暗殺者は様子がおかしい
R15です
人によって気分が悪くなる方もいる可能性があります
苦手な方は読み飛ばしてください
服を脱がされたリーアは、そのままイクスに抱きしめられた。
器用なことに、リーアを抱きしめてキスをしながら、イクスは自分のシャツも脱いでいる。
これは、すごく珍しいことだ。
普段から、イクスは無防備になることを避け、シャツを着て、その上にナイフを何本も仕込んで、それを隠すために上着も着ているのだ。
そのイクスが、シャツを脱ぐなんて。
リーアは気づいていないが、イクスはもちろんきちんと防音魔法と、不可侵結界を張っている。
しかも結構強力に。
シャツを脱ぎ捨てたイクスにきつく抱きしめられて、リーアはいっぱいいっぱいだ。
大人のキスにもなかなか慣れないし、それに、今はお互いの素肌が触れ合っていて、すごくドキドキする。
今にも心臓が口から飛び出そうだ。
いや、もしかしたらちょっと出ちゃったかもしれない。
何度も何度も、角度を変えて、深く口付けてくるイクス。
その色気が、なんかもう大変なことになっている。
イクスの醸し出す色気だけで、なんなら気絶しそうだ。
これまでも、イクスに特別な触れられ方をしたことは何回かある。
でも今日は、そのどの時ともなにか違う気がする。
ふっ、と目を細く開ければ、イクスの赤い右目が、射抜くようにリーアを見つめていた。
すごく、すごく熱の篭った目だった。
「ん……イクスさん、どうして」
キスの合間に問いかけてみるけれど、返事はない。
(私、何かしちゃった?怒らせた?それとも、他の何か?)
イクスの唇は、頬や額、こめかみや耳へも触れる。
時折かかる熱い吐息に、腰が砕けそうだ。
「は……っ、リー、続けても、いい?」
嫌という選択肢は、リーアにはない。
ただ、恥ずかしいのだ。
裸を見られるのだって初めてじゃないし、身体に触れられるのも、これまでに体験している。
でも、こんな明るい場所で、突然なんて、恥ずかしいし緊張するし、すぐにはうんと頷けなかった。
それが良くなかった。
「リーは、俺に触れられるの、嫌になっちゃった?」
昏い瞳で問いかけられる。
「違っ……」
その言葉を飲み込むように、また深いキスを与えられる。
「じゃあ、俺の醜い身体が嫌?」
確かに、初めて目にするイクスの裸体には、いくつもの傷が残っている。
大きなものから小さなものまで。
でも、それは。
「イクスさんの生きてきた証を、嫌だなんて思わない」
「リー」
イクスは、また、強くリーアを抱きしめた。
もちろん、手加減されているのはわかっている。
イクスに本気で抱きしめられたら、きっとリーアの骨は簡単に折れてしまうだろう。
「ねぇ、リーは、俺のものだよね?」
何を当たり前のことを。
コクンと頷く。
「俺だけのリーだよね?」
「イクスさん……どうしたの?」
やはり、今のイクスは何かおかしい。
「俺と一緒に、死んでくれるよね?」
「……死ぬときは、イクスさんと一緒だよ?それまでもずっと、イクスさんのそばにいるよ」
「ほんと?」
「うん」
リーアから、イクスと離れることは、あり得ない。
リーアにとって、イクスは全てで、イクスがいなければリーアはとっくに死んでいたし、もしも、イクスに嫌われることがあれば、リーアは生きていけない。
たとえ嫌われなくても、イクスが他の女性と特別な関係になったら、きっと、その時は───
「リー。俺のことだけ考えて。他のことは全部忘れて
」
そう言って、ボックスから出した小瓶の中身を、リーアに飲ませる。
(これ……媚薬)
しかも、リーアが作った、特に効き目の高い媚薬だ。
「今だけ、俺の好きにしていい?最後まではしないから」
(身体、熱い……ジンジンする)
触れ合った場所から、熱が体中に広がっていく。
リーアは、イクスに優しくベッドまで運ばれて、これまでにないくらい、溺れるほどに愛された。
気絶するまで追いこまれて、目が覚めたときには外はすっかり暗くなっていた。
イクスは、リーアの隣で、抱きしめるように腕を回して眠っている。
イクスがこうして無防備な寝顔を見せることも珍しい。
疲れているのかもしれない。
でも、あまり無防備なままでいさせるのも良くないだろう。
そう思って、リーアはそっとイクスの黒い髪に触れた。
「ん……リー?」
「うん。夜だよ。服着なくて平気?」
「あー。そっか、ありがとう。部屋に料理を運ばせるから、リーはそのままそこにいて」
そう言って、ベッドから出て服を手早く身に着けていく。
いや、そうではなく。
「そのままそこに」
イクスは確かにそういった。
つまり、裸のまま、ベッドにいろということだ。
この後の流れが予想できて、リーアはちょっと笑った。
その後、リーアの予想通り、運ばれてきた料理を給餌され、そのまま、またイクスにめちゃくちゃにされるのだが、それはもう少しだけ先の話。




