82話:綾小路レイ事件
電気がついていない教室に入るやいなや、英一は窓に砂を張った。
「!」
教室は真っ暗になる。
「どういうことですか?斎藤先生。」
「有賀、君は感情のコントロールができない人間だからな。何かあれば大変だ。」
英一は近くにあった椅子に腰かけた。有賀も近くの椅子に腰かける。
「それで、話とは?」
「なんとなくわかるのではないでしょうか?」
有賀の発言に、英一は黙り込んでしまった。しばらく何も言わなかったが、英一はゆっくりと口を開いた。
「仕方なかったんだ…奴らに金を渡さないためにも…!」
「奴ら?一体誰のことですか?」
「…」
有賀は手のひらから光電弾を出そうとする。
「予算を横領していい理由など存在しないだろう!?」
「…」
英一は固まってしまった。何も言えなくなる。有賀は英一を睨み続けるが、何も言わなくなった英一にいらいらしていた。
そのとき、
「…チャイコフスキー…」
有賀の前で決して言ってはいけない名前が、英一の口から放たれた。
「!…てめええええええええ!その名を出すんじゃねえええええ!」
いらいらがピークに達した有賀はついに光電弾を投げた。それでも英一は動かない。光電弾は英一に命中した。光電弾が命中した英一は、ばらばらになって崩れた。まるで、砂の城が崩壊するように。
「砂!?いつの間にすり替わった!」
「いつかな?」
「!」
有賀は振り返る。そこには英一が立っていた。腕を組んで、にやっとしている。それを見て、有賀もにやりとした。不可解に思った英一だが、光電弾が机の脚部に命中したのを見て、はっとした
「くそ!」
光電弾は散り散りになり、有賀だけを都合よく避けながら、英一の方に向かっていく。英一は砂の塊をいくつか出現させ、それを光の弾にぶつけることで相殺させた。
「さすがですね。こんなに強い教師がいたとは。」
「君こそ、生徒とは思えないな。」
2人がしばらく見つめ合う。両方、紫色のオーラをしっかりと発している。
それぞれが一歩踏み出そうとしたとき、窓が割れた。2人は窓を見る。そこから赤い風船が入り込んできた。
「斎藤先生、あんた、何をした!」
「それはこっちのセリフだ!」
赤い風船は2人のもとに近づき、その場でぷかぷかと浮いている。
「有賀君。その人は私に任せてください。」
有賀の背後から優しい女性の声が聞こえた。
有賀は咄嗟に振り返る。
「理事長!」
そこにいたのは、理事長のホワイトだ。リーゼント頭の秘書もいる。
「予算を横領した人については、私も目をつけていたのですよ。ここは私に任せて、あなたは立ち去りなさい。」
「ですが!」
ホワイトと秘書が、とやかく言っている有賀の側を通り過ぎながら、英一と対面した。
「さあ、理事長室でお話をしましょう?正直に話してもらいます。」
ホワイトと秘書に、英一は連れられていくのであった。ホワイトたちが教室を出ようとしたとき、有賀がホワイトに問う。
「なぜ、ここに斎藤先生がいるとわかったんです?」
ホワイトはにっこりしながら有賀を見る。
「ふふ。私は、かれこれ10年もこの学校にいるのですよ。」
そして、ホワイトたちは教室を後にした。有賀はそれを睨んでいたが、ため息をついて、教室を出ていくのであった。
一方、本部にて。
「綾小路レイ事件…」
善永が本の内容を音読した。
20年前、女子生徒4名が変死する事件が発生した。現場には、当時生徒会長を務めていた綾小路レイという生徒がいた。このままではその生徒が怪しまれる。そうなれば、生徒会の権威が失墜してしまう。それを恐れた当時の生徒会が、事件をもみ消すと決定した…という内容だ。
「酷い…この学校で、そんなことがあったなんて…」
なぎさが唖然としていた。早明浦が首を傾げる。
「その事実を隠したいのに、なんで本に残したんだ?それに、厳重に保管するなんて…俺だったら燃やすぜ!」
なぎさがある写真を善永に渡した。
「こんなものがあったよ。歴代生徒会長の写真。」
「どれどれ…」
善永は開いたままの本を床に置き、数枚の写真に目を通す。善永は、ある写真を凝視する。
「これって!」
善永はその写真を懐に入れ、再び本を手に取る。
(見えてきたぜ…真実が!)
善永が開いていた本を閉じ、立ち上がる。
「生徒会が長年首都警察の捜索を拒んできたのは、このためだったんだ…こいつは、有賀と取引をするいい種になる。持って帰ろう。」
それからも本部を調べたが、綾小路レイ事件の本と写真以外に、これといったものが見つかることはなかった。3人は本部を出る。
すると、一太と鈴木が一緒に歩いてきていた。
善永の挑戦状:かつてあったアトラクション「ターミネーター2:3-D」で前説を務めていた、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの名物キャラクターといえば誰?
前回の『善永の挑戦状』答え:『ツィゴイネルワイゼン』




