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城ではない


 期待していたものではなかった。が、期待した以上の建物がそこにはあった。

 私の目の前に、全体が黒いガラスのような素材でできた、半球をした建物が姿を見せた。それは、あまりにこの国の風景と逸脱していた。

 黒い瞳のように、茶色の大地に現れた黒い半球体。地上のブラックホールという比喩が面白いかもしれない。

「これが?城なの?建物?」

 私は動揺が隠せ無かった。

「あぁ。どうだ?中にはいってみるか?」

 ハゲは黒い建物を指差した。

「中に入れるんですか?というより、何処から中に入るのよ」

 見たところ、入口らしき部分は何処に見当たらなかった。ハゲの頭の様に、太陽によって光り輝き、のっぺらとした表面に凹凸は見当たらない。

 私は吸い寄せられるように、建物の表面に手をついた。

 ガラスだと思っていた素材は、明かにそうではない事が分かった。ガラスの様に透明で中が透けて見える事は無かった。さらに、鉄やプラスチックといった素材でもない。私の知っている限りでは、これに近い素材には出会ったことがない。

 後ろから、

「旅人さんでも不思議かい?」

 とハゲが私に尋ねた。

「そうね、全く何か分からないわ。ハゲは知ってるの?これが何か?」

「ソーラーパネルっていうらしい。正直な話、名前しか分からん」

「空のパネル?また、不思議な名前へね」

 建物は、空を反射して雲や太陽を映し出していた。鏡の様に空を映し出すそれは、空のパネルと読ぶのに相応しいのかもしれない。

 けど、こんな立派な素材が、まさか空を映すために作り出されているとは考えにくいのだけど。

 ここで初めて、私は記録の書物を置いてきたことを後悔した。ここにいる間に、絶対に写真へとおさめに来ようと心に誓った。

「こっちだ」

 ハゲが私の事を、手招いた。

 近づいて、ハゲが指差す場所を見る。すると、微かに人が扉の様に薄い線が走っている部分があるのが確認できた。どうやら、ここが入口らしい。

 そっと力を入れて押そうとすると、扉は自動的に横へとスライドした。りんごの管理人の建物にあった、ガラスで作られた自動で開く扉に似ている。

 開いた扉の中は、薄暗い通路が続いていた。通路もまた見たことがない素材で作られている。プラスチックに近い何か、としか分からなかった。

 私は我慢しきれずに、建物の中へと足を踏み入れたが、

「これ、入って平気なの?お城なんでしょ?警備が弱すぎない?」

 と思いついて足を止めた。

 振り向くと、ハゲはニコニコとした表情を作り出していた。

「大丈夫ですよ。城はこの中です」

「…中?」

 腰に付けているサバイバルナイフに片手を添えて、中へと足を踏み入れた。少しずつ足を進めていくと、後ろからハゲが付いてくる気配を感じ取る。

 罠とか、そういうのは無いらしい。私はりんごの木のせいで、少しばかり神経質になってるみたいだ。

 1分も歩かないうちに、暗かった通路の向こう側に光が見えた。黒い視界はやがて白くなり、目の前には建物の内部が映し出された。

 それを見た私は、

「何よ…これ」

 と思わず声を出した。

 開けた空間には、城があった。大きくて白く、立派な城だ。

 けど、私が驚いたのは城ではない。そのサイズだ。城の大きさは、明かに外から見た黒い半球の建物よりも巨大だった。

 そう、空間の比率がおかしいのだ。

 廊下は、途中で下ったり上ったりもしなかった。天井は青い空が映し出されているが、それは絵で、強力な光を発するライトが垂れ下がっている。

「ハゲ?どういうこと?何が起きたの?」

「まぁまぁ、旅人さん。私も分からないのですよ。明らかに空間比率がおかしいこの空間を、私達はオーパーツ空間と呼んでいますがね。そんな技術が開発されていたのが驚きですよ。ちなみに、城は後から建てられたものです。立派でしょ?」

 淡々と説明するハゲに、月なんか調べてないでこれの調査をしろよと心の中でツッコミを入れた。

 こんな変なものが、この世界にあっていいのか?オーパーツという以前に、私はの心はこの現象を気味悪がった。

 地面はさっきの廊下と同じ様な素材で作られ、その上に石畳の道が城へと真っすぐと向かっていた。

 視線をさらに向こうへと移動すると、城の門には二人の門番がいる。塀は2メートルほどあり。その向こう側には城が鎮座している。

 白を基調とした建物で、中世ヨーロッパでみられたであろう西洋風のお城だ。この時代、これを一から作り上げるのは相当苦労するだろう。

 これも、石油で重機が使えるからなせる業なのだろう。

 少しでいいから、中も見学してみたい。

「城の中へは入れないの?」

「流石に無理ですね。あっでも、大会で優勝すれば、城の中で王女とお話しできる機会がいただけるんですよ」

 流石に無理か。

「それは、優勝しないとだわ」

 と私が呟くように言葉をもらすと、

「ほう。優勝するのは、このハゲですがな。はっはっはっ」

 とハゲは私の方を見て、口に出しながら景気の良い笑いをした。

 

 えっと、申し訳なさない

情景描写多用のせいで、結構読みにくいかも


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