アルムとアン
せっかく来たので、露店の食料品なんかを見てく事にする。
珍しい物やお買い得な商品があれば購入するのだが、特にこれといった物は見つからなかった。
減ってきている食材など、いくつか買っても良い商品はあった。
しかし、買えば荷物になるし、その荷物をストレージかアイテム袋に入れれば、どうしても目立つ。
今は1人なので、あまり目立つと余計なトラブルを招く事になる。
よほどの事が無い限り、1人でも対処できるのだが目立たないに越した事は無い。
一通り見終わったし、帰ろうかなと思ったタイミングで後ろから声をかけられる。
「ちょっといいですか」
「はい?」
振り返ると、そこにはヒューマンのおじいさんと10歳くらいの女の子がいた。
「ああ、やっぱりそうだ」
「あのぅ」
向こうは僕を知っているようだが、僕の方には見覚えが無い。
服装から判断するに、少なくとも貴族とかでは無い様なので、余計に分からない。
「ああ、戸惑わせてしまいましたね、すみません。
偶然お見かけしたのですが、再度お礼を言いたくて声をかけさせて頂きました。
その節は乳製品や卵を購入して頂き、本当に助かりました」
ようやく思い出す。
だいぶ前の話になるし、あの時は特にお互いに名乗る事もしなかったので、忘れてしまっていた。
「すみません、忘れてしまっていて」
「いえいえ、私の方は目立つ容姿でもないので、気になさらないでください」
忘れていた僕の方が悪いのだが、むしろおじいさんの方が申し訳なさそうにする。
そんなおじいさんの足にくっつき、後ろに隠れている女の子はお孫さんだろうか?
「すみません、この子はどうも人見知りでして。 ほらご挨拶は?」
「………」
口を開こうとするも、目を閉じてしまい、おじいさんのズボンを握りしめる。
「本当にすみません」
「いえ、気にしないでください。今日は商品は残っていないのですか?
以前購入した物はどれも美味しかったので、また購入できれば嬉しいのですが」
誰にだって苦手な事はあるものだし、話題を変える事にする。
すると、おじいさんは更に困り顔に、お孫さんは今にも泣きだしそうな表情になる。
「……そう言って貰えると嬉しいのですが……もう、お売りする事はできないのです」
「……っ…う……うぅ…」
おじいさんが悲しそうに言うと、お孫さんが泣き出してしまった。
「なにかあったのですか?」
「……いえ、どうにもならない事でして…」
「力になれると、軽々しく約束はできません。
ですが、もしも問題が無いのなら話しみてはくれませんか?」
何か事情がありそうだし、立ち話は何なので近くの店で話を聞くのだった。




