最新話(2018/12/16 11:49:26現在)
「いやぁ、すっごい気分いい。膝枕ってすげぇな」
「嗅がれた…結局嗅がれた…」
疲れがすべて吹っ飛び、ご満悦のハルマの真隣で、モミジは絶望にうちひしがれていた。
結局身体の匂いを嗅がれたらしい。ハルマうらやましい。…いやちがうそうじゃない。
「いい匂いだったぞ?」
「フォローになってないから、それ」
ハルマにはデリカシーなど欠片もなかった。彼にそんなものを求めるのは間違いだろう。
「明日辺りにでもダンジョンいかね?」
夕飯時にそういったのは、イノだった。
たしかに、いつまでもこんなだらだらした生活を続ける訳には行かない。
「…うん、別にいいよ」
モミジも乗り気ではなかったが、前のような拒絶反応は無くなっていた。
「まぁ、ハルマくんが守ってくれるだろうからさ」
「死ねクソ惚気」
イノの鋭い切り返しが入る。モミジの一言がイノの心にクリティカルヒットした模様。もちろん僕の心にもクリティカルヒット。
「このダンジョンの奥にいる奴に、捕獲命令出てるらしい。政府から」
「政府から!?」
ほんと民間に託しまくる政府だ。
「まぁ民間の方が優秀な人材多いからな」
イノはそういうと、ハルマをちらりと見る。
「…はいはい、勢い余って殺すなよってことだろ」
めんどくせぇなぁ、と呟きながら、ハルマは頭を掻いた。
「…まぁそれはいいとして」
ハルマは振り向いて後ろを見る。
「なんでメシアがいるんだよ」
「モミジに誘われてねー。楽しそーだからついてきたってわけさ」
店は従業員でどうにかなるらしい。…まぁ、それならまだいいか。いや、よくはないんだけど。
もちろん、ダンジョン攻略はスムーズに進んだ。
途中で女性陣がマンドラゴラの群れに拐われたことを除いての話だが。
それに最初に気づいたのは、イノだった。
「おい、アイツらどこ行った?」
「は? って、ホントにいねぇし!!」
「まさかはぐれた? …探すぞ!」
「いや待て、まだステータスウィンドウが見える! 近くにいるぞアイツら!! メシア本当にウィザードだった!!」
「今確認することかそれ!?」
てんやわんやの大騒ぎだ。アイツらがいなければアイツらがいないで、まとまりというものが全くない。もちろんアイツらがいても全くないが。
「方向的に…あっちだ!」
「壁じゃねーか!」
「壊すか!?」
「お前の傘なら行けるんだろうけどここが崩落するわ!!」
「なに!?」
「なに!? じゃねーよ分かり切った事だろうが!!」
たしかに分かり切ったことである。遺跡の壁なんてぶち抜いた日には崩落して当然だ。
「まぁでも俺は生きてられるし」
「僕らが死ぬわ!!」
「あ、アイツら下に降りたぞ!?」
「話聞けよ!! 追うぞ!!」
2人は、下へと続く道を探すために走り出した。
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「どこだよ、ここ!!」
「くっそ…まだ降りれねぇのかよ…」
2人は途方にくれていた。
と言うのも、ダンジョン内部が迷路のようになっていたからである。
これまでは、ユウキが魔法でマップを開いていてくれたからこそ良かったものの、そのユウキがいなくちゃ……
……ちょっと待て。
2人も気づいた様である。
「アイツら、少なくてもはぐれるなんてことはありえねぇよな? 特にユウキは」
それに先に気づいたのは、ハルマだった。
「マップに位置表示されるからな…てことは!」
「少なくともユウキはマップ使えない状況だ。マップ程度で魔力は尽きねぇはずだけど…」
「ヤバくないか? それ」
「少なくとも、ユウキは多分ピンチだ」
「今、そんなこと分かっても嬉しくねーよ!!」
「俺もだよ!!」
ハルマとイノは頭を抱える。
と、その時、ハルマはあることに気がついた。
それは、壁に生えた蔦だ。
「…なんかこれ、違和感感じねぇか?」
「…? ただの蔦だろ?」
「…いや、なんか…他のと違うような…」
他の蔦は、植物として自然に、つまり葉が重なり合わないように生えているのだが、その蔦だけは、なぜかそんなこともお構い無しに、何層にも重なって、壁一面を覆っていた。第一、手触りが植物じゃない。
まるで何かを隠しているような、そんな気がした。
「…ぶっ飛ばしてみるか?」
「…やってみるか」
ハルマが蔦に向かって傘を振り抜くと、蔦は綺麗に消し飛んだ。
そこからは、下へと続く階段が現れた。




