↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サミアンの不思議な肉球~謎のもふもふを拾ったら家族が増えました~  作者: 三国華子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/50

44.重要な儀式

「で、どうするつもりだ? クリスちゃんは」

「クリスちゃんって呼ぶな。セクハラで訴えるぞ」


 レオルドの軽口を速攻で返す。

(こういうのは最初が肝心だ)


「叔父がおれを追い続けるなら、おれは正面から立ち向かうことに決めた。逃げていても仕方ない。叔父の悪行を調べあげて、爵位を剥奪させてやる」


 クリスがそう言うとサミアンは不安そうに見上げ、ガインは納得したように頷き、レオルドは驚いた顔をした。


「タミアンをおいて行きまてんか?」

「おいて行かない」


 クリスの言葉を聞いた途端、サミアンは嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねた。

 興奮しすぎて、同じ場所をグルグル回っては止まり、キラキラした目でクリスを見つめ、回っては止まりキラキラ~を繰り返す……


(可愛いが、ちょっと落ち着け)


 なぜかずっと目を丸くしていたレオルドは、頭を掻きながら、ようやく口を開いた。


「クリスは、なんかぶっ飛んでるよな。普通の奴が蛇行しながら登る険しい山を、最短距離をものすごい勢いで登っていく感じだな」


「なんだよそれ! おれが、考え無しのアホな奴みたいじゃないか!」


 クリスが言うと、それまで黙って聞いていたガインが口をはさむ。


「クリスはいつもそんな感じだ」


 フォローしてもらえるかと思ったが、一番期待してはいけない相手だった。


「いつもアホみたいに言うな!」


「クククッ」とレオルドは面白そうに笑う。


「褒め言葉だぞ」

「えっ……」

「ああ、クリスの長所だ」


 レオルドとガインの言葉に、耳まで赤くなるのがわかった。

 ガインの率直な物言いには、いつまでたっても慣れない。


「あ、ありがとう」


 クリスは褒め言葉を素直に受けとることにした。


 サミアンはグルグルに満足したのか、クリスの膝に乗り抱っこを要求してきた。

 最初の頃は抱っこをねだるのもモジモジしていたのに、クリスが戻ってきたことが、よほど嬉しいのだろう。

 サミアンを抱き上げ、ギュッと抱き締める。

 

「おかあたま、今日はお胸がフカフカでちゅね」

「ん? ああ、もう男のフリはしてもしょうがないからな」


 今朝、クリスは一旦宿に戻り、胸を潰すように巻き付けていた布を外した。

 叔父から隠れるように生きてきた自分と決別する意味で、クリスにとっては「重要な儀式」だった。


「気がつかなかった。あまり変わっていないな」


 ガインの一言で「重要な儀式」は台無しになった……


「悪かったな! どうせ小さいよ!」

「悪いことなのか?」

「タミアンはちいたくてもフカフカちてる方がちゅきでちゅ」

「おまえまで小さいって言うな!」


 レオルドは、机を叩いて爆笑している。

 クリスは「いつの間に自分の周りは、こんなに色鮮やかになったのだろう」と思った。

 こんな風に皆で騒いだり、笑ったり、クリスが気がつかなかっただけで、幸せはもう手元にあったのだと感じた。


 クリスの手の甲が熱をおび、痣が小さくなっていく……


(そうか…… 幸せに導く印だから……)


 このまま消えてしまうのかと思った痣は、サミアンの足の様な小さな跡だけが残った。


「えっ? これ完全には消えないやつ!?」


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。