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第14話 発揮

砂埃が舞い、青空を切っていく。

格闘技競技場の真ん中に立つ彼女の蜂蜜色の髪は、太陽の光を一心に受けて艶やかに輝いている。


「ラキ嬢!」


悲痛にも似たような声が掛かった瞬間、彼女の前には立派な鬣を持つ黄金の王…ライオンが現れた。


_ことが起こる数時間前。


「ラキ嬢が?」

「はい」


首を傾げるロキ殿下にラキは満面な笑みを零した。ラキたちが奴隷牢を後にした数日後に、奴隷商人の男は間もなくして脱税などの疑いで逮捕された。しかもその男は悪どい商売をしていた貴族たちとも関係があったらしく、芋釣り式でどんどん逮捕された。ある者は除籍、ある者は領地没収などし、思わぬところで腐敗していた貴族らを一掃することができたのだ。

と、同時にそれを主に指揮官として活躍した第1王子のロキや王子妃のラキの評価も爆上がりであった。

無論、裏で手を回したのはラキである。奴隷牢を後したにしたラキは、リサや何人かの家で抱え込んでいる隠密たちを駆使して1日で殆どの情報を引っ張った。帳簿を見る限るだと長い間それなりの脱税をやっていた筈なのに…よく、まぁこんな杜撰さで今までバレなかったのか。ラキは少し溜息を吐いた。そこでふと、財務系の管理に目を付けるのは良いかもと思い付く。財務情報などを整理にコテでも入れた方がいいかしら、前世の知恵を使って財務座標を作ろうか。前世の()はターゲットに近づくために様々な資格を持っていた。そのひとつが公認会計士であった。

弁解の為に言っておくが、別に奴隷商人はそれなりに精妙な帳簿を作り上手く脱税していたのだ。つまり、ラキたちが召抱える隠密(彼ら)が優秀過ぎたのだ。ラキ自身も無自覚だが前世で培ったもので鼻が利く。あっさりと奴隷商人の男が何処に隠しているのかを言い当てて、さっくと部下たちである彼らが証拠を握った。

そして、格闘競技場はラキの生家であるシェリ家が管轄することとなった。格闘技競技場を管理する任としてラキが己をゴリ押しし、何とかもぎ取ったのだ。兄たちも両親も最初から最後まで心配な顔をされたが、何とか説得し色々の条件ありながらも管理する権利を得たのだ。今日は初日の顔合わせであった。


「そうか。応援している」

「ありがとうございます」

「と、いうことはこの馬車が向かっている先は」

「はい、格闘技競技場です。」

「そ、そうか」


少し動揺している声にラキはこの前の姿を思い出し、苦笑いを零した。ロキの性質はある程度はわかっていたので避けられるなら避けてあげたかったのだが…今回の脱税の立役者の1人が、一心させてやり直す際にいないのは可笑しいという話になってしまったのだ。今度のお茶会の際に彼が好きなロッシュのアップルパイでも買って、詫びようと心決めた。


「ふふ。もう殺し合いはさせません。殿下には前に言いましたが…少し考えているがあるです。」


リサには()()揃えて貰っている。これで彼らを一色担にするのは難しいかもしれないがある程度の抑止になる筈だとラキはにっこりと微笑んだ。その後は、あの脱税の事件後や今度のお茶会などの話をしてしながら、競技場の前に馬車が止まった。ラキはロキのエスコートを受けながら、競技場に行き用意があるからとロキと一旦別れていった。競技場に観覧席に案内されたロキは一旦首を傾げた。周りを見ると数十人の見覚えのある塊に目が見開く。そう、彼らは柵の中にいた者たちで筈だった。何故…という言葉が口から漏れ出る前に大きな音楽が流れる。自然と競技場の方に目がいく。そして更に目を見開くことになる。競技場の選手が出るとこからラキはドレス姿で優雅に出てきた。反対側からはライオンが出てきている。は?と思ったロキはある意味正常の反応だろう。隣にいた側近のラパオも驚きで完全に固まっている。ライオンで素手で戦うつもりなのか…?彼女が持っているのは日傘のみであった。武を司るシェリ家では、家風として幼い頃から男女問わず武芸を叩き込まれる。そのため、シェリ家の者は武芸達者である者が多い。とくにシェリ家現当主であるラキの父でもあるラウスにはよく娘はシェリ家の中でも腕が立つと何度も聞かされていた。いや、でも、それでも…。さっきから少し後ろで立っているラキの侍女であるリサを見てみるが、対して動揺している素振りもなかった。


_そして、冒頭に戻る。


ロキの悲痛な声ともにライオンがラキを襲うと口を大きく開けた瞬間、瞬時に閉じた。その後、震えるようにライオンは一歩一歩後ろに下がっていった。…へ?何がどうなっているのか。ロキはラキの方を見る。ラキは日傘を差し、普通に令嬢として品位ある立っているだけだった。…いや、待て違う。ラキの立ち姿は令嬢の見本だが取り巻く空気が何か違う。あれは…「殺気」や「覇気」という類なものだろう。あのような動物の動きを封じ込めるような覇気は何十年くらいかけても出させるか出せないかのに…年端もいかぬ少女が息するようにコントロールして出している。


「…ラキ嬢…君は一体…」


ロキの呟きも風の泡となり、ラキの耳に届くことはなかった。ラキはラキで日傘を指したままゆっくりとライオンに近づいた。ライオンは少し顔を上げ、ラキを見る。その後、ラキはライオンの手を伸ばす。ラキの手で少し嬉しそうにライオンは尻尾も揺れてきた。見ているものは皆唖然とした。自分は気付かぬ内に白昼夢でも見ているのかと少し疑いたくなりそうだった。


「これで私が管理者だと認めて頂けるでしょうか」


ライオンとの格闘技上での勝負をした後、ロキや元々の奴隷たちの場所に先程の姿と同じ姿で登場し、奴隷たちに向かって微笑みながら述べた。実はラキが管理者になる条件として、一定数の奴隷たちの賛同があった。多分、両親らは私を諦めさせようとあぁ言ったであろう。しかし、そんなに簡単に諦められる程やわではなかった。そして奴隷たちがラキに提案したのが今回のライオンだった。ライオンに指も一本触れずに倒すことができら賛同すると結んだのだった。


「…わかった…認めてやる。」


誰が言ったのかわからない。しかし、その一言を葉切りに次々と承諾の声が上がった。奴隷たちのなかにはライオンに指一本触れずに戦って闘うなど無理だろうと思っていた。それを言えば逃げ出すと思った令嬢はわかったわ、と一言言えば、3日後にこちらが提示した約束とおりきっちりと指を触れずに勝った。…彼女は本物だ。奴隷たちにはその言葉が頭を通った。文字通り命を掛けた交渉により、晴れて正式的にラキは格闘技競技場の管理者となったのだ。

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