くま2
釣った……いや、釣ってはいないか…。
捕った魚の鱗と内臓などを処理し、良く洗ってから塩を多めに振る。
後は木の枝を刺して焼くだけだ。
自分の分だけだし、2匹くらいかな。
足りなかったら、追加で焼けば良いしね。
……視線が気になる。
クマが魚捕りにも戻らず、ジッとこちらを見ているのだ。
目が合うと、縫いぐるみのような姿で座り、右手を口に当てて首をかしげる。
悔しいが可愛く見えてしまう。
……しょうがないなぁ。
言語スキルをONにし、声をかける。
「こっちへおいで。一緒に食べよう」
「あざーす。ゴチになります」
……しゃべると全く可愛くない…。
川を渡ってこちらへ来る。
「あ、自分の分も焼いてもらって良いすか」
「うん」
大した手間もかからないので、構わない。
「あ、内臓はそのままで良いんすけど、塩を控えめで。健康管理には気をつけないとっす」
このクマ、野生なのに意識高いな!
妙に人馴れしているし、どこかで飼われていたのか?
まあ、いいか。
焼き始めると、塩焼の良い香りが漂う。
変なクマだけど、1人で食べるよりは良かったかもしれない。
雑談をしながら焼きあがるのを待つ。
「そろそろ良いかな」
良い感じに焦げ目もついて美味しそうだ。
クマの分を渡すと、フーフーしている姿がちょっと可愛い。
「自分猫舌なんすよね、クマだけどハハッ」
やっぱり喋ると可愛くない。
食べる方に意識を傾けると、新鮮な川魚の塩焼が本当に美味しい。
たまにはこういうシンプルなのも良い。
ヴィルトの分も焼いて後で渡すとなると、お土産にするには足りないな。
もう少し釣……捕ってから合流しよう。
食べ終わった後、追加で魚を捕らえた。
ヴィルトの分を除いても、合計で10匹いるので足りるだろう。
お礼に乗せてくれると言うので、クマの背に乗り合流地点に向かうのだった。




