13. 国境の町ベルカ
その後の旅路は順調に進んだ。ちょっとヤバめの魔獣も、ガインがしれっと一刀両断にするので、クリスとサミアンは、何もすることがなかった。
そして、トルクトス王国国境の町ベルカにたどりつくと、異様な歓迎を受けた。
「ガイン様! よくお戻りで」
検問所にいた犬の獣人は、ガインを見るなり道を開け、同行するクリスとサミアンも、面倒な審査を免除された。
(これが顔パスというやつか)
「なあ、入国料は払わなくていいのか?」
「ああ、Sランクになると入国はその国にとっての利益だということで、そのパーティーメンバーもすべての通行料を免除される」
パーティーメンバーになった覚えは無いが、それでいいというなら、素直に従おう。
「タミアンはエチュランクのパーティーメンバーでちゅ!」
(いや、おまえはそもそも冒険者登録すらしていないぞ!)
「このまま冒険者ギルドに向かうがいいか? 道中で倒した魔獣を換金するのでな」
ガインはマジックバッグを持っていた。容量から考えて金貨100枚はくだらない代物だろう。
なんと、途中で討伐したグランドバジリスクまで入っている。
(恐るべし、Sランク)
ギルドでは受付を通り越し、直接解体所に向かう。獲物が大きすぎてカウンターには収まらないからだ。
そこでもらった受領証で換金する流れのようだ。
マジックバッグを持たないクリスには、縁の無かった世界だった。
解体所に到着すると、いかつい熊の獣人が、ガインに気づき対応してくれた。
「よう、ガイン。久しぶりだな。なんだ? おまえ、仲間ができたのか?」
「そのようなものだ」
(おれとサミアン「そのようなモノ」らしい)
ガインの微妙に失礼な言葉に反応していると、サミアンが先に口を開いた。
「パーティーメンバーのタミアンでちゅ! いごおみちりおきを」
「あ、おれはクリス。Bランクです。以後お見知りおきを」
サミアンが謎に難しい言葉を使うので、通訳を兼ねて挨拶する。
「おれはここの所長をやってる。ボルグだ。よろしくな。で、今日は何を持ち込むつもりだ?
「これだ」
ガインはマジックバッグから、おもむろに、グランドバジリスクの胴体を取り出す。
そしてついでのように、ワイバーンを3匹追加した。
「グランドバジリスクじゃねぇか? こんなもんソロで狩ってくるのはおまえくらいのもんだ」
これがガインの日常なのか、ボルグの反応は、思ったほどではなかった。
「今回はソロじゃない」
最後にグランドバジリスクの首を出すと、その両目にはクリスのつけた矢傷が残っていた。
「ほう。にいちゃんがやったのか?」
ボルグはギラリと目を光らせ、クリスにそう尋ねた。
「ま、まあ、一応」
クリスがそう言うと、ボルグはガインに向き直り「いい仲間見つけたじゃねぇか」と言って笑いながら、ガインの肩をバシバシ叩いた。
他の獲物も受領証を出してくれるというので、クリスが道中で討伐した小型魔獣をサミアンのリュックから出していく。
ゲイルシュライクが入っているのを見たボルグは、感心しながら、上機嫌で受領証の記入をしてくれた。
ギルド内に戻り換金に向かうと、皆がガインに注目した。ガインの平常ぶりからすると、トルクトス国内ではどのギルドでもこんな扱いのようだ。
「受領証をお預かりいたします」
先にクリスが換金すると、Cランク魔獣が混ざっていたこともあり、金貨2枚銀貨7枚大銅貨3枚の稼ぎになった。
(入国料も免除されたし、これならあんなに準備しなくてもよかったな)
「これはおまえの分な」そう言ってサミアンの空の小銭入れに、大銅貨1枚を入れてやる。
「大銅貨でちゅ! クリチュたま。ありがとうごだいまちゅ」
そんなほのぼの時間を過ごしていた2人の耳に、信じられない金額が飛び込んでくる。
「こちら、今回の報酬、金貨120
枚になります」
(きんかひゃくにじゅうまい!?)
「どうも」
あんぐりしている2人の横で、ガインはその重そうな袋を、手慣れた様子でマジックバッグにしまった。
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