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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第10章 フェニックス領2(仮)
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ケモノとバケモノ3


 side:ヴィルト


 俺は、自分が1番大事だし、身を挺してまで誰かの為に動く気にはなれない。

 それも今回の相手は、人を食らう様なモンスターだ、危険だし関わりたくも無い。

 

 ベンとケビン、それにハンスとだって、まだ友達と呼べるほど時間を共有していない。

 誘われてはいたが、断ってしまったので、仲間ですらない。

 

 偶々同じ場所で汗水を流して働き、偶々気が合い、偶々仕事終わりに飲んで騒いだだけの関係だ。

 アイツ等がやられた時だって、薄情だと思われようが、敵討ちをする気すら起きなかった。

 そんなのは、ガラじゃ無いしな。


 だけど、死に際に託された想いくらいは聞いてやるつもりだった。

 ガキなんか嫁に貰うつもりは無いが、助けた後は、ユーリオンに任せりゃ何とかなると思ってた。


 だが、助けに来てみりゃ、もう、生存者はいないだって?

 そりゃぁ、現実なんだ、都合良くいかない事だってあるだろう。


 だとしても、この結果はあんまりじゃないか。

 なら、3人の行動は無意味で無価値、無駄死にだったって言うのか?


 ハッ、お陰様で思い出したよ、いや、思い知らされた、か。

 前世の時から頑張ろうとした時、頑張った時、いつだって報われなかった事を。


 死んで、異世界に生まれ変わろうが、本質は何も変わってないのかもしれない。

 俺は世界が大嫌いだが、世界も相当俺が嫌いらしい。


 瓦礫を殴り壊し、進んで行くと、クマよりでかい獣が、人の頭を転がして遊んでいやがる。

 

 ああ、良かった。

 こいつら相手なら問題なく使える。

 だってもう、抑えが効かない程、殺したくて壊したくて仕方がない。

 

 side:ユーリオン


 ヴィルトは離れていろと言ってたけど、はいそうですかと、全て任せる訳にはいかない。

 魔糸を編んで紐にし、紐を編んでロープとして外壁を登り、ピエリスと2人、観客席へと移動する。


 もちろん、ただ観戦する為に登ってきたのではない。

 いざという時に、直ぐに対処できるようにする為だ。


「アイツ1人で、本当に大丈夫なんですか?」

「結果を先に言うなら、99%ヴィルトが勝つよ」

「そんなに……残りの1%は?」

「敵が戦わず、即座に逃げる事を選択した場合かな」

「つまり、戦えば100%勝つと…ユーリオン様の言葉を疑う訳じゃ無いんですが」


 ピエリスから、にわかには信じられないという気持ちが伝わってくる。

 まあ、普段の様子からすれば、信じられないのも仕方がない。


「僕とヴィルト、戦えば、どっちが勝つと思う?」

「それは流石にユーリオン様では?」

「そうだね、喧嘩とかなら、多分僕が勝つと思う。

 だけど、もしも、本気の殺し合いになったら、きっとヴィルトが勝つんだ。

 まあ、死にたくないし、殺されるつもりも無いから、その時は全力で逃げるけどね」


 余程信じられないのか、ピエリスが、先ほどよりも驚いた表情で見せてくる。


「アイツ、そんな凄い切り札を隠し持っていたんですね」

「切り札と言えば、そうなのかもしれないけど、できれば使ってほしく無かったよ」


 ピエリスが、その意味を尋ねるより先に、戦いが始まった。



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