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サミアンの不思議な肉球~謎のもふもふを拾ったら家族が増えました~  作者: 三国華子


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33/50

33.お留守番

「モナばあちゃん、フォレストボアの情報もらってきたよ!」


 その時、ドアを叩く音と共にニコが顔を出した。

(ドア叩く意味あるのかな?)


「そうかい。で、どうだった?」

「フォレストボアは、8頭もいるんだって、村長はSランクがいても二人で大丈夫かなって」

(それ、村長は暴露されたくない内容だぞ!)

「ククッ、そりゃすごい情報だね」

「二人ではありまてん。たん人でちゅ」


 サミアンが鼻息荒くそう言うと、ニコは不満そうに口を尖らせた。


「おまえみたいなチビが討伐に参加できるわけないだろ?」

「タミアンは、チビではありまてん。フォレチュトボアの前にも立ちはだかりまちゅ!」


 クリスは、サミアンを黙って見つめた。

 サミアンは毎回、平気な顔で危険に飛び込んでいく。不死の体で200年生きてきたので、危険に対する意識が低いのかもしれない。


「クリチュたま?」

「なあサミアン。もしおれが一人で飛び出して、死にかけて痛くて苦しそうにしていたらどう思う?」

「クリチュたまが? いやでちゅ! タミアンが治ちまちゅ!」

「治せなかったら?」

「……」


 サミアンはクリスを見上げ、しばらく考えると、口を開けて悲壮な顔になった。


「討伐に行ったらだめでちゅ!」


「うん。おれも初めて会った時みたいなサミアンは、もうみたくない」


 クリスがそう言うと、サミアンは「ハッ」と何かに気づく。


「タミアン、今日はおるちゅ番ちまちゅ」


「うん」

 

 クリスはそれだけ言うと、サミアンを持ち上げて、ぎゅっと抱き締めた。


「ちんぱいかけて、ごめんなたい」

「うん」


 ずっと黙って二人を眺めていたガインが、口を開いた。


「フォレストボア8頭くらいなら危険はないぞ」

(空気読めっ!!)


 怒りを覚えるレベルでデリカシーのないガインに腹を立てるクリスだったが、ニコはそんな男を尊敬の眼差しで見つめていた。


「さすがSランクだね!」

「ああ」

(「ああ」じゃねぇよ!)


「でも、フォレストボアは毎日のように来ていたけど、ここ2日は来てないみたいだよ。もう来ないかもって村長が言ってた」


「そうか、山に帰ったのならいいが、また現れる可能性はある。調べておいた方がいいだろう。俺達はこれから調査に向かう。村長にはそう報告しておいてくれ」


「わかった!」


 ニコは、Sランク冒険者に直接用事を頼まれたことが嬉しいのか、すぐにモナの家を出ていった。


「サミアンは……」


 ガインが言いかけると、サミアンはトコトコ歩いてモナの隣まで行き、その場にちょこんと伏せた。


「タミアンは、モナたまとおはなちちてまちゅ」

「そうか」


 サミアンの言葉を聞いたクリスは、ただ優しく微笑んだ。




 ガインとクリスは2人で山沿いの林に向かった。


「あそこは、勝手に飛び出さないと学んだサミアンを褒めるとこだろ? なぁ~にが『フォレストボア8頭くらいなら、危険はないぞ』っだ!」 

「……それはおれのモノマネか?」

「そこは、どうでもいいだろ!!」


 ガインにデリカシー教育をしながら林の中を行くと、複数のボアの足跡と、土を掘り起こしたような跡を見つける。


「掘り起こされた土の乾き具合からみて、ここにいたのは3日くらい前かな?」

「ああ、村長の言うとおり、山へ帰った可能性が高いな。もう少し奥も探ってみるか」


 クリスとガインは、足跡を追いながら、林の奥へと入っていった。

 途中、ガインが血の臭いを嗅ぎ付け、気配を消しながら慎重に近づく……

 そこで見つけたのは、8頭のフォレストボアの死骸だった。


「ひどい。何があったんだろう」

「喰われているな。近くに格上がいるんだろう」

(Bランク魔獣の格上って……)

「ガイン、Aランクには滅多に遭遇しないって言ったよな」

「ああ」


(またなのか……)


 


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