90話:地下の謎
善俊は、数人の部下を引き連れて、穴の中に入ろうとする。
「善永、さすがについてくるなよ。」
善永に念押ししながら、善俊たちは穴の中に入っていった。
「はいはい、わかってますよ…」
善永は穴を見つめていた。
(鈴木の言う門番ってのは、この穴を護衛するための人間だったんだ。)
「あっ、雄康のおっちゃんだ。」
善永は、辺りをうろうろしていた雄康を発見し、声をかけた。雄康は、眉をひそめながら、善永を見る。
「お前、まだ関わっているのか…」
「それはもういいだろ。それよりも、おっちゃん…兆能力について聞きたいことがあるんだが…」
雄康は目を見開く。
「珍しいな。いつもはaiboに聞くくせに。」
善永は満面の笑みを浮かべる。
「たまには、おっちゃんに聞きたいと思ってさ!」
「…全く。しょうがないな。なんでも聞けよ。」
善永は、真剣な表情になり、尋ねた。
「年齢を操る兆能力って存在したりする?」
雄康は即答した。
「ある。『アイス・エイジ』だ。任意の対象を、若くもできるし、老いさせることもできる。」
それを聞いて、善永は静かに言った。
「そいつが、この学校に潜む謎を深めてきた原因だ。そして、俺らが集めた情報から見るに、No.3って奴の正体は…」
善永が何かを言いかけたとき、善俊たちが穴から出てきた。思いのほか早く出てきたことに、善永は目を見張る。
「早かったな。何もなかったのか?」
善俊はため息をついていた。
「何かの拠点だってことはわかったさ。だが、そこら中真っ黒こげになった死体ばっかでね。さすがに嫌気がさしたんだよ。」
雄康が考え込む。
「爆発の影響でそうなったのか?」
「わからない。唯一の手がかりは、空っぽの檻があったことと、砂が落ちていたということだ。」
「砂?『サンドユーザー』…斎藤英一だ!」
雄康がそう思い出していたとき、善永も同じことを考えていた。
(斎藤先生!いつの間に、地下に入ったんだ!?それに、砂が消滅していない!ということは、まだ兆能力を発動しているんだ!どこかで戦っている!)
善永たちは知らないが、英一はホワイトに連れられていた。その道中、なんらかの方法で、地下に侵入したと思われる。
雄康が周りにいた首都警察官に呼びかける。
「この辺りにサンドユーザーの使い手がいる!探すぞ!」
雄康は数人の部下を引き連れ、校舎を捜索し始めた。善俊は目をつむる。
「善永、すまないが、その斎藤とやらを探すのに協力してくれないかい?まだ近くにいるはずだ。」
善永は目をつむりながら、善俊に尋ねる。
「わかってる!でも、斎藤先生をどうするつもりだ!?あの人は、理由があって…」
善俊は善永の言葉を遮った。
「捕まえる。それ以外にあるかい?なんにせよ、捕まえなければならない。」
善永は、歯ぎしりしながら、英一を探す。屋上、校舎1階廊下、中庭などに視界を設置するが、見つからない。一方、善俊も英一を探すのに苦労しているようだった。
(どこにいんだよ!斎藤先生!)
そのとき、どこからか何かが破裂する音が聞こえてきた。善永は音のした方に視界を設置する。すると、血まみれになって倒れていた斎藤先生の姿があった。
「斎藤先生いいいいいいいい!」
善永は目を開け、英一が倒れている場所に向かった。荘介やなぎさ、善俊もついてきている。英一が倒れた場所に到着する。そこは、2階廊下であった。善永は英一に駆け寄り、必死に声をかける。英一は虫の息であった。
「斎藤先生!そんな!」
「斎藤先生!誰にやられたんだ!」
「風船だ…善永君…後は頼む…君たちなら…真実にたどり着ける…だからこそ、君たちを見張っていたのだよ…」
「斎藤先生…」
「それと、息子たち2人に伝えてくれ…父親らしくしてくれなくてすまなかった…俺のように復讐心に駆られず、すくすくと育ってくれと…これは…『男の約束』だ…!」
英一は、そう言い残して目を閉じた。救急隊が駆けつけるが、手遅れだった。なぎさや荘介は下を向き、言葉を発することができない。善永は、涙を流しながら、拳を床に叩きつける。
「斎藤先生…あんたの仇は必ず討ってみせる!そして、No.3を絶対に倒す!」
(犯人は間違いなくあいつだ!年齢を操って、この学校に潜んでいる極悪人のあいつに違いない!)
善永は持っていた本を善俊に見せつけた。善俊は、それを見つめながら首を傾げる。
「なんだい?それは。」
「親父、生徒会が首都警察の捜査を拒んできた理由、知りたいだろ?それと、No.3の正体をな…!」
善永の挑戦状:金剛力士像は、口が空いている「阿形」と、口を閉じている「何」の2体を1対とする?
前回の『善永の挑戦状』答え:ガス抜き




