魔導基礎概論:I(ざっくり世界設定)
世界のバックボーン。
ぶっちゃけ飛ばしていいやつです。
太古。
天は変じ地は鳴動と共にその形を異とした。
その過程において多くの命が絶え、生き残った生物は慢性的な飢餓に苛まれることとなった。
ここに、二つの種が異なる生存戦略をとる。
一つには、人。当時は猿とそれとの中間のような姿であったようだが、この環境下において火や道具を扱う術を自発的に会得した。所謂知性が、芽生えた。
一つには、とある巻貝。上記の天変地異のきっかけとなったという、空より飛来した大石。そこに付着していた稚貝が、やがて汽水の底に生息するようになったという。それらは水草や微生物を食らう代わりに、自然界における見えざる『力』を取り込み、自らの糧として取り込むことができた。
それでもなお抗しきれぬ飢えゆえか、あるいはそれこそ、知性によるものか。
猿人はこの貝を獲り、我が身に取り込んだという。
この取り込む、という表現は過去の考古学的文献に依るところであり、実際は猿人による捕食であったのか。それとも貝が自ずと彼らを誘い寄生したのか。未だ議論のなされるところである。
とにもかくにも、貝を『取り込んだ』とされる猿人のうち、多くの者が我が身に馴染ますこと、能わず。狂を発す者。死する者。だが一部はそれによく親しみ、貝をその器官ごとに取り込むことに成功した。
そして食料が枯渇した場合には蓄え、変換したその力を代替、消費して飢餓を乗り越えるという生存戦略を採った。
かくして猿と貝は一体となり、その器官によって変換された予備の生命力……所謂『魔力』と知性を有した存在となった。
これすなわち、人類の誕生である。
そして我らの魔力精製器官たる【霊泉】は、その貝の名残であるとされる。
〜〜〜
さて、世界がその秩序を取り戻した後、さらに智恵を増した人類は、その魔力を次第に持て余すようになっていた。
吝嗇さはその第二の生命を別の方向へと有効活用出来ないかという思案に至り、それを肉体の内外に作用させ、神秘の力を得、超常の現象を発揮する技術の開発に熱をあげた。
これが、『魔導』の起こりである。
しかしつい五十年ほど前まで、その魔導は未熟の域を出なかった。
そも、魔力はそのように用いる力ではなく、人体はそれを自在に扱えるようには出来てはいない。
それでも曲がりなりにも形にしようという試みが繰り返されてきた結果、人はさらなるステップに進むことができた。
しかし、それでも代償は常に付きまとう。
術式と自身の魔力出量、質との不和合による副作用である。
自家中毒に陥る者。皮膚のただれる者。臓器不全に陥る者など、その症状は多岐にわたる。
諸王侯が割拠した時代、この魔導研究は軍事利用という明確な目的と大義名分を得て、さらに加速した。
中毒性の強い薬物薬草を用いたトランス状態への突入。呪文を狂信的に唱えることによる自己暗示。あるいは人体そのものの改造。
霊泉の魔力生成量を底上げした兵士を前線に送り出すため、各国で非人道的行為が続けられていた。
もっとも、そうした無道が逆に、魔力の発揮に人類を適応させた、という見方もあるが。
その真偽と是非が明確となる前に、一人の天才が現れた。
それが、ジオ・メトライアである。
老境に差し掛かる前、無名の魔導学者であった彼は、文献調査ために赴いた禁足地にて、『星より来る銀の竜』なる存在に叡智を授けられ、それを祖国に持ち帰ったという。
そして、己が主君に復命した後、彼の全面的な後援のもと、国内の魔導技術を整備していった。
魔導術式の抽出し、体系化する技術『系統樹』を発明。
霊石『エニグマ』を加工し、それを封じ込めて物質化するに成功。
そのエニグマと人との魔力との接続装置『クラドス』を開発。エニグマに使用者の魔力を流し込み、その放出量や適正に応じ、系統樹内で使用可能な術式を最適化させていく。
かくして魔導の安定した運用が可能となり、それすなわち軍事の革命をも引き起こす。
彼の祖国は、地方に拠る小勢力から一転して群雄となり、王を号し、やがては帝国となって当代の皇帝の宣言をもってして有史以来、初めて大陸統一を果たした国家となった。
その前後において、拡大する需要からエニグマの精錬事業は官民一体となって行われることとなる。
現在、その大部分を担っているのは、以下の四社である。
最初に資材と術式および研究地を提供した騎士団の系譜であり、なおクラドス製造技術を独占するクロノ・ナイツ。
それに次ぐ古株である召喚術・形象の術式を得意としたランドバーク家の、総合商社サイクロン・エンシェント。戦が終わりを向かうにつれ、クロノ・ナイツと商圏を争うようになった。
精霊術の大家であり、この中では新参たる、ヤアド家のマギカ・エンテ。
そして、ジオ・メトライアの後裔にして、幾多もの新興術式を世に輩出した天才タウマト・ポイアー卿率いるレイヤード・オウルである。
(【要出典】 ポイアー卿が本省に提出された系譜図には数多の疑義あり。また、功績においても再検討の余地大)




