フェニックス4
side:ユーリオン
ニクスのおかげで、呪いだ何だの話は消え失せた。
でも、そのせいで、多くの人間に本来の姿を晒す事になってしまった。
人の口には戸が立てられないし、良くも悪くも、人から人へと噂は広まっていく。
100年以上、目撃されていなかったフェニックスが現れたのだ。
その話題性は強いし、噂である以上、尾ひれなんかも追加されていくのだろう。
フェニックスは、その不死性から、特に権力者なんかに狙われている。
不老不死なんていう、眉唾物の話を信じているらしく、血眼になって捜している者もいるそうだ。
そんな煩わしい連中に狙われる事も考慮したうえで、ニクスは助けてくれた。
その気持ちに応える為にも、ニクスが嫌な思いをしないように護らなければ。
心の中で誓いを立てつつ、屋敷の方へと、こっそり移動を開始する。
今のタイミングで見つかれば、しばらくは解放してもらえないだろうと予測したからだ。
ひとまずは落ち着いたが、まだまだやる事は多い。
今後について、ジェードと相談しなければ。
外に出ている者が多く、何度か見つけられてしまったが、なんとか囲まれる前に屋敷へと戻れた。
ようやく落ち着けた所で、1人足りない事に気付く。
「あれ、ヴィルトは?」
「ヴィルトさんなら、屋敷とは別方向に向かっていきましたよ」
エレナが知っていたようで、答えてくれる。
「どこに向かったか聞いてる?」
「すみません、そこまでは」
「ううん、気にしないで」
エレナが申し訳なさそうにするが、気付かなかった僕が悪い。
はぐれた訳じゃなく、自分の意思で何処かに向かったのなら、問題は無いだろう。
本日の功労者であるヴィルトを労う為にも、食べたい物とか聞いておきたかったんだけど……。
こういう時、気軽に連絡を取れるスマフォとか無くて不便だなと思う。
とりあえず夕食は、お肉料理を多めにしておこう。
ニクスもお肉大好きだし、その方が良いだろう。
そろそろ超激辛ソースも減ってきてたし、近い内にまた、エルフの森に行きたいな。
ニクス以外使わないんだけど、色んなものにかけるからなぁ。
そんな事を考えていると、ドタバタとジェードが走ってやって来る。
普段は落ち着きのある老紳士だけに、その慌てようが良く分かる。
「ゆ、ゆ、ゆ、ユーリオン様ぁッ! ふぇ、ふぇ、フェニックスが!?」
「落ち着いてジェード、そんなに興奮したら体に障るよ?」
「こ、これはすみません……いや、落ち着き過ぎでは!?」
「……確かに」
あまり落ち着いているのも不自然だったか。
これではフェニックスについて、何か知っていたと見られかねないな。
「いや、ビックリし過ぎて、逆に一周回って落ち着いてしまったというか…」
「…そう、なのですか?」
「それよりも、街の修理とか、闘技場の事とか、色々話し合わないと」
「そうでしたね、そちらもどうにかしなければ」
誤魔化しきれてないだろうが、なんとか話をズラすのであった。




