暗殺者は様子がおかしい 〜イクス視点〜
R15です
人によって気分を害する表現があります
苦手な場合は読み飛ばしてください
イクス視点です
目の前に、ここは天国かと錯覚しそうな光景が広がっている。
青い空、碧い海。
そして、波打ち際で白い足を晒す天使──リーア。
眩い金の髪が、風でふわふわと揺れる。
波と戯れる姿は、本当に天使だ。
(あー、でも……)
人がほとんどいなくてよかったと思う。
さっきからチラチラ見えている白い足はけしからん。
まだ、女性の体型にはなりきれていないのに、白い足はなんとも艶めかしい。
(そんなにスカート捲っちゃだめだ……!)
膝頭どころか、太腿まで見えそうだ。
まったくもってけしからん。
(いいぞもっとやれ)
隠しきれない本音。
隠しきれない視線。
イクスはさっきから、リーアの白い足に釘付けだ。
あの肌に触れたらどんな感触がするか、イクスはもう知っている。
(ほんと、人がいなくてよかった)
もしも、周りに男でもいたら、たぶんイクスはソイツを消してた。
自分はもちろんいいけれど、他の男がリーアの白い生足を見るなんて罪深い。
触りでもしようものなら、生まれてきたことを後悔させるところだ。
ここまで来るまでの間だって、他の冒険者の野郎どもが、必要以上にリーアに興味を持たないように、話しかけないように、ずっと牽制していた。
依頼主は変態だったけれど、釘を差したら大人しくなった。
筋肉ダルマは、どちらかと言えば妹を見るように、リーアに接していたし、リーアもそれなりになついていたので、ギリギリ許した。
筋肉ダルマは、気持ちは女だったし。
それにしても、南端の街で、リーアは信者を作りすぎた。
でもそれは、リーアのせいじゃない。
天使なリーアに救われて、人間として惚れないほうがおかしい。
ただ。
リーアがあまりにも天使だったから、本当に自分のものにしてしまっていいのか、と、ほんの少し考えてしまったことも事実だ。
リーアは元々天使だったし、イクスを見る熱い視線も、イクスの腕の中で身体を熱くする姿も、イクスをたまらない気持ちにさせる。
イクスにしか見せない顔や姿があるということは、リーアにとって、それだけイクスが特別ということだ。
雛の刷り込みみたいなものかもしれないけれど、そんなのどうだっていい。
部屋に戻ると、清め魔法で塩を落としたリーアの服を脱がした。
服を脱がされたリーアは、そのままイクスに抱きしめられた。
リーアを抱きしめてキスをしながら、イクスは自分のシャツも脱ぐ。
普段なら、自分の服は脱がない。
でも今日は、どうしても素肌でふれあいたかった。
リーアは気づいていないが、イクスはもちろんきちんと防音魔法と、不可侵結界を張っている。
しかも結構強力に。
これで、邪魔は入らないはずだ。
シャツを脱ぎ捨てたイクスにきつく抱きしめられて、リーアの鼓動がものすごく早くなっているのが伝わってくる。
何度も何度も、角度を変えて、深く口付ける。
とろり、と溶け出したリーアの色気が、ヤバイ。
この年齢でこの色気。
年頃になったらいったいどうなるのか。
ふっ、とリーアが薄く目を開けた。
イクスと同じ、赤い瞳。
熱の篭った目。
イクスは、頬や額、こめかみや耳へもキスを落とす。
リーアは、今にも腰が砕けそうになっている。
「は……っ、リー、続けても、いい?」
質問の体をとっているけれど、嫌だなんて言わせない。
裸を見るのだって初めてじゃないし、身体に触れるのも、これまでに何回もしている。
でも、リーアはすぐにはうんと頷かなかった。
(リーアは、俺との行為を望んでない……?)
ふと、不安が、心の中に染みのように広がる。
「リーは、俺に触れられるの、嫌になっちゃった?」
「違っ……」
その言葉を飲み込むように、また深いキスを与える。
「じゃあ、俺の醜い身体が嫌?」
イクスの裸体には、いくつもの傷が残っている。
大きなものから小さなものまで。
今まで、リーアには見せたことがない。
薬師であり、治癒魔法師であるリーアが、傷跡を厭うとは思っていない。
でも、他に、リーアが言い淀んだ理由が思いつかなかった。
それでも、離してやる気にはならない。
「イクスさんの生きてきた証を、嫌だなんて思わない」
「リー」
イクスは、また、強くリーアを抱きしめた。
リーアが潰れないように。
本当は、思い切り抱きしめて、粉々にしたい。
自分で動けなくなったリーアの世話は、全部イクスがする。
そんな未来もいいかと、昏い願望が顔を出すけれど、リーアから抱きしめられる現実も手放しがたい。
「ねぇ、リーは、俺のものだよね?」
今更、離れたいなんていわせない。
リーアはコクンと頷く。
「俺だけのリーだよね?」
「イクスさん……どうしたの?」
リーアは戸惑っているようだが、どうしようもなく、今、リーアが自分だけのものだと実感したい。
「俺と一緒に、死んでくれるよね?」
「……死ぬときは、イクスさんと一緒だよ?それまでもずっと、イクスさんのそばにいるよ」
「ほんと?」
リーアの言葉に、少しだけ力が抜ける。
以前、約束した。
イクスが死ぬときは、リーアのことも殺す。
リーアが死ぬなら、イクスも死ぬ。
歪んでいることは自覚済み。
今更、普通の恋人同士みたいな軽い愛し方なんてできないし、するつもりもない。
イクスは、リーアに媚薬を飲ませて、その身体を堪能した。
やはり、リーアの身体はまだ大人になっていなかったから、最後まではしなかったけれど、リーアの甘い鳴き声に翻弄されるように、結構ギリギリまで攻めた。
一旦食事休憩を挟んだけれど、その晩は、ずっと胸の中にリーアを抱いて、官能の渦にリーアを沈めた。
気絶するように眠ったリーアの顔にキスを落とす。
リーアは、イクスだけのもの。
誰にも触れさせないし、誰にも渡さない。
たとえ、リーアが望んだとしても。
いや、きっとリーアがもしも自分から離れることや、他の男を選んだとしたら、その時は………
乱れたリーアの髪を撫でて、イクスも目を閉じた。




