表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/64

再び王都へ

ハルマ一行は王都へ向かっていた。『交渉』をするためだ。あくまで、『交渉』。


国軍がアルトを逃したことを利用し、引き取ろうと言う算段だ。上手くいくとは思えないが、依頼達成者が直々に、となればまだこのアバウトな作戦でも成功率はいくらかマシだろう。



「ところで、なんで切り落とせたんだろう…?」


モミジは呟くと、首を傾げる。


「どうした? なんか気になることでもあるのか?」


「ううん、ただ、私はアルトの腕にかすり傷すらつけられなかったのに、なんでハルマくんは腕を切り落とせたのかな…って」


「言われてみれば」


だいたい、ダガーである。あんな短刀で肩から腕をスッパリと切り落とすと言うのも割とおかしな話だ。


「なんだろうな。怒り状態とかか?」


「怒れば強くなるとかそんな簡単なことないでしょ」


ハルマの言葉に、モミジは苦笑する。


「まぁたしかになぁ。でも、()()使()()()()が分かれ道になってる気がするんだよなぁ」


「…そうだね…そうだ! 1回ステータス見てみればいいんじゃない?」


モミジはそう言うと、ハルマにダガーを手渡す。


「…これだけで変わらねぇとは思うけ…ど…!?」


ステータスを見たハルマは言葉を失う。


「なんだ…これ…」


「え、どうしたの!?」


「いや…え…? だって、こんなはず…コレ、()()()()()()()


「え、うん。そうだけど…」


「じゃ、じゃあ…」


そこまで言って、ハルマはダガーから目を離して、モミジを見る。




「じゃあ、なんで、攻撃力が大剣クラスなんだ…?」




ハルマが手にしているのはダガーのハズだ。短刀以外の、何物でも無い。

そんなはずは無い。片手で扱える短刀が、大剣に敵うわけがない。


モミジも、驚愕の表情を浮かべている。


「…待って、これ、私…白極堂で買って…ビャクヤちゃん、性能もあんまり高くないって…」


じゃあ、なぜ。


じゃあ、なぜ、『性能もあんまり高くない』ダガーの攻撃力が、


最高レアの大剣クラスなのか。



簡単な話だった。

ハルマはそこで、あることに気がつく。

それは、最初にモミジに促されてステータスを見た時には気づかなかった、自分の能力。


「待ってくれ、転生者に与えられる能力はひとつじゃなかったのか…!?」


ハルマは『異常』だ。

普通とは違う。


それは、この世界でも同じだった。異常の体現者は、異世界の常識をも、塗り潰し、我がものにする。


例えそれが、無意識の内だったとしても。


ハルマに与えられた能力は、『ステータスを視る』能力。


そしてあと一つ。


もう、皆が分かっている頃だろう。



『武器として利用したもの全ての攻撃力を異常に高める』


それが、ハルマの授かった、第2の能力だった。



確かに、それに気づけた場面は、今までにいくらかあった。


なぜ、攻撃力が2なのに、リッチーをワンパン、そして石をぶつけただけでボスモンスターの体力を半分削れたのか。


簡単な話だ。


リッチーの時は『モミジ』を。

ハムスターの時は『その辺に落ちてた石ころ』を。


『武器として利用した』からだった。



「なにそれ、ホントハルマくんってチートだよね」


モミジはため息をつく。


「チートで悪かったな」


「別にだめとは言ってないじゃん」


「はいはい」


可愛らしく頬を膨らませるモミジを、ハルマは苦笑いしながら眺める。


「まぁでも、ハルマが銃使えばよくねぇ? そんだけ攻撃力があるならさ」


「いやー、銃はキツイだろ」


「なんでだ?」


「いくらなんでも銃は銃だぜ? 攻撃力が上がればそりゃ反動もデカいさ。それを扱える自信はねーよ」


「なるほどなぁ」


納得するイノ。

ほんとはハルマは反動が大きくなるか分からないが、メンテがめんどくさいだけである。さすがハルマ。


「ところで、本当に王都に行くの…?」


「まぁなぁ。そういや、お前はどうやって来たんだ?」


不安そうに尋ねるアルトに、ハルマは秘技『質問返し』を使う。ただただ厄介な技だ。


「私は…歩いて…」


「歩いて!?」


「うん…もう、どうせ死んでるから」


「まさかのアンデッドかよ!!」


「うーん…準アンデッドってとこかな。マンドラゴラちゃん達に蘇生してもらっただけだから、普通に死ぬよ。ただ、ふつうの人間と違って、体を植物に変えられるってだけで、普通に死ぬよ」


「あぁ、俺らがぶっ殺したマンドラゴラに蘇生してもらったのか」


「お前絶対コイツ許してないだろ」


いつまでもねちっこく傷をなじるハルマに、イノは脳天チョップを叩き込む。


「まぁなんにしても、死ぬなら、『どうせ死んでるから』なんて理由にならねぇだろ」


「いや…どうせ死んでたハズの命だから…もうマンドラゴラちゃん達もいないし…死んでも変わらないから」


そうやって笑うアルトの顔は少し苦しそうだった。


それを見たハルマは、自分の頬を全力でぶん殴った。


「え!? いきなりなんで…」


「いや気にすんな気にすんな」


そんなハルマを、モミジとイノは生暖かい目で見ていた。ツバキは寝ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説家になろう 勝手にランキング!はい、とりあえず、何も考えずにタップもしくはクリック!!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ