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91話:No.3の正体

善俊は善永に厳しい眼差しを送る。

「善永、探偵を気取るなよ。」

「いいから、まずはこの本の内容を見ろ。」

善永は、綾小路レイ事件の詳細が書かれた本を善俊に見せる。善俊は目を見張り、その本のページを次から次へとめくっていった。

「こんなことがあったとは…!」

「親父、この本は燃やしても、すぐ元の姿に戻る。これは、SOCIOLOGIが仕組んだものだ。」

善俊はそれを聞いて、何かを思い出す。

「こんな芸当ができるのは、間違いない、あの男だ…だがおかしい…兆能力の効果は、本体が死ねば強制的に消える…例外なく!」

「?…あの男ってのは誰だよ?」

善俊は、目の色を変えて、善永を見つめる。

「それで善永、No.3の正体は?」

自分の質問に答えてもらえず、もどかしくなる善永であったが、善俊の質問に答える。


「綾小路レイさ。」


「!!」

「No.3は、20年前綾小路レイとしてこの学校に侵入し、殺人事件を起こした…そして、それを隠蔽する状況を作り出したんだ。生徒会はまんまと利用されていたってわけだな。」

「ほう…」


「そして、綾小路レイは、年齢を操る兆能力『アイス・エイジ』を利用することで、部下を生徒として侵入させつつ、立場を変えて学校に居座り続けたんだ。あるときは教師、そして現在は…理事長としてな!」


「そんな!」

「まさか理事長が!?」

荘介となぎさは驚愕していた。

他にも、英一が地下にいた原因は理事長にある、と善永は推測する。それらの推測を聞いていた善俊が口を開く。

「つまり、ホワイト理事長がNo.3だと言いたいんだね?…確かに、筋は通っている。しかし、証拠がないな。」

善永はある写真を懐から取り出し、それを善俊に見せた。

「これは!」

写真には、とても綺麗な女子生徒が写っていた。

「こいつが綾小路レイだ。よく似てるだろ?理事長に。」

「まさか…理事長が?調べてみる価値はでてきたが…」

善俊はぶつくさ言いながら、その場を去った。善永はそれを見送りながら、強く思念する。


(No.3を倒すのは、この俺だ!…すまないな、親父。こればっかりは譲れない!)


首都警察官たちによって搬送されていた英一を見ながら、善永は唇を強く噛みしめるのであった。その日は皆家に帰る。善永は、疲れからか、家に帰るやいなや眠りについた。


次の日の放課後、善永たち3人はお見舞いのため、病院に来ていた。黒部や宮ケ瀬、早明浦たちの様子を安心した様子で見た後、善永たちは息を大きく吸って、一太がいる病室に入った。

「皆さん、わざわざ来てくれたんですね。」

「もちろん。」

一太は窓を眺める。善永が何か言おうとしたが、一太がそれを遮った。


「死んだんですね…父は…」

「!」


善永は言葉を飲み込む。

「仕方ないですよ…何をしていたのかは知りませんが…少なくとも褒められるようなことはしていなかった…」

「斎藤さん!そこまで言わなくても!」

善永がなぎさを宥めた。一太は窓に顔を向け、動かない。善永たちに一切顔を見せていなかった。

「斎藤さん…あなたの父から遺言を預かっています…二太郎君には既に伝えてあります。」

「!」

それを聞いて、一太は善永の方を見た。善永は英一の遺言を一字一句伝える。一太は何も言わず、静かに聞いていた。遺言を伝え終わると、善永はそっと付け加えた。

「斎藤さん…お大事に…」

「皆さん、ありがとうございます。きっと元気になってみせます。」

善永はなぎさと荘介を引き連れながら、一太の病室を後にした。病室を出て数秒後、すすり泣く声が聞こえてきた。善永は目をゆっくりと閉じ、その場を後にするのであった。


病院から学校に戻った善永たちは、いつもの部室にやってきた。全員が一太の病室での件が忘れられず、部室内には重い空気が流れた。

善永が2人の顔を見る。そして、思い切って告げた。

「俺は斎藤先生の代わりに戦う。きっと、これまで以上に命を懸ける戦いになるだろう。お前たちは、見守ってくれないか?」

それを聞いて、荘介となぎさは顔を見合わせ、首を横に振った。

「えいちゃん、僕たちも戦うって言ったじゃん。だって僕たちは、クイズ研究会でしょ?」

「なぎさ…」

「なぎさの言う通りだぜ。ここまできて、一緒に戦わないわけがないだろう。」

「荘介…」

善永は改めて2人の顔を見る。2人は笑っていた。善永もつられて笑ってしまう。しばらく笑い合っていると、一人の生徒が入ってきた。有賀だ。不機嫌そうな顔をしている。

「君たち、よくもやってくれたな。おかげで、朝から現在に至るまでショスタコーヴィチの『革命』が流れているよ。」

「知るかよ。お前は呼んでないから消え失せろ。」

「川路善永…君だな。例の引き出しを壊したのは!あれは、長年にわたって開かずの引き出しだったのに!開けてはならないというしきたりなのに!中身があるはずだ!それはどこだ!?」

善永は面倒くさそうに答える。

「俺が持っている。」

それを聞いて、有賀が酷く取り乱す。

「なんだと!?それが明るみになれば、生徒会の権威がどうなることか…!さっきまで『革命』が流れていたが、今はオルフの『カルミナ・ブラーナ』が流れてきた!」

「失墜してほしいぐらいだぜ…それにしても、お前は知らないんだな。例の事件のことを。」

善永の意味深な発言に、有賀は頭上に?マークを浮かべる。

「なんだい?それは。」

「さあな。」

善永が不思議がっている有賀を滑稽そうに見ていると、何かがぷかぷか浮かんでいるのが見えた。

「有賀、お前の後ろになんか飛んでるぞ?」

有賀が振り返り、浮いていた何かを手にとる。それは、赤い風船であった。

「風船…?可愛いね。」

有賀が風船を愛でている。それを見ていた善永が、英一の言葉を思い出す。

「なんだって!?有賀!その風船を手放せ!」

善永が大声で警告する。ぽかんとしていた有賀だが、言われた通り風船を手放す。その瞬間、風船が爆発した。


善永の挑戦状:昭和期などではよく見られた、広告宣伝目的に飛ばされる、バナーを吊るした気球のことを何という?


前回の『善永の挑戦状』答え:吽形

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