誰がとは言わない。死んでた。
そんなこんなで、ハルマは未だダンゴムシを眺めていた。
「んで? さっきの魔法弾撃ったのはお前で合ってんの?」
「うん」
ユウキにはもう先程のように暴れ回る元気はないようで、一言で返答を済ます。
これはこれで調子狂うな、とハルマは理不尽な事を呟くと、ユウキを見る。
「え、えっと…なんで、見てんの?」
「あー、お前魔法攻撃力上がってんのか。カンストはしてねーみたいだけど、かなり高ぇみたいだな」
「え、うん、てかなんでわかんの?」
「こっち来ての能力」
「チートすぎる」
今まで傘が猛威を振るいまくっていたせいか、その他のチート級の能力の面々が、傘が使えない今、ようやく頭角を現してきたようだ。
「んでもその他のステはボコボコだな」
「うん、でも先輩は全部が全部…」
「物理魔法ともに攻撃力が生身だと2」
「ご愁傷様です」
「ただし防御力はカンスト」
「チートすぎ」
そこで、ハルマはある事に気づく。
「ところで、俺は気にしなくていい問題なんだけど、こっちで死ぬと転生者はどうなるん?」
「死ぬんじゃない?」
「あー、ね。なるほど」
まぁ死んだことも無いし、わかるわけが無い。
それに、もうひとつふたつ、気になる事がある。
「こっちにお前がいるって事は他にも知り合いがいる可能性あるな」
「まぁねぇ」
「あと、俺は死んだのか? 異世界転生っつったらまず死ぬのが定番だろ?」
「あー、よく分からん」
「なんで分かんねーんだよ」
「そういう情報は入ってきてないって意味。同時期に飛んだとしたら分からなくても当然でしょ?」
ユウキにしては最もなことを言う。だが、『ここまで』同時期に人が死ぬことがあるのだろうか? ハルマは首を傾げる。
転生時、一緒にいたわけでもあるまいし。
ハルマとユウキの状況から、転生時の記憶が抜け落ちていることが分かるため、一緒にトラックに轢かれるなどして死亡し、別の場所に飛ばされた可能性も考えられるが……。
悩んでいても仕方がない。
「今はユウキを殴るしかないか」
「なんで!?」
ユウキが久しぶりに素っ頓狂な声を上げる。
まぁさっきとは違う、金切り声に近いものだが……。
「いや、冗談冗談」
「やめてよ、先輩が言うとシャレになんないから……」
頭を抱えてうずくまったユウキは涙目で顔を上げる。
いやー、武力制圧系ハーレム超楽しい、と心の中で思いっきりゲスなことを呟きつつ、ハルマはダンゴムシに向き直る。
死んでた。
ダンゴムシ、死んでた。
誰の目にも明らかに、死んでた。
幼稚園児がお墓立てても問題ないくらいに、死んでた。
いい加減しつこいだろうけど、まだまだ言うぞ、死んでた。
ゲシュタルト崩壊起こしそうだからこれで最後にするけど、死んでた。
「…あーあ」
これにてハルマは、3人から怒られることが確定してしまったのでした。めでたしめでたし。




