73話:人魂の正体
小熊は、3人、特に善永と荘介を睨んだ。
「お前ら、なんで学校にいるんだ?今何時だと思っている?」
善永が口を開く。
「とはいえ、先生もなぜ学校に?いくら先生でもこんな時間にいるのはおかしいのでは?」
善永の発言に、小熊はむすっとした。それと同時に、動揺しているようだった。
小熊は頭を抱え始めた。そして、紫色のオーラを発した。
「うるさい!お前らはここから去れ!さもなければ!」
紫色のオーラをゆらゆらさせながら、小熊が近づいてくる。3人は後ずさりした。
「どうしたんだ!?落ち着いてください!小熊先生!」
荘介が落ち着けようとするが、小熊はそれでも近づいてくる。
「落ち着いている!だからこそ、こうしているのじゃないか!」
小熊の手から人魂のようなものが現れた。
「それは、さっきの家庭科室の!あんたが出していたものだったのか!」
小熊が人魂を投げつけた。それはなぎさの顔に命中した。その瞬間、人魂が爆発し、なぎさを気絶させた。
「お前!よくもなぎさに!」
なぎさがやられたのを見て、善永が激昂した。紫色のオーラを発した。
「荘介!なぎさを担いで逃げてくれ!俺がこいつをぶっ倒す!」
小熊は新しい人魂を出現させている。
「あ、ああ!」
荘介が倒れたなぎさを担いでいると、小熊が人魂を荘介めがけて投げつけた。それを、善永の左手が受け止めた。左手で人魂が爆発し、善永は痛みに悶えた。
善永は左手を押さえる。そうしている間にも、小熊が新たな人魂を出現させていた。
(なんて速さだ!)
「早く逃げろ!」
なぎさを担いだ荘介は急いで逃げていった。小熊がため息をつく。
「面倒なことにしやがって…川路、お前はいつもそうだな!」
小熊は、手に乗せていた人魂をウサギに変化させていた。それを見て、善永がスマートフォンに語りかけた。
「aibo!」
『どうも。善永さん。今夜は冷えますね。』
「人魂を出現させたり、それをウサギに変えたりする兆能力って何!?」
『それは、オーラを自由自在に変化させる『形成体』ではないでしょうか。あらゆる物に変化でき、威力も高いので扱いには十分注意してください。』
aiboの説明を聞いた善永は、改めて小熊の方を見た。手に乗せていたウサギの頭を撫でていた。
「今風だな。AIに兆能力を聞くとは。」
「その間に攻撃もできただろうに。それをしないとはな。」
「いいや、できなかったんだ。お前、私の背後に視界を設置しただろう?」
「!」
善永は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
(こいつ!俺の兆能力を見抜いた上に、設置した視界まで!なんて洞察力だ!)
善永が動けないでいる間に、小熊が手に乗せていたウサギを放した。ウサギは善永の方に向かってくる。善永は、それをアイビームで迎え撃とうとした。が、ウサギはそれを難なくかわす。ついに、ウサギは善永に飛びかかってきた。善永は、ウサギに回し蹴りをお見舞いする。足がウサギに命中したとき、激しく爆発した。
「ぐぬっ!」
善永は、足を押さえ、その場でうずくまった。
「AIの話を聞いてなかったのか?それで防げるわけないだろう!」
小熊が手から人魂を出現させながら、善永に歩み寄る。途中、小熊の背後からアイビームが飛んできたが、小熊はそれをかわした。善永の目前にまで迫ろうとしたとき、小熊は足を止めた。
「ん?そうか。設置した視界を共有するビジョン・シェアだな?これは、大きな家だなあ。川路の家か?」
善永は、小熊の視界をビジョン・シェアで惑わせている間に、間合いをとろうとした。しかし、小熊は人魂を善永にぶつけようとしてきた。
「え!?」
善永は、それをなんとか避けたが、小熊の強さに戦慄していた。
(こいつ、かなり修羅場をくぐり抜けているな!簡単にはいかない相手だ!)
善永の挑戦状:他の細胞に特定の形を指示する、形態形成を誘導する細胞の部位のことを何という?
前回の『善永の挑戦状』答え:外山正一




