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17、磨りガラスの向こう(怖さレベル:中~高)

 十五年ほど前に聞いた友人一家の話だ。


 彼女の家は一戸建てで、階段を上がったほぼ正面に彼女の部屋があった。

階段を上がって左に曲がった先はリビングである。


 リビングの扉は磨りガラスになっていて、廊下に人がいれば誰かまでは分からずとも必ず気付ける間取りとなっていた。

当然、友人の部屋の扉が開けば分かるし音だって聞こえる。


 そんなリビング事情を踏まえた上で、友人家族の話をまとめてみた。



ケース1、妹A


 妹Aがリビングで寛いでいた所、階段を上がってきた人影が見えたという。

そのまま真っ直ぐ友人の部屋に入っていった為、妹Aは「姉が帰宅したんだなぁ」と思ったそうだ。


 しかし友人はその時間帯はバイトで家に居なかった。


 この一家は勝手に誰かの私室に入るような事はしない家庭環境らしい。

ならば友人の部屋に入っていったのは何者だったのだろうか──



ケース2、妹B


 妹Bがリビングで寛いでいると、ふいに階下から階段を上る音が聞こえてきたという。


 誰だろうと思って扉に目を向ければ、丁度そのタイミングで階段を上がりきったと思われる小さな人影が見えたそうだ。


 まるで子供のようなサイズ感に何かを思う暇もなく。

人影は友人の部屋にスウッと消えてしまった。


「え、え?」と疑問符ばかり浮かんですぐには気付かなかったそうだが、この時友人の部屋の扉は開いてなかったとの事。

当然、扉の開閉音もせず。


 まさか扉をすり抜ける人間が居るとでも言うのだろうか──


 妹Bはこのような光景を何度も目撃しているらしい。



ケース3、父親


 親父さんも妹達に負けず劣らず、度々同じような人影を目撃していた。


 例えば家族全員でリビングに集まって食事をしている時。

友人が学校やバイトで不在の時。

休日、家に自分一人しか居ない筈の時。


 目撃する際の法則性は特に無いらしく、忘れた頃にふと見掛けてしまう──そんな感じらしい。


 念の為にと友人の部屋をノックして確認した事もあるが、当然不審者はおらず。

もし誰か居たとしたらとんでもない事件であるが、居なくても恐ろしいものである。


 彼曰く「何となくだが少年のようだ」との事。

それも小学校高学年から中学生にかけて位の微妙なお年頃。

何故磨りガラス越しの一瞬でそう感じたのかは本人でも分からないそうだ。


 ちなみに扉が開く様子が見える時もあれば、扉が開かないのに人影が消えていく場合もあるのだという。

稀にだが足音や扉の開閉音だけが聞こえる事もあるとか。


 とにかくハッキリしているのは、階段を上がってきた何者かが勝手に友人の部屋に入っていくという事だけである。



ケース4、祖母


 やはり友人の祖母も、人影が友人の部屋に消えていく所を何度も目撃していたらしい。

彼女も念の為にと友人の部屋を覗いたらしいが、結果は変わらず。


 不思議がりながらも、彼女はポツリと語っていた。


「ほとんどが小さな人影で、それにはもう慣れた。だがたまに大人の男もいる。それにはまだ慣れない」と──



ケース5、母親


 特に何も見ていないので割愛。

家族が口々に語る人影トークにドン引きしている。



ケース6、友人本人


 友人はあまりリビングには立ち寄らない生活スタイルで、部屋に籠ってゲームをしているか、逆に外出していたりでそもそも人影を目撃していなかった。

家族が人影を目撃した際に自室にいた時も、特に何者かが侵入してきたとは思わなかったそうだ。


──だがしかし。


「あ、今彩葉が座ってる所のすぐ右横。そこに男の子が突っ立ってる夢なら何度も見たよ。いつもこっち見てきてキモいの」


「うげ、マジか」


 流石に真横は気味が悪い。

そっと座布団ごと避ける私を笑い飛ばした後、友人はしみじみと呟いた。


「それにしても我が部屋ながら不気味だよねぇ」


「そうだね。一体その人影は何者なんだろうね」


「んー、それもあるけどそうじゃなくて……」


 友人はグルリと室内を見回してから扉を見つめると、忘れられない一言を口にした。


「皆入ってくる人影ばかりで、誰も出ていく所を見た事がないっていうのが、ね」


 確かに。

部屋に侵入した人影はその後、どうしてしまうのか──


 首を捻る彼女に対し、私は何も答えられなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] めっちゃ怖い割に、ご友人があまり気にされてない様子で良かったです。 階段上にリビングがあるんですね~。 なんかお洒落な作り。
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