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サミアンの不思議な肉球~謎のもふもふを拾ったら家族が増えました~  作者: 三国華子


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36. おかあたま?

「ただいま戻りました」


 クリスとガインが帰還すると、モナの家の前に村人が集まっていた。

 ニコが大袈裟に伝え、調査ではなく、フォレストボアを討伐しに行ったと勘違いしたようだ。


「おかあたま~!!」

(ん、おかあたま?)


 なぜか「おかあたま」と言いながらサミアンが抱きついてくる。

 ちなみに、クリスはいつも通りの男装だ。

 

「ケガちてまちゅ! ハッ! おとうたまもっ!!」

(おとうたま?)


 ガインも、自分を指差しポカンとしている。

(ガインのポカン顔は貴重だ)


「おとうさま」「おかあさま」と呼ばれた男2人を、村人たちが生暖かい目で見つめる。


(ちょっと変わった夫婦だと思われているな……)


 そして、数人は「今のご時世、そんなこともあるよね」みたいにうなづいている。


(ちがうからねっ!!)


 帰って早々、サミアンのせいで変な空気になっているが、やはり心配なのか、村長は話を戻した。


「御苦労様です。で、フォレストボアはどうなりましたか? さすがのお二方でも、そのおケガでは、討伐は失敗と言うことでしょうか?」

「いや、フォレストボア8頭は、すでにブラッドベアに殺されたあとだった。報告に戻ろうと思ったのだが、運悪く遭遇してしまってな」

「ブ、ブラッドベアですか!? よくぞご無事で! 直ちにギルドに討伐依頼を出しましょう!」

「その必要はない。2人で討伐してきたからな」

「ふ、2人で!? ブラッドベアをですか? 疑うわけではありませんが、見せていただくことはできますでしょうか?」

「ああ、もちろんだ」


 そう言うと、ガインはマジックバッグからブラッドベアを引き出した。

「おおっ!!」と歓声が上がる。

 だがガインが二頭目のブラッドベアを引き出すと、皆が口をつぐんだ。


「あ、あの。2頭おりますが」

「ああ、1人では危なかった」

「お2人で2頭ですか?」

「ああ、そうだが」


 村人達が「ワッ」と悲鳴のような歓声をあげる。

「うそだろ?」「1人1頭か?」

などと、隣の者と顔を見合せ、騒ぎはじめる。


「周辺を確認したが、別の個体はもういないようだ」

「は、はい。ありがとうございます」


 村長はまだ信じられないといった表情で、そう言った。


「クククッ すごいもんだ」


 家の入り口で面白そうにその様子を見ていたモナが口を挟む。


「あ、モナさん。サミアン預かってもらって、ありがとうございます」


 クリスがそういうと、モナはなぜか、さらに大きな声で笑い出す。


「Sランクだけじゃなくて、クリスの方も随分太い神経してるじゃないか」

「?」

(なんで? 普通にあいさつしただけなのに)

「まさか、Aランク魔獣を2頭も狩って、その辺にお使いに行ったみたいに帰ってくるとはね」

(あ、そういう……)


 クリスは、いつの間にか、Aランク魔獣を討伐したこと自体には驚かなくなっていた。


 村人達は、クリス達が、ブラッドベアに殺されたフォレストボアの中から損傷の少ないものをマジックバッグから取り出して渡すと「今夜は村を上げてお祝いする」と言って、嬉しそうに引き上げて行った。


「お疲れ様だね。今日は泊まって行くといい」


 モナはドアを開いて歓迎の意を示した。


(そう、聞きたいことがまだあった)



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