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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第10章 フェニックス領2(仮)
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ケモノとバケモノ4



「Grrrrruuuu!!!」


 縄張りを荒らされたと判断した獣が、ヴィルトに対し咆哮(ほうこう)する。

 そして、その咆哮で、寝ていたもう2匹の獣も目覚める。


 親である2匹が目覚めと共に周囲を見渡し、状況確認を行う。

 観客席に立つユーリオン達にも当然気づき、咆哮と共に警戒心を(あらわ)にする。


 2匹と2人の視線が交差するが、結果としては、どちらもその場から動かなかった。

 2人はヴィルトに任せている為、2匹は動かぬ2人より、子が相手している方を警戒した為だ。


 ()しくも、2人と2匹が見守る中、中央のステージ内で戦闘が始まる。

 

 最初に仕掛けたのは、獣の方だった。

 その巨体による突進は、単純な動き以上の恐怖を感じる。


 ヴィルトは避ける事をせず、両手で受け止める。

 吹き飛ばすつもりだった獣は驚き、1度、軽くバックステップで下がる。


 今度は、鋭い鉤爪のある右前肢を振り下ろす。

 これをヴィルトは左手だけで押さえ、同じく振り下ろされた左前肢も右手だけで押さえる。


 獣と両手で掴み合っている状態になる。

 後肢だけで立つこの体勢を嫌った獣が、その凶悪な顎でヴィルトの頭に喰らい付く。


 急所である頭こそ回避できたが、肩を噛み付かれ、肉が少し抉れる。

 ヴィルトには、『痛覚軽減』と『自己再生』のスキルがある。


 だが、痛みは完全に消せないし、抉られた血肉とて直ぐに治る訳では無い。

 ユーリオンと戦った時、直ぐに腕を治せたのは、奇麗に切断され、血以外を失わなかったからだ。

 

 獣の方は、口の中の肉をクチャクチャと咀嚼する。

 しかし、体毛の少ないヒューマンとは違い、オークであるヴィルトは体毛に覆われている。

 それが気にくわなかったのか、ペッと吐き出す。


 ヴィルトと戦う獣も、それを見守る2匹も、自分達が有利で一方的に傷を与えた事に喜びの声をあげる。

 だが、そんな状況もここまでであった。


「穢れし我が魂 その根源たる罪よ」


 相対する獣には、ヴィルトの言葉の意味は分からなかった。

 だが、獣の感とでも言うべきか、漠然と嫌な気配を感じ始める。


「汝が名は〝憤怒(イラ)〟」 


 先ほど上手く行ったからか、同じような攻撃を繰り返す。

 違ったのは、最後の噛み付きに対し、ヴィルトが頭突きを繰り出した事だ。


「怒りを燃やせ 命を燃やせ 魂を燃やせ」


 反撃された事、痛みを受けた事に、怒りの唸り声をあげる。

 

「紅蓮の業火よ 赦されざるその罪を揮え」


 恐怖を感じてしまった獣が、それを否定するように、振り払うように、ヴィルトに向かい突撃する。


「大罪解放」


 力を開放する為に必要な、最後の呪言を言い終える。

 それと同時、ヴィルトの身体が燃え上がり、言葉にならない雄叫びを上げる。


 比喩でも何でもなく、ヴィルトの身体が一回りも二回りも大きくなっている。

 相対する獣からすれば、それ以上に大きく映っている事だろう。


 自らに突撃してきた獣に対し、両手をハンマーのようにして叩きつける。

 その勢いは凄まじく、リングにヒビが入るほどだ。


 また怒りの雄叫びを上げると、追い打ちで何度も拳で殴り続ける。

 普通の人間であれば、この時点で死んでいる。

 だが、幸か不幸か、相手は巨大な獣であり、打たれ強かった。


 次にヴィルトは獣の尻尾を両手で掴むと、振り回しては、リングに何度も叩きつける。

 ヴィルトも大きくなったとはいえ、それでも獣の方が大きく、体重だって重い。


 まるで重さを感じていないかのようだ。

 その攻撃に耐え切れず、尻尾が引きちぎれてしまった獣が途中で落下する。


 流石に不味いと思ったのか、親である2匹の獣がリングに向かい駆け出す。

 だが、その判断は遅かった。


 ボロボロになった獣は、味わった事の無い痛みと恐怖に震え、掠れた声で親に救いを求める。

 意に介さないヴィルトは、そんな獣の肢を1本、また1本と引きちぎり、放り投げていく。


 最後に頭を頭蓋骨ごと砕くと、その元は獣であっただろうナニカを、向かって来る2匹に投げつける。

 子を殺され、怒りに震える2匹の咆哮が響き渡る。


 だが、それ以上の怒りと雄叫びが、その咆哮を掻き消す。


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