59話:兆能力との対話
(俺の親父は、嬉しそうに、あるいは悲しそうに、レベル3になったときの話を聞かせてくれた。)
20年前―
善永の父・善俊は、今は亡き彼の兄・善治―善永にとっては伯父にあたる―とともに、山奥に来ていた。
「たった今から大会当日まで、ここで生活する。」
「なぜでしょうか…こんな山奥に…」
「なぜだとぉ?お前、自分が一週間後何をしているのか、わからないのか?」
善俊は、ああそうか、と手をポンと打った。善治はそれに舌打ちしながら言った。
「お前が戦う側になったからには、それ相応の実力が必要だ。この一週間でみっちり鍛えてもらうぞ。」
「なるほど…修行というわけですね!」
善治はもともと険しかった表情をより険しくした。
「そんなぬるいもんじゃねぇ。この一週間でレベル3になってもらう。」
「!!」
善俊はかなり驚いた顔をし、声を出せなくなった。善治は続けて言った。
「いいか。そうじゃねぇとお前は戦えない。無理だって言うんなら帰ってもいいぞ。だが、大会参加は諦めてもらう。」
「ですが、一週間でレベル3なんて!」
善治は指を善俊の口に当て、喋るな、というジェスチャーをした。
「それができねぇならやめろって言ってんだ。戦いたいなら何も言わずやれ。」
善俊は従うしかなかった。しかし、善治もそこまで鬼ではなかった。一つのヒントを与える。
「一つ教えてやる。俺がレベル3になったとき…そう。3年前だ。俺は、兆能力と対話した。」
「…」
「何言ってんだこいつ、と思うか?だがな、俺の兆能力はこれでレベル3になったんだ。」
善治は、腕を組みながら、話し続ける。
「レベル3になる方法…諸説あるが、それは自身の才能を知り、その限界を超えることだ。俺の場合、兆能力との対話が、才能を知るきっかけになったんだ。」
しばらく黙って聞いていた善俊だが、たった一言返した。
「やってみます。」
「いいか。このことは誰にも言うなよ。特にダストメイカーを使うあのゴミ野郎にはな!」
善治は強く念押しした。
「わ、わかりました。」
善俊は苦笑いしながら答えた。そして、善俊は立ち上がり、移動を始めた。それを見ていた善治がぼそっと呟く。
「頑張れよ。川路一族の意地を見せてやれ。」
その日以降、善俊はひたすらに修行に打ち込む。滝行をしたり、瞑想をしたり…一見ただの修行にしか見えないが、これによって、善俊の兆能力はレベル3になったのである。
―そして現在
有賀のビームによって体を貫かれた善永は、意識を失っていた最中、自身の兆能力との対話を試みた。
「テレポートビジョン…設置できる視界は一つだけなのか?使える技はアイビームだけなのか?俺はもっとお前を使いこなしたかった…」
返事はない。
「俺はこんなところで終わっちまうのか…レベル2の状態で…」
善永は強く思念する。
「終わらせない!腐った生徒会を倒し、皆との楽しい学園生活を取り戻すためにも!」
そのとき、何かの声が聞こえた。それは、善永に優しく語りかけ、甘く囁く。
「!…そうか…ありがとう…いつも…」
その瞬間、善永は目を覚ました。サリーが有賀に倒されていたところであった。善永は顔を動かす。倒れた一太やなぎさが見える。
「2人とも…」
有賀がその場を去ろうとする。善永はそれを呼び止めた。
「有賀、こっからが本番だぜ。」
善永はアイビームを発射した。驚くことに、それは3本もあった。
「増えただと!?」
有賀はなんとかかわそうとするものの、アイビームのうちの一本が腹部に命中した。
「ぐあああああ!」
有賀は腹部を押さえ、善永を恨めしそうな目で見る。善永はどっしりと立って、目をつむっていた。
「見せてやる。新しい技をな。」
善永の挑戦状:「日本警察の父」と呼ばれている、現在の警視総監にあたる大警視に初めて任命された人物は誰?
前回の『善永の挑戦状』答え:フライデー




