フェニックス2
ジェードが街中に届くよう、魔獣討伐の吉報を広めさせた事。
ユーリオン達が広場にて、討伐の証となる魔獣の一部を展示した事。
それによって、続々と広場に住民達が集まっていく。
住民達が畏まらずに済むよう、少し離れた位置から、ユーリオン達はその様子を窺う。
(安堵の表情は見られるけど……思ってたより、反応が悪い?)
ユーリオンの中では、良い意味で、もっと大騒ぎになると思っていた。
失われた命は戻って来ないし、破壊された物とて直ぐには直らない。
しかし、魔獣の危機は去ったのだから、歓声やヴィルトを称える声が広がるものかと。
歓声を上げる者や、テンションが上がって、はしゃぐ者だっている。
だが、そうじゃない者達の会話がユーリオンの耳まで届き、その理由が判明する。
「領主の不正、それによる反乱、そして今回の魔獣騒動……もう、うんざりだ」
「なんで、ここばっかり」
「…ハッ、この街、呪われているんじゃないか」
「呪いか…なら次は、空からドラゴンでも来るんじゃないか?」
「ドラゴンなら、死ぬ前に一目見てみたい気もするが、疫病かもしれないぞ?」
良くない事が続いた為、また次もあるのではと、住民の中で不安が広がっていたのだ。
精神的に弱まっていた事もあり、誰かが発した『呪い』という言葉が、少しずつ広まっていく。
そして、住民達の間で、それっぽい理由が出来上がってしまう。
〝ああ、フェニックスの呪だ〟
〝名を使った事で、怒りを買ったのだ〟
冷静に考えれば、前領主関連の事は、領地の名を変える前の事で関係は無い。
しかし、不安と不満、混乱が渦巻く中では、何かのせいにしたがるのが『人』というものだ。
(馬鹿な連中…呪うなんて面倒な事するくらいなら、燃やすわよッ!)
「そう、言わないであげて。彼らは怯えているだけなんだから」
少し前に合流していたニクスが、不快さをあらわにする。
やってもいない事で疑われたのだ、気を害するのも仕方がない。
今にも飛び掛かりそうなニクスを、ユーリオンが撫でながら宥める。
(…ちょっと不味いな……
呪いなんて無いと言った所で、根本的な要因を排除しなければ意味が無い。
不安を払拭する何かを考えなければ、この状況は危険だ)




