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ピックの才能

 ピック自身は無能という訳ではない。よくある家柄だけのお坊ちゃんではない。


 ピックの肉体は歴代でもピカイチだが、特に優れているのは、その低燃費なところ。

 そもそもピックが太っている原因はこれだ。

 この異常なまでの低燃費によるエネルギー消費の無さが原因で太っているが、この体に纏わりついているもの自体も常人とはかけ離れたものであり、脂肪単体ではない。


 この肉は脂肪と筋肉、そして謎の肉出来ており、内側の筋肉の周りに脂肪と謎の肉が覆っている形である。

 この謎の肉は、エネルギー消費を遅らすのと同時に体型維持も担っている不思議な肉なのです。

 はっきり言って俺もよく分かっていない。

 だが、これをどうにかしないと、ダイエットは不可能である。ピック自身もこれの存在を知りダイエットをやめた。

 ピックの自殺原因の第二位である。


 ピックと家族の違いとしてあげるとしたら、さっき、ピックの才能を体感する為に、兄妹に協力してもらった。

 身体が鈍っていないかのチェックという事にして。


 ここで、はっきりと実感したピックという生物的規格外さを。


 例えば、ピックの三つ上の兄であり、カロリール家の長男であるサリブール(家族からはサブと言われている。)に、試しにメイドに持ってこさせた打ち込み用の木製人形を切ってもらった手(・)で。


 いや、俺は切ってみてと、この家の実力がわかればと思い頼んだのだ。それを何を思ったのか?剣ではなく、手で切ったのだ。バターを切るようにスパッと綺麗に。


 妹や姉は、もちろんのこと他の使用人含めて誰も驚いてなかった。俺は表情には出なかったが、内心はビックリ仰天である。知ってはいたが、この家の人たち全員が強者なのだと改めて思い知った。


 そして俺がやった場合、人形が砕けた。


 俺も切りたかったのさ。素手でこうスパッと綺麗に達人ぽく。

 でも、無理だった。手に触れた瞬間、バターではなく、豆腐のように砕けた。8歳の男の子が手を横に振っただけでものの見事に粉砕してしまったよ。


 そして、これにも驚かない家の人たち。

 驚くどころか、鈍ってないようで良かったな。など、ピックはこれぐらい出来て当然のように言ってきていた。


 うん、こいつ(ピック)も、化けもんや。この家の子や。


 その後は病み上がりという事で、そんな激しい(この家の基準的に)運動する事なく終わった。


 そんな馬鹿げた身体を持っているピックだが、こいつの最も優れた才能はこれではない。


 ピックの最も優れた才能は眼だ。


 もっと詳しくいうと審美眼。そこから派生した洞察力こそがピックの最たる才能。


 そもそも、カロリール家は武術に優れて成果を上げてきた一族ではない。それは、家ができた後からの話であり、初代から何世代は一族はそこまで強かった訳ではない。


 勿論、弱かったわけでもない。一般人からしたら強かったが、ここまで、化け物じみた人たちではなかった。


 では、どうやって強くしてきたのか、


 それは、優れた危機察知能力と相手の嘘と才を見抜く洞察力からである。


 優れた危機察知で、自分に起きる暗殺などの危険から守り、対策と経験を代々積み重ねる。

 洞察力で、相手の嘘を暴き利用する。そして、優れた者や才能を持った者を見つけ仕えさせたり、貴族同士なら婚姻関係を結んだりと、地道に力を蓄えてきた一族なのである。


 そんな血筋の中、ピックの才能はこの洞察力に極振りしていた。

 肉体的な生まれながらの強者である為か、危機察知能力が乏しいのである。


 これは、これからの人生をも左右する案件である。

 なにせこの世界には、初見殺しの技が沢山潜んでいる。暗殺者なら、初見殺しの一個や二個どころか、持っている技、全てが初見殺しの可能性すらある。


 カロリール家が暗殺もよくある貴族社会で暗殺される事なく、長く生き残れたのはこの危機察知能力があったからである。危機察知大事!


 まぁ、当時に比べて、警備なども万全なので、初代の頃ほど狙われる訳では無いんだが、あって困るものでは、絶対ない。


 ピックは、過去最高の洞察力の代わりに危機察知がマジで無い。


 早急に危機察知に変わる方法を見つけないと、夢を叶える前に死ぬ。

 

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