40話:復讐の炎
いつものように放課後、善永は誰もいない廊下を、ただ一人歩いていた。
(あの日、一太さんと本田さんをやったのは、間違いなく…山南恵南!あいつだ!)
善永は、パイロキネシスの山南が犯人であると断定していた。
(さあ、今の俺は一人だぜ?どこからでもこい!)
そして、彼の攻撃を誘い込むために、あえて一人になっていたのだった。そのとき、どこからともなく炎の弾が飛んできた。
「きたな!」
善永は、目をつむり、テレポートビジョンを発動する。炎の弾を仕掛けた犯人を見つけるためだ。善永は炎の弾から逃げつつ、犯人を探す。
(炎の弾は、俺を追跡している。間違いなく、俺を視界に捉えられる位置にいるはずだ!)
しかし、善永がいる位置から半径50m以内では、その犯人を見つけ出すことができなかった。
「馬鹿な!なぜ炎の弾は、俺を追える!」
善永はとにかく走り回り、炎の弾をかわし続ける。すると、早明浦が歩いているのが見えた。
(しめた!あいつに押しつけてやろう!)
「早明浦!」
善永に呼びかけられた早明浦が反応する。
「おう、よしな…ん!?」
善永は、早明浦の横を通り抜ける。
「頼んだぞ!早明浦!」
しかし、炎の弾は、早明浦を避けて、善永を追いかけてくる。
「嘘だろ!?」
「それはこっちのセリフだ!お前、俺を身代わりにしようとしただろ!」
善永は再び走り回る。途中で数人の生徒とすれ違ったが、善永のことを見て見ぬふりしていた。
「ありゃきっと、生徒会を怒らせたんだよ…関わると危険だぜ。」
「だな。」
炎の弾が器用に善永を追いかけ続ける。
(もしかして、相手は2人か!?山南の他に、敵を探知する兆能力を持っている奴がいる!)
善永は、走り回りながら、もう一人の敵がいる可能性を考えた。
「ならば!」
善永は中庭に出た。八ッ場がいつものように、小池に釣り糸を垂らしていた。
「おっす、善永。廊下は走るなよ。」
「八ッ場!俺を釣って、体育館裏にリリースしてくれ!」
「ん?…ん!?」
八ッ場は、善永を追いかけている炎の弾を見て、異常を感じたようだ。善永に言われた通りに、エニィウェア・フィッシングを発動した。善永は釣り針を掴み、急いで釣り糸を手繰り寄せる。それと同時に、八ッ場が勢いよく釣り竿を振るった。
「うああ!」
善永は、体育館裏にリリースされた。しゅたっと着地した善永は、辺りを見回す。炎の弾はやってきていない。
「ふっ。甘かったな、山南。」
そのとき、炎の弾が飛んできているのが見えた。
「なんだと!?まだ追いかけてこられるのか!?」
善永は再び走ることになった。
(おいおい!こっちはクイズ研究会だぞ!そんなに走れないぜ!)
善永は走りながらも考える。
(てっきり、テレポートビジョンのように、目で俺を索敵しているのかと思ったが…どうやらそうではないらしい!)
善永はグラウンドの方に向かう。
(音?いや、そうとは思えん…まさか!心拍数か!?確か、それを測る兆能力あったよな!)
善永はグラウンドに目をやる。そこには、男子サッカー部や陸上部が活動しているのが見える。
(俺以外にも走っているのがいる…心拍数だけで俺を特定するのは難しいな…ちくしょう!全くわからん!)
「あれ?何やってんだ?善永!」
声をかけてきた男がいた。男子サッカー部にも所属している黒部だ。黒部が善永と並走し始める。
「黒部!この炎の弾なんだが、お前のアンチ・スケープゴートでどうにかしてくれないか!?」
「難しい!そのレベルの炎の弾は、相手に押しつけるには威力が高すぎる!」
「くそっ!そうだ!お前ならわかるかもしれん!相手を索敵できる兆能力ってどんなのがある!?」
善永は、息を切らしながらも黒部に尋ねる。
「すまん!兆能力に関しては、俺もあまり詳しくなくてな!だが、この状況を考慮するに、嗅覚が怪しい!」
善永の挑戦状:心拍数の状態で、通常より速くなることを頻脈といいますが、通常よりも遅くなることを何という?
前回の『善永の挑戦状』答え:砂の美術館




