聖獣
「ところで、キミの名前は?」
ミラード叔母さんが縛り上げられているエルフに今更名前を聞いている。
「…………」
「おい、エルフ!ミラード様の質問に答えろ!」
メイドの一人がエルフを怒鳴っている。
「別に答えなくてもいいよ。ピック。」
「マカ」
「へぇ、マカちゃんって言うんだ。」
もう必要な情報は俺の中にある為、このエルフの名前も知っている。
「それにしてもいい場所ね。この森。」
「うん。気持ちがいい。」
聖地と言われるだけあって森からも心地よい力を感じる。
「私達の拠点はここにしない?」
「そうだね。」
俺もここがしようと思っていた。見た感じ薬草になりそうな植物も多い上に品質も最高だ。土が良い証拠だな。
「ここはどの種族も不可侵な場所だ。お前達が住むことはできない。」
「貴様らの条約など私達には関係ない。」
前世なら問題になりそうな発言をメイドがしているが無視しよう。
「でも、ここを取り合っていたんでしょう?」
「私達はここの所有権をめぐって戦っていただけよ。誰もここに住もうなんて考えもしないわ。」
「勿体ないわね。こんな良い土地なのに使わないなんて?」
「ここには守護神がいる。」
「守護神?」
「聖獣。」
「へぇ、そんなのがいるんだ。」
聖地にはそれを守護する聖獣が存在している。その為、選ばれた者以外聖樹に近づく事も出来ない。
「まぁ、私達には関係ないわね。それも可愛かったらペットにしましょう。」
「なっ!そんなことできないわよ!」
マカはそんな事を言っているが、ミラード叔母さんには関係ないようだ。確かに聖獣だろうが、悪魔だろうが、従えてしまいそうだね。
「立ち去れ……立ち去れ……」
「あれ?なんか言った?」
「いえ、誰も何も言っていませんが?」
確かになんか聞こえたな。
「立ち去れ!!!」
「うわっ!何?いきなり大声で聞こえたけど?どこから?」
「あの奥。」
俺は耳を傾けていたから。声の出どころがわかった。
「ほら、聖獣が怒っているわ。さっさと帰る事を薦めるわよ。」
「え?何言っているのよ。私達が敵に会っていないのに敵前逃亡なんてしないわよ。」
そりゃそうだ。俺たちがそんな事をするはずがない。そんなことしたら勘当もんだ。
「早速行くわよ。」
俺達はそのまま声がする方へ真っ直ぐ進んでいくと森から開けた土地になった。
「あら?すごい大きな木と虎?」
その土地の真ん中に聳え立つ巨大な大樹、その前にいる綺麗な黒い虎。
「へぇ、あれが聖獣?良いじゃない凄く美しくて良い虎ね。ペットにしましょう。」
「ほう……我をペットに?烏滸がましい。身の程を知れ!」
「じゃあ、どっちが下か?決めてみる。」




