を入れ、その中に厚さ五ミリほどの小型機器を忍ばせる。裾の切れ目は両面テープで仮止めし、同じ作業を三十センチほど離れた位置にも施した。仕込んだ機器は信号を送ると磁力が発生し、互いに引き寄せ合う仕組みになっている。
仕掛けをすべて設置し終えると、恭弥はマコに電話をかけた。
「全部終わった。まず、時計から試してくれる?」
「りょ」
マコからの返事とほぼ同時に、壁掛け時計がカタカタと動き出した。隣室からの操作でも支障なく動くことが確認できた。
「OK、時計は問題なさそう。次はカーテンをお願い」
「らじゃ」
すぐにカーテンが大きく揺れた。こちらも正常に動いてくれた。
「カーテンもOK。じゃあ、最後に壁を叩いてくれる?」
「はーい」
すぐに隣室から壁を叩く音が響いてくる。すべて問題なさそうだ。
「完璧だね。今から戻るよ」
退散する前に、恭弥は白い棚の上のクマのぬいぐるみをわずかに動かした。
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