87話:動けなくなった親友
「ひひひ!レベル2程度じゃ、やられちゃうかぁ…」
善永がその生徒を睨む。
「何者だ?」
「僕ぅ?僕は、佐藤郁子だよぉ…ひひひ!」
佐藤と名乗る生徒が答える。その後ろには3人の人間が立っていた。その内の一人は、荘介だ。しかし、何かを喋る様子はない。ただ棒のように立っていた。
「荘介!お前、荘介に何をした!」
善永が怒鳴った。
「えぇ?別にぃ?」
佐藤は、荘介に駆け寄り、抱きついた。
「そう君とどんな関係なの?」
「僕は、荘介が0歳の頃から知っているんだよぉ。ふふふ。君たちより付き合いが長いんだよなぁ。」
「なんだって?お前みたいな奴、荘介から聞いたことないんだがな…」
善永がアイビームを発射しようとする。
「おっとぉ…君たちの相手はこっちだよ。」
佐藤がそう言うと、佐藤の後ろにいた2人組が立ちはだかった。片方は女で、もう片方は男だ。女の方は真剣を持っている。
男は、体の周りが電気でばちばちしている。男は、辺り一面に雷を落とし始めた。
「雷を操る『雷之為神』か!」
善永は男にアイビームを発射したが、男が発生させた雷によって相殺されてしまった。
「なら、これでどうだ!」
善永は、ビジョン・シェアで男の視界を阻んだ。それでも、雷は落ちてくる。
(この無差別な攻撃!これじゃあ、ビジョン・シェアも意味をなさねえ!)
善永は雷を器用にかわす。が、あるとき、生徒会本部から持ち去った本を落としてしまった。それを拾おうとしたが、雷が落ちてきて、燃やしてしまった。
「あああ!有賀を支配下に入れるための手段が!」
「今はそれどころじゃないよ!雷がひっきりなしに落ちてくる!」
女の方は、真剣を一太に振り下ろそうとする。それを、早明浦が真剣白刃取りで受け止めた。
「なるほどな。師範と同じ『ソードマスター』の使い手だな。」
早明浦は竹刀を手に持ち、それに帯電させた。早明浦と女がじっと見つめ合う。
荘介は男女と交戦を始めた4人をただ見つめている。その視界に佐藤が入ってきた。
「荘介ぇ…へへへ…いい男になったねぇ!」
荘介は、目だけを動かして、佐藤を睨んだ。
「そんな目で見ないでよぉ…」
佐藤は荘介の顔をじっと見つめる。
「僕の兆能力のこと、聞きたい?聞きたいよねぇ…ひひひ!」
(なんなんだよ…こいつ…)
荘介はさっきから何も言っていない。それでも、佐藤は一方的に荘介に話しかけ続ける。
「僕の兆能力は、死亡した人間のDNAを他人に植えつけることで、その人間の兆能力を持たせられるようになる『ユー・オンリー・リヴ・トゥワイス』…そして、DNAを植えつけられた人間は、僕の言うことを聞くんだぁ!」
佐藤は、荘介に抱きつく。
「君は特にお気に入りなんだよぉ!なんせ、まだ0歳だった君にあの人間のDNAを植えつけたんだからぁ!」
佐藤は、荘介に頬を寄せた。そして、荘介の耳元でそっと呟いた。
「世界三大兆能力者の一人、フランツ・アウステルリッツ・フェルナンド伯爵のDNAをね!」
善永の挑戦状:「三帝会戦」の別名で知られる、1805年に起きた、フランス軍とロシア・オーストリア連合軍の戦いを何という?
前回の『善永の挑戦状』答え:ワイルドガンマン




