麻雀
「……できた」
この日、ユーリオンがコツコツと頑張って作っていた麻雀セットが、ようやく完成した。
奉納する為に作っていたので、完成度はもちろん、素材にもこだわっている。
牌や点棒、サイコロなどには、依然倒したロックドラゴンの素材が使用されている。
奉納するなら最高の物をと、象牙の麻雀牌にヒントを得た結果だ。
竜素材というだけでも希少なのに、なんと元は高レベルな竜の素材だ。
普通なら売って金にするか、武器や防具を作るかの2択だろう。
竜を使った武具を所持していれば、冒険者として箔が付くし、自慢にもなる。
戦闘を生業にする冒険者ならば、誰もが憧れる竜素材だ。
そんな希少素材を遊具に使うと聞けば、冒険者でなくとも誰もが止めた事だろう。
幸か不幸か、知ってか知らずか、ユーリオンを止める者はいなかった。
そして卓にも当然こだわっており、フォレスティア産の最高級木材を使用している。
流石に全自動麻雀卓の様な機能までは付いていない。
だが、今のユーリオンに作れる最高の品だ。
仮にこれを売ろうとした場合、いったいどれほどの値がつくのか恐ろしい。
麻雀という新しい遊戯、それに必要な最高級の遊具。
おそらく上級貴族でも簡単には手が出せず、欲と理性の狭間で大いに悩む事だろう。
「できたけど……どうしよう。
奉納するなら新品だけど、未プレイでは不具合があっても気づけない。
だけど、一度使った物を奉納するのもなぁ……」
完成を目標にしていたので、これまでは考えてなかった事だ。
ユーリオンが腕を組み、目を閉じて悩む。
「とりあえず、並べてみよう」
誰かと試しに遊ぶ事はせず、並べて確認作業だけ行う事にした。
混ぜる必要は無いので、牌に傷が付かぬよう少しゆっくりと並べていく。
「うん、形の不揃いは無さそうだし、重ねた時に崩れたりもしない」
どうやら、とりあえず問題は無さそうだ。
片付けると、早速、奉納する為の準備に取り掛かる。
祭壇を準備し、お供え物としてお酒なども混ぜておく。
そして目を閉じて祈ると、待ってましたと言わんばかりに祭壇が光り輝く。
目を閉じていても分かるくらい光っていたが、徐々に落ち着いていく。
ユーリオンがゆっくりと目を開けると、無事奉納できた事が確認できる。
「よし、次は自分達用に作ろう……やっぱり、少し休んでからにしよう」
また作る事の大変さを考えると、やる気にストップがかかるのであった。
「呆れたぜ……とんだ妄想野郎だ……
いいか…作家が夢見る時代は もう終わったんだ!!
入賞!? 書籍化!? 大人気アニメ化!?
夢に目がくらんだアホ共は気づかねェ…!!
このネットの海に溢れる野郎共が幻想に振り回されて死んでいく!!
死んだバカはこう言われるのさ『あいつは夢を追いかけて幸せだった』と」
「………」
「ハハッハ…!! 負け犬の戯言だ!!
そういう夢追いのバカを見てるとオレぁムシズが走るんだ!!
てめェみてェな半端なヤロー共が作家でいるから同じ作家を名乗るオレ達の質まで落ちる
さっさと失せろ! 働けるうちにな!! ザコ共」
「………」
「ゼハハハハハ この作品はやっぱり最高だ!!
アイツらの言う事は クソだ
作家が夢を見る時代が終わるって………!? えェ!? おい!!
ゼハハハハハ!! 人の夢は!! 終わらねエ!!! そうだろ!?」




