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転生したら、圏外なのにAIだけは動いていた  作者: イロハ


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第1話 転生したら、圏外なのにAIだけは動いていた(前編)

※この物語に登場する「AIチャット」は、現実の特定のサービスを再現したものではなく、本作オリジナルのAIです。


もし異世界に転生したとして、最強の剣も魔法も与えられなかったら。


手元に残ったのが、圏外のスマホと、なぜか動き続けるAIチャットだけだったら。


この物語は、異世界を何も知らない主人公と、異世界を何も知らないAIが、互いに試行錯誤しながら生き抜いて互いに成長していく冒険譚です!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!!


――痛い。


最初に感じたのは、それだった。


全身が鉛みたいに重い。


瞼を開けると、空が見えた。


青い。


雲ひとつない。


「……あれ?」


ゆっくりと体を起こす。


周囲を見渡した瞬間、思考が止まった。


森だ。


見渡す限り、木、木、木。


アスファルトも電柱もない。


車の音も、人の話し声も聞こえない。


聞こえるのは風が葉を揺らす音と、どこかで鳴く鳥の声だけだった。


「……どこだ、ここ。」


最後の記憶を思い返す。


仕事帰り。


コンビニで缶コーヒーを買って、スマホを見ながら横断歩道を渡ろうとして──。


強烈な光。


ブレーキ音。


そして、何かに吹き飛ばされる感覚。


そこから先は覚えていない。


「……いや。」


乾いた笑いが漏れた。


「これ、もしかして……死んだ?」


ネット小説で何度も見た展開が頭をよぎる。


事故。


死亡。


異世界転生。


「そんな都合のいい話あるかよ。」


そう口では言いながらも、目の前の景色は現実離れしすぎていた。


夢にしては妙に空気が冷たい。


土の匂いも、風が肌を撫でる感覚も妙にリアルだ。


頬をつねる。


痛い。


「夢じゃないのか……。」


ひとまずポケットを探る。


財布はない。


家の鍵もない。


イヤホンもない。


残っていたのは、一台のスマホだけだった。


「……お前だけか。」


見慣れたロック画面に少しだけ安心する。


電源は入る。


充電は百パーセント。


画面左上には、予想どおり『圏外』の二文字。


「まあ、そりゃそうだよな。」


基地局があるような場所には見えない。


いや、そもそも異世界なら繋がるはずがない。


時計代わりにでも使うしかないか。


そう思って画面を閉じようとした、その時だった。


ピコン。


通知音が鳴った。


「……は?」


目を疑う。


画面には見慣れない通知が表示されていた。


AIチャット

『ご用件を入力してください。』


「え?」


反射的に通知を開く。


真っ白な画面。


入力欄。


本当に、普段使っているAIチャットそのものだった。


「いや、いやいや。」


思わず周囲を見回す。


誰かがドッキリでも仕掛けているのか。


もちろん誰もいない。


「圏外だぞ?」


試しに入力してみる。


«なんで動いてる?»


数秒後。


『通信環境については確認できません。現在も応答可能です。ご質問があれば入力してください。』


「……説明になってない。」


少し考えてから、もう一度入力する。


«ここどこ?»


返答はすぐだった。


『現在地を特定できません。位置情報を取得できないため回答できません。』


「そういう意味じゃない。」


ため息をつく。


«ここって異世界?»


数秒の沈黙。


『十分な情報がありません。断定できません。』


「現実的すぎるだろ……。」


思わず笑ってしまった。


勝手に期待していたのだ。


異世界なら、AIが全部教えてくれるんじゃないかと。


でも返ってくるのは、普段と変わらない慎重な回答ばかり。


万能でもなければ、未来も知らない。


ただ質問に答えようとしてくれるだけのAI。


なのに、そのやり取りが少しだけ安心できた。


この世界で、日本語が通じる相手が一人だけいるような気がしたからだ。


「じゃあ聞く。」


入力する。


«この森で生き残るには?»


AIは数秒考えたあと、箇条書きで返した。


**『一般的なサバイバルでは以下を優先してください。』


『・安全な場所を確保する』

『・飲み水を探す』

『・暗くなる前に避難場所を見つける』

『・毒性が不明な植物やキノコは食べない』

『・大型動物との接触を避ける』**


「……普通だ。」


でも、その普通がありがたかった。


少なくとも今の俺には、何を優先すればいいのか分からない。


AIは異世界を知らない。


だけど、生き延びるための知識は持っている。


「案外、頼りになるかもな。」


そう呟いた瞬間だった。


ガサッ。


近くの茂みが大きく揺れた。


風じゃない。


何かいる。


嫌な予感がした。


ゆっくりと視線を向ける。


次の瞬間、草むらの奥から赤い二つの瞳が、じっと俺を見つめていた。

第1話前編いかがでしたでしょうか!


もし異世界転生してスマホしか無ければ最近だとAIに聞くしかないですよね笑

なにか特別な力くれよ!って思いますけど実際に異世界転生すると私もこうなりそうで怖いですт т


後半も明日、明後日に更新しますので是非お楽しみに!

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