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サミアンの不思議な肉球~謎のもふもふを拾ったら家族が増えました~  作者: 三国華子


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52/57

52.そして母になる

 クリス達は手続きを終え教会を後にした。

 ノインを煙たがっていた他の子供たちも、いざ離れるとなると寂しいのか、別れ際には涙ぐんでいた。


「あまり収穫はなかったな」

「あったよ! 大有りだよ! 子供が増えたんだぞ!!」

「いや、白狼についてだ」

「知ってるよっ!!」


 ガインが「白狼」について話していることはわかったが、あまりにもサラッと子供を引き取ったので、一言物申したかっただけだ。


「タミアンに弟ができまちた」

(えっ? おとうと?)

「ふっざけんな。おれが兄貴に決まってんだろ! おれは4歳だぞ」


 嬉しそうだったサミアンは、急に真顔になった。


「タミアンは200たいでちゅ」

「嘘つけっ!」


 まあ、そうなるだろう。

 自分達も前はそんな反応だった。


「ノイン、白狼については、親から聞いているか?」

「当たり前だ! ビスカルディーニは白狼を守る為に存在するんだ」

「それがその『白狼』だ」


 1分ほど、沈黙が続いた。


「嘘だ」


 どうしても受け入れられないらしい。


「嘘じゃないさ。サミアンは伝説の白狼の子供で、不老不死の力を引き継いで200年も生きているんだ」


 クリスが言うと、ノインは確認するようにクリスを見上げた。

(受け入れろ、事実だ)


「そんな…… 狼はこんなに丸くない」


 一昔前のガインと同じセリフだ。


「ほんとうでちゅ、だからノインはタミアンのおとうとでちゅ」


 弟という存在がよほど嬉しいのか、尻尾が千切れそうな勢いで揺れている。

 こんなアホ面で言われても、尚更、受け入れがたいことだろう。

(がんばれ、ノイン)


「それより大丈夫なのか? 簡単に子供を引き取って。子育てには責任が伴うんだぞ! ヤバイ奴を世に排出したら、周りに迷惑をかけるんだ」


 何を考えているかわからない男にも、一言物申す。

 ガインはクリスを見つめると少し間を空けてから、口を開いた。


「おまえはいい母になると思った」

(はいっ!?)


 ガインはそれだけ言うと、前を向き、何事もなかったかのように歩いていく。

 だが、ノインはそれが気に入らないようだ。

(おれも気に入らない)


「おれは、こんな弱そうで、男か女かわからないような人間が、母親なんて認めない!」

「おれだって、クソガキを子供にするつもりないわっ!」


 子供と同目線で、言い合いになる。ガインの言う「いい母」の基準が、全くわからない。

 そうこうするうちにギルドに到着した。

 査定を頼んであったレイザーホーンの報酬を受けとるためだ。


「おれ、冒険者ギルドって初めてだ!」

「タミアンは、ぢょうれんでちゅよ。王都のギルド長もタミアンには、いちもくおいてまちゅ」

(あながち間違いではない……)


 サミアンはどうしてもアニキ風を吹かせたいらしい。


「ガイン様、クリス様、こちらレイザーホーン6頭分の報酬で、金貨30枚と、角の状態が良かったので追加分12枚になります」


 周りの冒険者たちが、ザワめく。クリス達にしては普通の額だが、多くの冒険者達には、驚くべき金額だ。

 もちろん、足元でノインも驚いている。


「父上は当然として、おまえも強いのか?」


 ノインの言葉に、ギルド中の視線がクリスに集まる。

 クリスはまだ有名ではない。どこのギルドでも最初はこの反応だ。


「クリスはAランクのアーマードボアを一人で倒した」


 ガインの一言で、周囲は納得したようだ。

 ノインは……


 目を丸くしてクリスを見上げている。


「『母上』と呼んでも?」


(なんでそうなるっ!!)



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