王都への道のり
「にしても、鉱石に魔力媒介なんて使い道があるとはなぁ。地球じゃあ電気通すのが精一杯だぜ…」
ハルマは店を出る前、ビャクヤに、少し鉱石について質問をしていた。どうやらビャクヤは地球にも少し詳しいようで。
「さっきもキョクヤが言ったでしょ? 素人の人がくるから、転生者から話を聞いたりもできるんだ」
「なるほどな。ところで、地球の鉱石で魔力供給ができるのってあるのか?」
ハルマが聞くと、ビャクヤは腕を組んで、「うーん」と唸る。
「私が知ってる限りではないかな。ダイヤモンドなんかは装飾品以外としてなら、魔力媒介どころか防具として使った方が有益だし」
「確かに硬度高いしな」
「そうそう」
ダイヤ防具が強いのは、某立方体クラフトゲームと同じらしい。
「じゃ、例えばどんな鉱石が魔力供給できるんだ?」
「有名なのはマコライトとかかな?」
「マコライト?」
マカライトじゃないのか。言い間違いか。
「そ、マコライト。確かにマカライトもあるんだけど、その上位互換って思ってくれればいいかな」
「ほえー、そんなのもあるんだな」
初めて聞いた鉱石に、ハルマは感心する。
「まぁ王都で聞くのが1番手っ取り早…いや、だめだな」
「なんで?」
「いやー、利益のために、割高な商品を推してくる傾向があるんだよ」
「どこの世界でもやるこたぁ同じだな…」
ハルマが小さくため息をつくと、ビャクヤはちょっとまってて、と店の奥へ走っていった。
少し経つと、ビャクヤは小さな地図と、封筒に入った手紙を持ってきた。
「これ、私の知り合いが開いてる店だから。この手紙を渡せばいいのを紹介してくれるはずだよ」
「え、マジ? サンキュー!」
「しかも、かなり大きな店だから、武具はほぼ全般取り扱ってるよ。あの子は店長だから店先には居ないだろうけど、店員さんにこれを見せてくれれば多分通してもらえるから」
そう言うとビャクヤは、ハルマに1枚の紙を手渡す。
何も書いてないし、何の変哲もないただの紙だ。
「なにこれ」
「まぁ渡してくれれば分かってくれると思うから。無くさないようにね!」
「そっか。色々サンキューな!」
そう言ってハルマは店を出た。そろそろモミジ達も、馬車を借りているはずだ。
この世界には馬車と龍車があり、龍車は速く、しかも飛んでいくため、地面の影響を受けないので、非常に快適。しかし、高額なのだ。
王都での買い物も考え、今回ハルマたちは馬車を使うことにした。
ガラガラという、車輪の回る音を聞きながら、イノは馬の手綱を握る。乗馬経験もあるらしく、馬車の運転のバイトもしていたとのこと。非常に運がいい。
「王都までどのくらいだ?」
「さぁ…何事もなく順調に行けば明日の朝には着くだろうな」
手綱を握るイノは小さく肩を竦める。
「朝か…夜どうすんだ? お前も寝るだろ?」
「いや、意外とこの辺宿多いからな。この時間だと、泊まってそのくらいってことだ」
「なるほどな」
ハルマはそう言うと、馬車の椅子にもたれ掛かる。
心地よく揺れる馬車の上で、ハルマはいつの間にか、眠りについていた。




