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第26話 祈りと笑い
門前で若者たちが、旬の言葉を面白おかしくモノマネして笑っている。
「あの人がそう言った〜」と大げさに真似し、皆で受ける。
それを見たオットーが激怒する。
「あの方の言葉を汚すな!」
若者たちは若者たちで反発する。
「別にいいだろ、みんな楽しんでるんだから」
「お前だけの先生じゃねえよ」
喧嘩になる。
まだ殴り合い寸前くらいで止めてもいいですが、ここで教義化したい者と消費して笑いたい者の温度差を具体化。
旬はそれを見て本気で頭を抱える。
どっちも自分が頼んだわけじゃない。
でもどっちも、自分のまわりで自然発生したものだ。
つまり、もう自分の意図で制御できる範囲を超え始めている。
リーゼは、どちらにもつかず、旬の顔を見る。
“今いちばん困ってるのはこの人だ”と分かっているから。
また、旬はまだ“王”と呼ばれるのを嫌がっている。
誰かが冗談でそう呼びかけても、「やめろ」と即座に切る。
そして最後に、帝都側の短い場面。
報告書を読む高位聖職者か、まだ顔の見えない人物の手が止まる。
「あの男を手配せよ。処理しやすい方にまとめるのだ」




