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兆兆発止 第2部 学園戦争  作者: ぱんろう
兆栄高校七不思議編
65/109

65話:ドアの向こう側

次の日、放課後、いつもの部室に、善永たちが集まっていた。

「あの2人、大丈夫かなぁ…」

「命に別状がないとはいえ、心配だよな…」

なぎさと荘介が話し合っているのを、善永は黙って聞いていた。

(この件は、思いのほか重要になりそうだ。もう少し調べてみる価値がありそうだ。)

いつの間にか善永も乗り気になっていた。そこには、父親譲りの正義感も関係していた。

そこに、2人の生徒が部室に入り込んでくる。見覚えのある顔だ。

「あんたらは!」


「お久しぶりです。」

「よう!」


一太と早明浦であった。久しぶりの再会に、3人は嬉しそうにしていた。

「斎藤さん!無事で何よりです!」

なぎさの嬉しそうな声に一太が反応する。

「いえ。なぎささんこそ。善永さんも元気そうで。」

一太が、七不思議の内容が書かれている紙切れに目をやる。

「生徒会長から話を聞きましてね。」

「俺は通りがかった。七不思議の調査だって?面白そうじゃないか。今日は何を調査するんだ?」

なぎさが、うーん、と考え込みながら、あるところを指差した。

「これにしましょう!」

なぎさが選んだ不思議に、早明浦や荘介が心躍らせていた。

「楽しそうだな!」

「こういうのが一番わくわくするよな!」

居ても立っても居られず、早明浦が部室を飛び出した。それを荘介や一太が追いかける。取り残された善永は目を点にしていた。同じく取り残されたなぎさが善永に寄り添う。

「皆、相変わらずだね。」

なぎさはくすっと笑う。善永はやれやれと呟いた。

「それじゃあ、僕たちも行こう!」

なぎさが善永の手を取り、部室を飛び出た。

「お、おい!」

「せっかく集まれる人で集まったんだから、その瞬間を大事にしようよ!」

なぎさの明るい顔に、善永は見とれていた。顔をほころばせながら、善永はなぎさに連れられるのであった。


5人はあるドアの前にやって来た。階段のデッドスペースに取り付けられていたドアだ。

『どこに繋がるのかわからないドア』


「通常は、開けても何もないドアだ。だが、あるとき、謎の部屋に繋がることがあるらしい。」

荘介が紙切れに目を通しながら言った。5人はそのドアを見つめる。

「あるときっていつだよ…」

漠然とした内容に早明浦が呆れている。荘介がドアノブに手を差し伸べた。

「早速開けるぞ!何回かやったら、どっかに繋がるだろ!」


「すみません。私は父を呼んできます。何かあったら大変ですから。」

一太がスマートフォンを取り出しながら、その場を離れていった。その間に、荘介はドアノブを回していた。

「どうだ!」

荘介は勢いよくドアを開けた。すると、こじんまりとした部屋が出現していた。とても階段のデッドスペースに収まるとは思えない。全員が固まっていた。さらに驚くことに、一人の人物が座っているのが見えた。

「おいおい…まじかよ…」

早明浦はその部屋に足を踏み入れようとする。

「早明浦!無闇に入るな!」

善永の警告に耳を貸さず、ついに早明浦は足を踏み入れた。それに続くように、荘介やなぎさも部屋に入った。

「ったく…向こう見ずだな…」

呆れながら、善永も部屋に入った。

「ようこそ。僕の部屋へ。」

部屋の中にいた人物が、部屋に入ってきた4人に静かに語りかけた。部屋に入る前はよく見えなかったが、よくよく見ると、制服を着ていた。

「紫…三年生ですね。なぜ、こんなところに?」

「僕、作田吉男は、よくここで物思いに耽るのさ。すると、ドアの前に君たちがいたんで、招待したんだ。」

なぎさが辺りを見回す。広さは7畳ぐらいだ。

「この空間は、あなたの兆能力なんですね?」


「そうだ。ドアを経由することによって、四次元空間を作り出す兆能力『グランド・ホテル』だ。」


(どこがグランドでホテルなんだよ…)

荘介はそう思った。4人はしばらく部屋を見回したり、作田に話しかけたりしたが、特に何もないと感じた。

善永が荘介に耳打ちする。

「これは、予算の話とは関係ないだろう。」

「そうだな。出るか。」

「失礼しました。」

善永たちは部屋を出ようとした、ドアに手をかけ、開ける。しかし、ドアを開けても、そこにあったのは壁だった。

「あれ!?」


「もう少しゆっくりしていけよ。なあ?」


作田は、紫色のオーラを発していた。


善永の挑戦状:一つの場所を舞台に、複数の登場人物のドラマを描く手法の名前にもなっている、1932年のアメリカ映画は何?


前回の『善永の挑戦状』答え:フェアリーサークル

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