26.おまえがそう言うなら
「ぢゅるいでちゅ~!ぢゅるいでちゅ~! タミアンも王宮にいきたかったでちゅ~!!」
ギルドに戻るとサミアンはレオルドの左腕で、まだ暴れていた。
レオルドは、慣れてきたのか、右手で事務作業をしていた。
「レオ! はなちてくだたい!」
(いつのまにかギルド長を愛称呼びしてるし……)
「で? どうだった? 初めての王宮は緊張しただろう?」
「クリスは落ち着いていた」
「えっ? まあ、場違いだなぁとは思ってたよ」
それを聞いたレオルドは、また面白いものを見つけたように目を輝かせた。
「そうか。クリスは意外と大物なんだな。なんで今まで埋もれてたのかわかんねぇな!」
「とうでちゅ! クリチュたまはちゅごいんでちゅ!」
「そうかそうか」
サミアンはレオルドの腕の中で、尻尾を振り、頭を撫でられている。
(今なら、脱出できるのに)
「で、お前らこれからどうするんだ? しばらく王都にいるんだろ? あ、どこかに拠点を移すならサミアンは置いていけよ」
「いやでちゅ~! タミアンは、クリチュたまといっちょにいきまちゅ!」
(どんだけ気に入ってんだよ)
「ガイン、おまえはまだアレを探しているのか?」
レオルドが言う「アレ」は「白狼」のことだろう。
クリス達がどこまで知っているのかはかりかねて、あえて「アレ」と言ったのだ。
(レオルドさん意外と気が利く)
クリスにしても、レオルドがどこまで知っているのかわからない。
クリスは、ガインを伺い見た。
だが、ガインは何も言わない。
「……ったく、おまえは相変わらずだな」
見かねたレオルドが、代わりに口を開いた。
「おれが現役の時、当時かけ出しだったDランクのガインをパーティーに誘って断られたんだ。『探し物がある』と言う理由でな」
なるほど、真面目なガインのことだ。レオルドの人柄を信用して誤魔化さず真実を伝えたのだろう。
そんな相手だからこそ、今回もサミアンを預けたのだ。
クリスは着けていたグローブを外し、レオルドの前に出した。
「なんだこれ?」
「白狼が与える印に似ているそうだ。だからガインと行動を共にすることになった」
クリスがそういうと、ガインは「それだけじゃないがな」とだけ呟く。
「ほう? この痣はどこで? 生まれつきか?」
「タミアンとあくちゅちたら、ピカッてひかりまちた!」
「なにぃ! おれも欲しい! おれとも握手しろっ!」
レオルドは、本題からずれている気がする。
「つまり、ガインの探していた白狼がサミアンなんだな?」
(どうしてそう思える!?)
「レオルド、おまえにはソレが狼に見えるのか?」
(そうだそうだ!)
「タミアンはおおかみでちゅ」
サミアンは、あざとくレオルドを見上げた。
「おまえがそう言うなら、おまえは『狼』だ」
「レオたまっ!!」
初めて理解者を得たサミアンは、全開で尻尾を振っている。
それはもう、千切れそうなほどに……
「もうサミアンが『白狼』でいいんじゃね? おまえは白狼を守るのが仕事なんだろ?」
ガインは、サミアンを見つめると「ないない」とばかりに視線を反らす。
「ガインたまひどいでちゅ! なんにも言ってないけど、タミアンにはつたわりまちた!」
「確かにまあ、なんだ、サミアンは犬っころに見えるが、こうして耳を立てれば狼に見えないこともない」
レオルドはそういいながら、サミアンの垂れた耳を摘まんで、三角耳に見えるように整えた。
(どうしても狼にみえない……)
「白狼は成獣の姿のはずだ。」
「なぜ、わかる?」
「白狼は成獣の姿で『不老不死』だといわれているからだ」




