39話:親の逆襲
「なんだって!?名字が同じとは思っていたが…」
「でも、それとなんの関係が!?」
なぎさが篠原に問う。そうしている間にも、砂は3人の胸元にまで積もっていた。
「もしもだ!一太が怪我したのは、善永の仕業だと生徒会に吹き込まれていたら!?」
「まさか!仮にそうだとしても、ここまでやるかよ!」
篠原の立てた仮説に、善永は動揺する。だが、考えている暇もない。砂は確実に、3人を生き埋めにすべく、積もっていた。
「くそっ!」
善永は英一を観察する。しばらく観察していると、不審な点に気がついた。
「おかしい!説教されている生徒、びくとも動かない!」
そう、英一の前に立っている生徒が微動だにしないのであった。篠原が振り絞るように言った。砂が首辺りまで積もっていたのである。
「そいつをアイビームで壊せ!それは砂でできているはずだ!」
「はい!」
(万に一のこともある!足辺りを狙う!)
善永は、狙いを定めて、生徒?の足にアイビームを放った。それは命中し、生徒?の足を破壊する。すると、ざざざーと生徒は崩れていった。まるで、砂の城が崩れたように。
「!」
英一は驚きを隠せなかった。その場で辺りを見回す。
「そうだよなあ!自分の周りに砂が散らばっていたら、怪しまれるよなあ!?ならば、どうする!?」
そのとき、口元にまで達していた砂が一瞬にして消滅した。英一は、兆能力を解除したのだ。
「あっちだ!」
善永と篠原はすかさず英一の方に向かっていく。英一が2人の存在に気がついたときには、篠原が英一を取り押さえていた。
「この!生徒を殺す気か!?」
「放せ!何をする!」
「…無色オーラ…」
「!」
善永の呟きに、英一が反応した。
「オーラを無色にすることで、兆能力の使用を悟られないようにする技術だ。こんなことができるのは、兆能力がレベル3に達した者だけだぜ。そう、あんたの『サンドユーザー』はレベル3だったんだ!」
英一は何も言わない。そんな英一に、篠原が尋ねる。
「やはり、一太の件ですか?」
「!」
英一が篠原の顔を見る。そして、今度は善永を睨んだ。
「そうだ!一太は…息子の一太は!お前らに…!」
「違う!!」
篠原が一喝する。英一は再び黙り込んでしまう。
「一太をやったのは、少なくともクイズ研究会の人間ではない!生徒会の人間の可能性が高い!」
「!!」
英一は驚愕した。
「で、でも…一太の怪我はお前らのせいだと…」
「それは、生徒会による全くのデタラメだ!」
「いや、俺のせいだ。」
善永は静かに言った。そして、英一のもとに歩み寄る。
「俺が斎藤さんをクイズ研究会に入れたばっかりに、あんなことになってしまった。本当に申し訳ございません。斎藤先生。」
「善永…」
善永は深く頭を下げる。篠原やなぎさ、そして英一は善永を見つめている。善永はそのまま正座した。
「斎藤先生。俺を殺して気が済むのであれば、ぜひやってください。」
「えいちゃん!何言ってるの!?」
英一は篠原の腕を振り払い、善永に近づく。篠原やなぎさが英一を止めようとするが、それを善永が睨む。
「善永…」
ついに英一は、善永の目前にまで迫った。そして、拳を振り下ろそうとする。
「えいちゃん!」
なぎさが目を塞ぐ。しばらくそうしていると、すすり泣くような声が聞こえてきた。恐る恐る目を開けると、英一が涙を流していた。
「わかってたんだよ…お前らは悪くないって…でも…でも…誰かのせいにしないと、気が済まなかったんだよお…」
英一はしばらく泣いていた。3人は、それをただ見守るしかできなかった。
その様子を遠くから見ている2人の大人がいた。片方は、若々しい短髪の女性、もう片方はリーゼントが似合う男性。その男性が口を開いた。
「どうします?明らかに校則違反ですけど。」
今度は女性が喋り始めた。
「見なかったことにしましょう。人は失敗をする生き物です。一度ぐらいは見逃してあげましょう。それに、私たちが本当に探しているのは…」
女性はその場を後にする。男性はため息をつきながら、その女性についていった。
「全く、甘いんですよ…ホワイト理事長…」
「ふふふ。」
2人はどこかに向かって、ただ歩いていくのであった。
善永の挑戦状:世界で唯一砂像を専門に展示している、鳥取砂丘にある美術館は何?
前回の『善永の挑戦状』答え:仁摩サンドミュージアム




