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写真を八枚にしてはいけない  作者:


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10/23

10.保科 勇気3

 目が覚めた。


 いやー、もう十一時だ。よく寝た。

 さて、休日の始まりだ。棚の上の携帯に目が行くが、まだ出かける気分じゃないな。


 とりあえずメールでもチェックして。

 あー、そういえば昨日飲んだちょっといいビールの写真、SNSにあげておくか。良い休日を過ごしてますよっとね。


 俺は自分のスマホを手に取り、写真フォルダを開いた。


「……あれ、なんだこの写真」


 思わず声が出た。

 ビールの写真のすぐ横に、見覚えのない画像が保存されていた。


 これ、昨日の拾った携帯に入っていた中学生じゃないか?


 急いで拾った携帯を開き、画面を見比べる。

 まったく同じだ。学生服を着た男の子が、画面の向こうから満面の笑みを浮かべている。

 すごい笑顔だな。……じゃなくて。


「なんか、Wi-Fi経由で感染するウイルスか?」


 うーん、そういう小難しいことはよくわからん。

 とりあえず削除しとくか。ウイルス対策アプリ、しっかり働けよー。


 ……あれ。消せない。消せないぞ。


 なんかヤバそうだな。なんだこの性格の悪いウイルスは。

 困ったな。とりあえず、感染源らしきこの危険な拾い物の携帯は、電源を落としておくか。


 仕方ない。面倒だが、早く警察に持っていきましようかね。



 携帯をどうするか考えながらテクテク歩いていくと、駅前の交番に着いた。


 ……閉まっていた。


「え、交番って閉まるの?」


 窓口には無情にもブラインドが下りており、『御用の方はこちらの電話で』という案内書きがある。

 とはいえ、「携帯拾いました」程度の用事で、わざわざお巡りさんを呼び出すか?


 うーん、明日にするか。

 仕事に行くときの朝の時間帯なら、いつも誰かしら立っているもんな。

 あー、何だよ。せっかくここまで来たのに。



 ため息をつきながら帰り道を歩いていると、道端に猫がいた。

 ブロック塀の上で、気持ちよさそうに丸くなって寝ている。


 これはシャッターチャンス。

 俺は画面も見ずにスマホを構え、瞬間的にシャッターを切った。こういう早撃ちは得意なのさ。


 パシャリ。


 上手く撮れたか確認するために画面を見る。

 ……インカメラになっていた。


 画面いっぱいに、間抜けな自分の顔がドアップで写っていた。

 気を取り直してカメラを切り替えようとしたが、物音に気づいた猫はあっさりと逃げてしまった。


 良くない。今日はなんだか、良くない一日だ。

 しかし、俺は過去は気にしない。未来に進む男なんだ。



 帰宅して、ソファでのんびりとくつろぐ。

 気を取り直してSNSを開こうと、ふたたび自分のスマホの画面を見た。


 写真のフォルダが目に入り、俺の親指がピタリと止まった。


 あの写真が、また増えていた。


 あれ?





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