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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第10章 フェニックス領2(仮)
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見下ろす者達2


(不味い 不味いッ! 不味いッ!! クソっ! どうすればいい!?

 魔獣に逃げられた際、本国に応援を頼んだのが間違いだったか?

 いや、俺1人では手に余るし、下手に隠して後からバレた時の方が恐ろしい。

 何より、このお方が来るだなんて、誰が予想できると言うんだ!!

 クソッ! 元はと言えば、海が荒れたせいだッ!!

 順調に航海さえできていれば、今頃は帝国に魔獣を放てていたものを…

 違うッ! 頭を切り替えろッ! 過去を悔やむより、最優先は今どうするかだッ!!) 


 下げたままの頭で、男が必死に頭を働かせる。

 しかし、時間は待ってなどくれない。


「グランファーレル、ルナマリア、フォレスティアの3つの大国が敵になるかもしれないわね」


 決して笑えるような話では無いのだが、少女はどこか可笑しそうに言う。

 一方、言われた男の方は、たまったものではない。


 冷静に思考しようとしているのに、改めて言葉にされた事で、重圧がかかる。

 大国3つを敵に回す可能性、そんな責任は、個人で取れる範囲を大幅に超えているのだから。


「……この首1つで、手打ちにしては頂けないでしょうか?」 

「あら、知らなかったわ。 貴方の首にそれだけの価値が有っただなんて」

「………」


 男とて、死にたくは無い。

 だが、死ぬ事よりも恐ろしい事を知っていた。

 死にたくても死ねない事が何よりも恐ろしい。


「加害者は私達で、被害者はあの子達。

 どんな責任を取るべきか決めるのは、貴方じゃないわ。

 今は、ごたついているでしょうから、少し時間を空けてから謝罪に向かいましょう」


 男が少女の言葉を聞いて理解した時、下げっぱなしだった頭を上げてしまう。

 それほどまでに、少女の言葉に驚いたからだ。


「なッ!? 魔王様自ら謝罪に行かれるおつもりですか!?」

「そういう可能性もあるかなと思って、私自ら出向いて来たのよ」

「なりませんッ! 配下のミスを王に謝罪させるなど、ありえませんッ!!」

「私だってプライドはあるもの、そう簡単に頭は下げたくないわ。

 けれど、いざという時に責任を取るのも、上の者の務めだし、仕方ないじゃない」


 先ほどまで、いかに自分の罪を軽減するか思考していた男の表情が一変する。

 止まらなかった汗もいつの間にか止まっており、先ほどよりも全力で考える。


「……魔王様のお力ならば、あの街の住民全てを魅了し、支配する事も可能ではないでしょうか?」

「一時的には、可能かもしれないけれど、魅了は永遠では無いし、人によって耐性も違う。

 現実的な案では無いわね。こういう時は、下手に拗れるより、素直に謝罪するものよ」


 男は、王が謝罪するという事に納得できず、必死に考えるが、良い案は思いつかない。

 男に出来たのは、再び頭を下げる事だけだった。


「……必要とあらば、この身、如何様にもお使いください」

「反省しているなら、今はそれで良いわ。

 さっきまでの貴方、どうしたら怒られずに済むか、そんな風に考える子供みたいだったもの。

 100%貴方が悪い訳でも無いけれど、油断から発生したミスなのも事実。

 相手次第ではあるけれど、今後があるなら、今回の失敗を経験として活かしなさい」


(……俺程度の浅慮など、最初からお見通しだったわけか…) 

「魔王様の御言葉、しかと胸に刻ませて頂きます」


 少女は、男の方を一瞥すると、またユーリオン達の方へと視線を戻す。

 

「やっぱり、たまには外に出てみるものね。あの子、とても興味深いわ」

「確かに大罪系スキルは珍しいですね。しかし、何故オークがこんな場所に、それも1人で?」


 男の言葉に、少女が少し不機嫌になる。

 それを感じた男は、また頭を下げたくなる。


「違うわ。

 私が興味深いと言ったのは、あの小さな男の子の方よ。

 それにオークの方なら、〝憤怒〟を3割も使えていないようだし、特に興味は無いわね」


(〝フェロウシャスラーテル〟を蹂躙したあの力で3割!?

 物理耐性の高い奴等を、物理で殴り殺すほどの力なのに…

 それを事も無げに言ってしまえるなんて…) 


「そ、そのぅ、あの少年の何が魔王様の興味を惹かれたのでしょうか?」

「……ハァ……白銀の髪は高位エルフの証よ…貴方、本当に勉強不足ね。

 あの子次第で貴方の首が飛ぶのだから、せいぜい機嫌を損ねないように気をつけなさい」


 男がもう何度目か、頭を下げ謝罪の言葉を口にする。

 しかし少女は、そちらを一瞥する事も無く、興味深げにユーリオンを見つめるのであった。



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