↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サミアンの不思議な肉球~謎のもふもふを拾ったら家族が増えました~  作者: 三国華子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/56

51.父上

(ガインったらいつの間に?)


 いやいや、この子は4歳位で明らかにクリスと出会う前の子だ。

 それ以前に別にガインとはつきあっているわけではない。

 色々な思いが、クリスの頭をよぎった。


「おれは、おまえの父親ではない」

(言い切ったっ!!)

「嘘だ! 母上は『父上はおれにそっくり』って言っていた!」

「おまえの名はなんだ?」

「おれは『ノイン』だっ」

「!!」


 その名を聞いたガインは、無言で固まった。

(やっぱりガインの子供かっ?)


「ガイン、心当たりあるのか?」

「いや『ノイン』というのは、戦後唯一生き残った子供の名で、ビスカルディーニ家ではよく使われる名だ」


「ビスカルディーニ」はガインの家名だ。

 青い目の狼……

(やっぱりガインの……)


「おまえの父は『セイン』ではないか?」

(違うのかよっ!!)


 隣で一喜一憂するクリスを、ガインは不思議そうに見ている。

(なぜ、おまえは冷静でいられるっ!?)


「ガイン『セイン』って誰?」

「おれの叔父だ。一人で里を出ていたのだが、数年前に連絡が途絶えてしまってな」


「嘘だ! おまえが父上なんだろ?」


 ノインという子供は、どうしてもガインを父親だと思いたいようだ。

 珍しく困った表情のガインが頭を掻く。


「セインと母親はどうした?」

「父上とは会ったことがない。母上は、病気で死んだ」


「おとうたま?」

「なんだ?」

「おとうたまは、ノインのおとうたまではないのでちゅか?」

「おれはサミアンの父だ」


 サミアンが嬉しそうにする横で、ノインはガックリと肩を落とした。

 サミアンもすぐに気がつき「あっ」といった様子で、振っていた尻尾を下げる……

 それが、ノインの気に障ってしまったのか、突然、サミアンの頭を叩いた。


「いたいでちゅ」


 クリスは、サミアンを抱き上げ頭を撫でる。

 気持ちはわかるが、暴力はよくない。


「おいっ、チビ。うちのサミアンに何してくれてんだ」


 クリスの言葉に、全員がたじろぐ。無表情のガインまで目を丸くしている。


「だって、おれの父上なのに、アイツが……」

「ペシッ」


 クリスがノインの頭を叩く音が響いた。


「痛いか?」

「いたい……」

「そうか、ごめん」

「えっ?」

「サミアンも痛かった。謝れ」


 クリスは大人げなくノインを叩いたが、すぐに謝罪する。その上でノインにも謝罪を求めた。

 ノインも涙目のサミアンを見て、自分の間違いに気がついたようだ。


「ごめん、サミアン」

「タミアン、もう、いたくありまてん」


 ガインは、なぜか面白そうに肩を揺らしている。

(おれの教育的指導はおかしかったのだろうか?)


 部屋の窓から見ていたのか、神父が慌ててこちらにやってくる。


「うちの院の子供が、何かしでかしましたでしょうか?」


 帰り際、クリスは金貨5枚を寄付してきたので、神父の腰はひくかった。


「何も問題ない。この子は、おれの血縁のようだ。連れて帰ってもいいか?」

(えっ?)


「やはり、そうでしたか。似ていると思っていたのです。身分証を拝見させていただいて、書類にサインをいただければ、すぐにでも……」

(ひきとるんだ)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。