↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サミアンの不思議な肉球~謎のもふもふを拾ったら家族が増えました~  作者: 三国華子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/51

43.刺客

 敵の剣がクリスの頬を掠める。

 相手は中々の手練れのようだ。外してもすかさず切り返しが飛んでくる。

 時々クリスの剣とぶつかる金属音が響くが、短剣しか持たないクリスは、中々間合いに入れない。

 背中を反らして相手の剣を避けながら、後方に一回転し、一旦退く。


 相手はクリスを逃すまいと、重心を前にずらした。


(ここだっ、)


 相手の剣の下を掻い潜り、足元へ滑り込む。すれ違いざまに足を払い、その勢いのまま敵の背後へ抜けた。

 そして、倒れた相手の肩甲骨の間を足で押さえつけると、すかさず剣を使う右腕に短剣を突き刺した。


「ウグッ!」

「悪いが、足の腱も切らせて貰うよ」

「ウッッ!」


 逃走防止の処置を終えたクリスは下を確認する。

 少し手前の路地から、人の争う音が聞こえる。

 

 急いで向かうとガインが、最後の一人と対峙していた。その周りには二人の男が気絶している。


(さすがSランク)


 ほっとしたのもつかの間、別の建物の影に、もう一人の刺客を確認した。

 手には投げナイフのようなものを持ち、ガインを狙っている様子が、クリスの位置から確認できた。

 弓に手を伸ばすが、どう考えても間に合わない。


「ガインッ!!」


 するとどこからか、高速の白い塊が飛んできた。

 投げナイフを持った男は、真横からの攻撃に、なすすべなく吹っ飛ぶ……


「サミアン?」


 後を追ってきたレオルドが、サミアンに吹っ飛ばされた男に拳を入れる。

 そして、再びガインを確認すると、やはり相手を吹っ飛ばし、気絶させたあとだった。


 ガインと目が合う。

 大きな傷を負った様子はない。

 ガインは「当然だ」とばかりに、軽く口角をあげる……


(おわった……)


 緊張の糸が切れたクリスは、そのまま屋根の上に座り込んだ。


「おかあたま~~~っ!」


 クリスを見つけたサミアンが叫ぶ。クリスを引き留めようと、必死の形相なのだろうが、一周まわっていつものアホ面になっている。

 クリスは、走りすぎて力の入らない脚を無理やり奮い立たせると、屋根から飛び降りた。


 周りには憲兵やら、野次馬が集まり始めた。

 レオルドは憲兵に、王都冒険者ギルド所属員に対する傷害行為として、身柄の引渡しを求めるようだ。

 だが……


「ダメです。息がありません」


 ガインも武器を使わず気絶させたようだが、意識が戻るなり仕込んでいた薬をあおったようだ。

 クリスは屋根を見上げ、自分が対峙した敵を確認する。ピクリとも動かない。おそらく同じように薬をあおったのだろう……


 勝負には勝ったが、なんとも言えない後味の悪さだった。


(刺客の命も使い捨てかよ。人の命をなんだと思っているんだ……)


 クリスが憲兵に運ばれていく刺客達を見送っていると、その場の空気を変えるようにレオルドが、声をあげた。


「とりあえず、帰るぞ。バカども」


 レオルドは、クリスとガインにそう言った。

 腕の中のサミアンは、撫でられているのに……


 サミアンは、必死にレオルドの腕をすり抜け、クリスに飛びついた。


「おかあたま」

「サミアン……」


 クリスは、フワフワの体に顔を埋めた。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。