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私のオーパーツ

 月夜に思いを乗せながら、どうでもいいことを4人で話した。夜は深くなり、皆が眠さを感じ始めた所でそれぞれの部屋へと戻っていった。


 部屋に戻った私は、彼らの話を思い出していた。

「3つの鍵ね…」

 オーパーツ以外の事に興味がなかった私だが、オーパーツより前に、実は3つの鍵について興味を持っていた。この世界に来て初めて体験した事件が、この3つの鍵の1つであったからだ。

 だから、調べたし考えた。

 その結果、何も分からないまま数年が過ぎた。


 私は記録の書物を取り出すと、くるくると手で回す。

「ねぇ、貴方は何でも知ってるけど、3つの鍵は知らないのよね」

 答えるはずがない記録の書物に、呟くように尋ねる。

 記録の書物は答えることなく、ただ後ろについている蜘蛛の巣を基調としたロゴが、うっすらと青白く輝くだけであった。

「はぁ」

 と小さくため息をすると私は続ける。

「貴方が神様と繋がっていれば、何でも直ぐに分かるのに」

 その問いかけに、答える声があった。


「スマートウォッチトノセツゾクガカンリョウシマシタ」


 人、動物や宇宙人のいずれかにも当たらない、無機質な声がした。

 突然の出来事に私は困惑し、慌てて窓の外を覗いたが誰もいなかった。次に、素早く扉を開けて廊下を見るが、同じく誰もいなかった。

「誰?」

 と、誰かが私の言葉に答える事は無かった。

 代わりに私の左手が妙な振動を起こす。

 過去にない初めての出来事と感覚で、

「ひゃっ」

 と思わず声が裏返る。

 袖をめくって確認すると、その正体がすぐに分かった。というよりは、左手に付けているものは1つしかない。

 ボルドに貰った時計だ。

 時計の画面にあったはずの針は何処かに消えて無くなり、代わりに「スマートフォンとの接続が完了しました」との文字が浮かび上がっていたのだ。

 あまりにも突然の出来事に、私は端末を二度も凝視してしまった。

 ぱちくりと、故意に数回の瞬きをすると、

「何なの…これ」

 と呟いた。

 画面をタッチしてみると、記録の書物と同じ様なメニュー画面が表示された。四角いアイコンの中に、辞書、Webやメモといった物がある。勿論、記録の書物ではいろいろなことを試した。しかし、そのほとんどが「インターネットに接続出来ません」との文字が出現し、それ以上は何もできなくなるのだ。

「スマートフォンって記録の書物よね?同じようなことが出来るのね。それに同じ様なことが出来るって、この小ささで?凄いねの」

 色々なボタンを押して起動してみた。その大体が、記録の書物の劣化版であり、小さいという利点しか見い出せない。そんな中で、私は「カメラ」を押した。

「スマートフォンと同期を開始?」

 画面にそう出たかと思うと、次の瞬間に画面が真黒へと変貌した。

 私は慌てて右手を前後に振るが、画面に変化は見られない。

「えっと…壊れた?」

 どうしたらいいか分からなくなった私は、記録の書物を取り出して原因を調べようと手に取った。その瞬間、時計の画面は明るくなる。そして、部屋の風景が時計に映されていた。

 記録の書物を動かすと、それに合わせて画面が動く。どうやら、スマホのカメラに映る映像が、時計の画面に映し出されているらしい。

 記録の書物を部屋の端に置いて、私は逆側の端による。そして、ピースサインをしたり、手を振ったりしてみた。時計を見ると、そこには私が全く同じ動きをして映る。

 とんでもない事を発見してしまった気がする。そして、なによりベストなタイミングでの大発見だ。とりあえず、この時計の名前は、望遠時計に名前を命名しておこう。


 そのあとしばらくは、その望遠時計に私は夢中だった。

 今までは、自分が見える範囲しか写真や動画に収めることが出来なかった。でもこれを使う事で、そうではない場所を収めることが出来る。

「よしっ」

 と私は早速廊下へと出た。

 記録の書物は、まだ部屋の隅へと置きっぱなしである。

 少しずつ望遠時計を見ながら部屋から離れていく。おおよそ10メートルぐらい部屋から離れたところで、画面は真っ暗になった。

「距離は10メートルぐらいか…ちょっと短いけど」

 私がこうやって調べているのは、興味本位だけではない。

 何せ最初に思ったことが、

(これ…ギャンブルで相手の手札を見るのに使えるのでは)

 という最高の考えだったからだ。

 もしかしたら私の考えは、昔ならバレバレの方法だったかもしれない。

 しかし、科学技術が衰退し、オーパーツは魔法の道具のようになっている。そのすべてを把握している人はいないし、ましては私が知らなかったこのオーパーツの機能を知っている人が他にいる可能性はかなり薄いだろう。

 

 

 


 

お正月も終わり、再開します

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