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異世界転生したらスプリングハンマーだった  作者: 夕凪 瓊紗.com


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6/10

【6】スプリングハンマー、ダンジョンに行く



――――スプリングハンマーは今日もいろんなことを学んでいる。


まずスプリングハンマーの原動力は魔石である。


「俺って魔力で動いてるんだ」

なお、ヒト型の時はその魔力を消費しないで動けるようだ。


「だけどお腹が空く」

前世人間じゃなかったら分からなかった原因だ。


「ならほら、パンを食え」

「わーい」

リューイさんがお裾分けのパンをくれる。


「カロクたちは今土入れか」

「うん、何だか絵の具みたいだった」

それも俺の経験値になっている。


「いろんなことを学ぶなぁ」

「だな。ひとえに刀と言ってもいろんな行程があるし、鍛えた後も研ぎやら拵えやら。まぁ他の武器でもそうだが」

「よくある異世界ファンタジーもののように1週間で出来たーってのは?」

「そんなことできたら神業だよ」

『神でも無理。クスクス』

どこかから上司の声がする。

最近気が付いたのだが、ヨウさまがはっきりと俺の前に姿を現すのは火床に火が灯っている時。それ以外は微弱でありこうして声だけ届けてくることも多い。


「そういやハルは刀の材料については知ってるか?」

「えっと……玉鋼だろ?」

「アタリ」

「そう言えばこの世界では玉鋼をどう造ってるんだ?やっぱりたたら?」

だとしたら東国から材料がこちらに送られてくるのだろうか。


「うーん、当たらずしも遠からず」

「どう言うこと?」

「こちらの世界では玉鋼は鉱物系ダンジョンで手に入る」

「ダンジョン!」

この世界にもダンジョンがあるのか。確かにリューイさんも冒険者。冒険者がいるならダンジョンがあっても不思議じゃない。


「ここいらのダンジョンでもミスリルやアダマンタイトと合わせて玉鋼などの希少鉱物も手に入るぞ」

いや、ミスリルやアダマンタイトも希少なのでは?玉鋼はもっと希少ってことかな。


「鉱物系ダンジョンだと鉱物が湧き出る頻度なども大体周期的だ。その中でも玉鋼は採集したら後1ヶ月待たないといけない」

「1ヶ月!?」

「そう。玉鋼は人間の代わりにダンジョンがたたらに相当するもので造っていると言っても過言じゃない」

たたらも時間がかかるように、ダンジョンでも時間をかけて生成してるのか。


「そんなんだから玉鋼が採れるダンジョンでは大体採掘免許がないと玉鋼が採れない」

「気軽にダンジョンに採りにいくってのはダメなんだ」

「そうなんだが……次は俺が採集出来る当番だから……一緒に来るか?」

「わぁ、いいの!?」

「もちろんだよ。とは言えその間スプリングハンマーが使えないからカロクに許可を取らなきゃな」

「思えばそうかぁ」

そんなわけで……土入れをして刀を乾かしている間にロクさんとジェンと話をする。


「うーん……確かに作業は中断するが玉鋼がないとそもそも作業が出来ないからな。それにハルの経験値にもなる」

「うん、ロクさん」

「よし、分かった。リューイと行くなら安心だ。ハル、行って来なさい」

「ロクさん!俺、たくさん勉強してくるよ」


「とは言えカロク、ダンジョンに行くのなら武器が必要だ」

「それなら槍のアニキと行っちゃダメ?」

アニキとなら気心が知れているし憑依で本格的な槍さばきも披露できる。


蒼鳶(そうえん)か。もちろん、そう言う時のために鍛えたんだからな」

ええ、それってアニキの名前!?滅茶苦茶カッコいい!


「連れていくといい」

「ありがとう、ロクさん!アニキ、よろしくな!」

十文字槍を手に美しい刃先を見上げる。


『もちろんだ!任せておけ!』

うんうん、やっぱりアニキは頼りがいがあるよなぁ。


「あ、あの!」

その時ジェンが声を上げる。


「ぼくも……行ったらダメかな」

「ジェンもか!?」

ロクさんが驚いたように声を上げる。


「やっぱりその……戦えないから足手まといになる?」

「いや……俺もハルも戦えるから、2人で採掘担当を護衛するってのもなくはない」

とリューイさん。俺と言うよりもアニキの戦闘スキルなんだけどね。


「それに原材料がどうやって採れるかを勉強するのもいいだろう?」

「確かになぁ。俺も東国ではダンジョンに同行させてもらったことがある。だからこそ大切に使わなきゃなって思いがあるんだ」

「その分工房の人手を借りてしまうが」

「なに、勉強をさせてやるのも工房主の役目だよ」


「ありがとう、師匠」

「いいや、だけどダンジョンだからなぁ」

ロクさんは何処かから短刀を持ってくる。


「念のため、護身用に持っていくといい」

「ありがとう。大切に使うよ」

「ああ、いい玉鋼、待ってるぞ」

「うん!」

ジェンが嬉しそうに頷く。


「そんじゃぁカロク、ハンマー貸してくれ」

「ああ、もちろんだ」

リューイさんはロクさんからハンマーをいくつか受け取っている。


「お前らもハンマー」

リューイさんが俺とジェンに持たせてくれる。


「これ、ロクさんが造ったの?」

「ああ、全部俺の特製だよ、ハル」

「ロクさん特製のハンマー!」

つまりは弟分である。

「俺のことはアニキでいいからな」

『うん、アニキ!』

わぁ、ちびハンマー可愛すぎるなぁ。

『はっはっはっ。お前もアニキかぁ。弟の成長ってのは早いなぁ』

と槍のアニキ。

「うう……それでもこのちびハンマーは俺の大事な弟分だぁっ」

弟の成長は楽しみだが、もう少し可愛がりたいアニキ心。槍のアニキもそんな気持ちなんだろうか?

何だかそう思うと不思議とほっこりしてしまった。



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