24. ギルド長レオルド
アーマードボアを討伐したクリス達は、順調に旅を続け、無事王都アルガに到着した。
王都に入ったクリスは、他の町と比べ人間の比率が高いことに気がつく。だが、クリスの目には、そこに何とも言えない不自然さを感じた。
(人間の方が多いのに招かれざる客って感じ)
「ギルドに王宮からの連絡が届いているかもしれない」
先に特別報償金授与式の予定を確認する必要があった。
グリフォン討伐後すぐにベルカを立ったので、時間に余裕があるとは思うが、まかり間違って授与式の日付を過ぎてしまうと、報償金を貰い損ねることもあるそうだ。
クリス達は、早々に王都の冒険者ギルドに向かった。
ギルドを訪れると、やはりここでもガインに注目が集まる。
受付の女性は、ガインに気がつくと慌てて出てきて「ギルド長に報告して参ります」と、2階へ走っていった。
(なんかクネクネしてたけど、ガインに気があるのかな?)
「お待たせいたしました。ギルド長がお会いになるそうです」
クネクネしながら戻ってきた女性は、ガインを上目遣いで、見つめながらそう言った。
「頼んでないが」
(えっ? ガインそれ言う? おれも思ったけど!)
「し、失礼しました。あの……」
クネクネした女性は、一気に顔色を悪くして口ごもる。
ガインのデリカシー問題は、一度、改善策を考えるべきだろう。
「知らない仲じゃないんだろ? 会っていけば」
「うむ、そうか……」
クリスが助け船を出すと、女性はホッと胸を撫で下ろし、クネクネしながらギルド長のもとに案内してくれた。
(めげない女だな)
「久しぶりだなガイン。ベルカのギルド長から聞いたぞ。遂にあのグリフォンを倒したんだってな」
王都のギルド長は、獅子の獣人だった。
ギルド長はクリスに気がつくと「ギルド長のレオルドだ」といって、右手を出した。
「はじめまして。Bランク冒険者のクリスです」
「Bランク?」
レオルドは意外に思ったのか、ガインに視線を移してそう言った。
「実力はAランク上位だ」
ガインは躊躇することなくそう言った。
これはギルド側の判定がおかしいと言っているようなものだから、相手は気分がよくないだろう。
(デリカシー会議が必要だ)
だが、レオルドは気にする様子もなく「まあ、座れや」と、ソファへ案内してくれた。
「おまえがそう言うのなら間違いないだろう。討伐記録を確認してランクアップを申請してみるか?」
「いや、おれは、ガインと組むまで大した討伐もしてないし……」
ランクアップなど考えていなかったクリスは、いつもの癖で断ろうとしてしまう。
すると、隣から「チッ」と舌打ちが聞こえてきた。
「こいつは、ここまでくる間に、1人でアーマードボアを討伐した」
ガインはクリスが自分を下に見せる癖が気に入らないようだ。
なぜかいつも、機嫌を悪くする。
「アーマードボアを1人でやったと証明できるか?」
「えっ? まあ、傷を見ていただければわかるかと……」
「そうか、では出せ」
「は?」
ギルド長室は広い。だがキレイに掃除された部屋に出すのは気が引ける。
だがこの感じでは、こんなこと日常的にあるのかもしれない。
クリスは、ガインに貰った矢筒から、アーマードボアを出す。
「ドォン」「ミシミシ」
(床、大丈夫かな?)
レオルドは、ボアの傷を丁寧に確認した。口を開けて中の矢傷まで。
「確かに。大剣のあとは1つも残ってない」
「ちなみにグランドバジリスクとグリフォンは、2射同時射ちで両目を潰した。おかげでおれは、大剣を一振りするだけの簡単な仕事だった」
「そりゃすげぇ!」
レオルドは、クリスをまじまじと見つめた。
「よしっ、王都アルガギルド長権限で、お前をAランクと認める!」
(えー。ホントになっちゃったよAランク)
「クリチュたまっ! おめでとうごだいまちゅ!!」
「うぉっ! 喋った! そのちっこいのは獣人か?」
「ちっこいのではありまてん。タミアンでちゅ」
「おっ、いきがいいな!」
(その言い方「餌」みたいに聞こえるぞ!)
それからしばし、サミアンはレオルドにからかわれ、なぜか彼の「お気に入り」になった。
(そしておれの手元には金貨50枚が増えた…)




