↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サミアンの不思議な肉球~謎のもふもふを拾ったら家族が増えました~  作者: 三国華子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/61

57.全ギルド

 翌日クリス達は、王都に向けて出発した。

「白狼」の秘密に関しては、あまり情報が得られなかったが、サミアンの母が姿を消したことに、聖竜教が絡んでいる可能性があることはわかった。

 ノインという新たな狼族に出会えただけでも、バルガンの町に来た甲斐はあっただろう。


 だが、クリスとガインのストレスは、限界まで達していた。

 これからの冒険者生活を「なかよち家族」のパーティーメンバーとして過ごさなければならない罰ゲームのような状況が、王都への足を遅らせていたのだ。


「クリス、遠くにレイザーホーンの群れが見えるぞ」

「なに? それは狩っておかねば、農家の人たちが苦しむことになるな」


 ちなみにこの辺は荒野で、畑などない。普通の冒険者はBランクの群れなど、避けて通るだけだ。

 だが、この時のクリスとガインは変なテンションだった。なんでもいいから現実逃避したかったのだ。


「ノイン、ここでサミアンを守れ」

「はいっ! 父上!」


 ビスカルディーニの男ノインは、白狼であるサミアンを守ることが自分の使命だと目覚めたらしい。サミアンがウザく感じるほど、ついて回っている。


「いくぞ! クリス」

「ああ!」


 二人はレイザーホーンの群れに突っ込んで行った。

 クリスの同時射ちを初めて見たノインは、大興奮だ。


「すっげぇ! 一度にあんなに……」


 ガインが大剣を一振りするごとにレイザーホーンが倒れて行く。

 時々レイザーホーンから光線のようなものが出るが、クリスの矢がそれを阻止していく……

 それだけでなく、すれ違いざまに、短剣で太い血管を切り裂き、着実に倒して行く。


「サミアン、父上と母上はこんなに強いのか?」

「はい、おとうたまとおかあたまは、ちゅよいでちゅ。でもなんであんなに張り切っているのでちょうか?」

「きっと、おれたちに、背中を見せるためだ! おれたちにも強くなれと無言で言っているんだ」

「なるほどっ! かっこいいでちゅ」


 子供達は勝手に勘違いをしてくれた。ただのストレス発散だというのに……




 途中で何度かレイザーホーンの群れを狩りながら、一行は王都に到着した。


「なんか、気が重いな」

「ああ、直接解体所に行くか」

「どうちてでちゅか? おじいたまには会わないのでちゅか?」


 すっかりレオルドに懐いたサミアンは抗議する。ノインにギルド長に一目おかれる姿を見せたいのかもしれない。


「レオルドにはいつでも会える」

「そうだぞ、しばらく王都にいるからな」


 不満顔のサミアンを宥め、ガインとクリスはさっさと解体所に向かった。


「ガイン様、クリス様お帰りでしたか」


 解体所の所員が出迎える。

 数が多いことを説明し、倉庫に案内してもらった。


「では、ここに…」


 言われるやいなや、二人はマジックバッグから、次から次へとレイザーホーンを出して行く。

 全て出し終えると「じゃあ報酬は明日以降で」と伝え、足早にギルドを出て行こうとした。


「よっ!『なかよち家族』!」


 倉庫の出口には、滅茶苦茶楽しそうなレオルドがいた……


 ガインとクリスは、顔を手で覆い項垂れた。

 一番、パーティー名を知られたくなかった相手だ。

 男同士の夫婦に見られても動じないガインが、クリス以上に項垂れている。

 人目はどうでもよくても、自分の中の何かと葛藤しているのだろう。


「なぜ知っている?」

「いや、SランクとAランクのパーティーだぞ、全ギルドに通達されるのは当然だろう?」


「全、ギルド……」


 これで、どこに言っても『なかよち家族』と呼ばれることは決定した。


「ククッ、まあ、折角来たんだ、上がって行けよ」


 そういってレオルドは、サミアンを抱き上げる。人質をとられたようなものだ。

 レオルドは、ノインに視線を移す。


「ガイン、おまえ子供いたのか?」


(レオルドさん、やっぱりめんどくさい)

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。