79話:テレポートビジョン VS ビジョンジャック
善永の視界から、善俊が完全に消え去った。
「汚いぞ!その技を使うなんて!」
善永が怒鳴り散らしていると、善俊の笑っている声が聞こえた。
「殺し合いというのは、汚いものさ。」
「ぐぬぬ!」
善俊の技・ブラインドジャックは、ジャックした対象の視界から、善俊を消滅させることができる。第三者には善俊が見えるが、今の善永には善俊が見えることはない。
(こうなったら、闇雲にアイビームを撃ってみるか?いや、それも避けられるか…)
いろいろ思慮を巡らしていたとき、腹部に激しい痛みを感じた。善永は、そのまま吹き飛ばされる。
「ぐはっ!ちくしょう!」
「どうした?こんなもんかい?」
善永は耳をすませる。足音で善俊の位置を特定しようとしたのだ。
(なんでだよ…!こんなに静かなのに、足音一つも聞こえてこないなんて…!)
そのとき、再び腹部に痛みを感じた。善永はさらに吹き飛ばされる。
「ごはっ!」
「そろそろ諦めるか?ごめんなさいって言えば、許してあげるよ。」
善永は腹部を押さえながら、立ち上がる。
「まだだ!」
善永が次の攻撃に備える。すると、またまた腹部に痛みを感じた。しかし、善永は吹き飛ばされない。
「!」
善永はその場で堪えたのである。さらに、自身の状態を巻き戻すことができるリプレイによって、痛みをなかったことにした。善永は腹部に衝撃を与えた犯人をがっしり掴んだ。
「捕まえたぜ、親父!」
善永は、掴んだ腕を離さず、そのまま背負い投げをした。何かが叩きつけられた音がした。
「そんな!」
消滅していた善俊が姿を現した。善俊は倒れた状態になっていた。
「まさか、ブラインドジャックを使ってやられるとは…」
「肉を切らせて骨を断つとはこのことだな。親父、俺を舐めすぎたようだな。」
善俊は起き上がり、ため息をつく。
「わかった。僕の負けだよ。」
善俊は、立ち上がり、善永の頭を撫でた。
「お前は、良くも悪くも川路の人間だよ。ははは。」
「それって褒め言葉なのか?」
善永は苦笑いする。
「それじゃあ、心配をかけたし、お母さんに謝りにいこうか。」
「うん。」
善永と善俊は、施設を後にするのであった。なお、善永の技・リプレイの効果は、5分経過するとなくなってしまう。しばらくして、善永が激しい腹痛に襲われたのは言うまでもない。
兆栄高校七不思議編 終わり
次回:No.3穿索編開始
善永の挑戦状:テーブルトークRPGにおいて、ゲームの経緯をなんらかの媒体に記録したものを何という?
前回の『善永の挑戦状』答え:乗りかかった船




