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番外編 幸せを願う者

お久しぶりです。

番外編にヘルト君視点入れてみました!

少しも楽しんでいただければ幸いです。


長閑だ。


快晴の空を見て、ヘルトは笑みを浮かべた。数日前、兄上であるロキと義妹になったラキと結婚式があった。

身内贔屓かもしれないが、兄上も姉上も本当に幸せそうにお互い微笑み合いながら式が執り行われていた。そんな式に色を添えるように、結婚式の最後には鐘の音が響き渡った。その鐘の音は普通の鐘ではなく、少なくともヘルトやロキが生まれる前も鳴っていない鐘だったのだ。鐘は王家の瞳や髪色と同じで、妖精の悪戯で鳴らなかった鐘だとか。とにかく、どう頑張っても鳴らなかった鐘の音が響いたのだ。それはすぐに民達の知る所となり、2人の結婚は神に祝福されたし、国の未来は明るいと結果2人の支持を底上げする形となった。

嬉しい誤算だと、にっこり微笑んだ姉上の顔を浮かんだ。因みに、姉上とはラキのことである。家族になるんだからと彼女からはラキと呼び捨てにという話もあったのが、年下なのに何故か年上のような風格を持つ彼女に呼び捨てにするのはなんだかヘルト的には違和感があり、姉上と呼ぶことになった。年下したのに姉上?と終始疑問を浮かべながらもラキも了承した。そんな経緯でヘルトはラキのことは姉上と呼んでいる。姉上は見た目はとても可愛らしい女性である。だが、見た目で侮るなかれ。彼女は武のシェリ家出身でそこらの騎士なんかでは相手にもならない。それに、肝があり自分の母であるチェリー王妃と渡り合ったくらいである。

女性の中でも背が低く、逆に兄上は男の中でも背が高い方なので、より姉上が小さく見える。普通なら凸凹が大きく変に見えても可笑しくないのだが、何故だか収まり良く見え絵になる2人である。…運命だったのだろう。

結婚式の兄上の笑顔を思い出す。

あの無表情だった兄が、自分たちにもわかるくらい笑みを浮かべている。その事実がヘルトは何よりも嬉しかった。本当に良かったと思う。そして、その笑顔を引き出したのは隣にいたラキで間違いないのだ。兄上が姉上に出逢い、そして結婚できて良かった。


「ヘルト?」

「姉上」


思いを馳せていると、見慣れた蜂蜜色の髪が靡いた。そこには笑顔を浮かべるラキの姿があった。


「久しぶりね。お互いにドタバタしてて顔を合わせられなかったから…元気そうで良かったわ。」

「姉上こそ、元気そうでなによりです。」


そうしから、とにこり笑みを浮かべるラキ。その笑みは幸せの片鱗があり、結婚生活が充実しているとヘルトが理解するのにそう時間は掛からなかった。


「あぁ、そうだ。今からロキ様とご飯を食べるんだけど、せっかくだから一緒にどう?」

「そうですね…いや、やめておきます。2人の逢瀬を邪魔する程、野暮なこともないですからね。」

「逢瀬って、別に気にしなくていいのに。」


ほぼ毎日会ってるもの、と姉上は苦笑しながら零していた。いやいや、とヘルトは心の中でツッコミを入れた。姉上は兄上の姉上への溺愛っぷりを舐めている。いや、正確には兄上が姉上に隠している。自分が抱えている大き過ぎる愛に姉上に引かれるかもしれないと姉上の前では自重しているらしい。王宮勤めの者達の間では、兄上は姉上のことになると途端に心が狭くなると専らの噂である。…まぁ、それだけ愛している人と結婚できたのだから幸せということだ。


「まぁ、今度食事会がありますから、その時に。」

「ふふ、そうね。楽しみしてるわね。」


じゃあね、とラキは軽く手を振る。その手に頭を下げ、ヘルトもそれに応えた。ラキの背中を見ながら、ヘルトは5年前の事に思いを馳せた。…あれから、5年も経ったのか。時間が経つのはあっという間である。


「ヘルト様〜」


聞き慣れた声に後ろを振り返ると、見慣れた婚約者の満面な笑みがあった。ヘルトも応えるように笑顔で彼女が来るのを待つ。5年前、彼女の家から婚約話が出た時とても嬉しかった。…何せ一目惚れした彼女だったから。

これがヘルトがラキに従った理由だった。

一目惚れした彼女と婚約を結びたくて、色々と手を回していたことを姉上にバレたのだ。そして、ラキはそれを彼女にバラされたくなければ自分の指示に従う事と言ってきたのだ。だが、その後すぐに「大丈夫、幸せになるわよ。」とにっこり微笑んで言ってくれた。


約束守って下さり、ありがとうございます。


心の中でラキに感謝を述べる。ラキの立場なら、チェリー王妃を断罪することも出来た筈だ。ラキは王妃を断罪すると、一時的とは言え内政が荒れると言っていたが…勿論それも理由の一つだろうが、ヘルトは自分の事も考慮してくれただろうと思ってる。王妃を断罪すれば、少なからずヘルトにも影響が出てくるだろう。そして断罪された王妃と地のつながったというレッテルはずっとヘルトに付き纏うことになっただろう。


「ヘルト様、何だか嬉しそうですね。」

「そうかな、もうすぐユリカと結婚できるからな。」

「あら!私も楽しみです!」


今、僕は幸せです。

この幸せが姉上と兄上にも幸あらんことを。


今日もこの国は平和である。

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