38話:砂の城
一太と本田が襲撃された次の日、善永は、篠原となぎさの2人と一緒に、体育館裏で話し合っていた。
「そんな…僕が休んでいる間にそんなことが…やっぱり、野球でのことが…」
なぎさが酷く落胆している。善永がなぎさの肩に手を置きながら言う。
「気を落とさないでくれ。これはなぎさの責任ではないからな。俺の責任だ。」
「でも…」
今度は篠原がなぎさを慰める。
「なぎさ、お前は何も悪くないんだ。皆もそう言っている。」
それでもなぎさは落ち込んだままだ。しばらくそれをじっと見ていた善永が閃く。
「そうだ!部室に皆がいるはずだ!会いに行こうぜ!」
「あんなこともあったんだ。いるといいがな…」
3人は部室に向かうため、移動を始める。途中で建物の中に入り、しばらく進み続ける。
先に異変を感じたのは篠原であった。
「おい。俺たち、どこに入ったんだ?」
「どこって…校舎でしょう。」
善永が笑いながら返答する。
「えいちゃん!この校舎おかしいよ!特に足元が!」
なぎさがそう言ったのを聞いて、善永は足元を確かめる。確かに様子がおかしい。とてもざらざらする。善永はしゃがんで、床を触った。何かの粒が善永の指にくっついた。
「こいつは砂だ!なんで砂がこんなところに!」
そのとき、天井が崩れ始めた。よく見ると、崩れているのは砂だった。大量の砂が3人になだれ込む。
「まずい!俺たちは砂でできた建物に入り込んでしまったんだ!逃げろ!」
3人は、外から見たら校舎の一部にしか見えない、砂の建物から逃げようとするが、固まった砂によって出口が塞がれていた。3人はあたふたしているが、その間にも砂がなだれ込んできている。いつ、生き埋めになってもおかしくない。
「おいおい…俺たちは砂時計の中にいるのかよ!?」
「言ってる場合じゃねぇ!このままじゃ、無事ではすまないぞ!」
善永と篠原が焦っている横で、なぎさが叫んだ。
「落ち着いてください!僕がなんとかします!」
すると、なぎさの体が光り始め、別の衣装にチェンジした。マジカル・ガールを発動したのだ。
『レタ』
なぎさは、そう唱えながら、砂でできた壁に杖を向けて放水し始めた。水が砂と混じり合い、ドロドロにさせる。
「砂の城をイメージして!水を多くすれば、ドロドロになって、崩れちゃう!これで出口を作る!」
「そ、そうか!それは名案だ!」
だが、それは一瞬にして没案になった。ドロドロになった砂が固まり始めたのだ。
さらさらの砂が流れ込んでくる。それは3人の膝下ぐらいにまで積もっていた。
「砂の状態を自在に操れるのか!俺のペインティングに似ている!」
「そうだ!篠原さん!ペンキを固めて砂が流れてくるのを止めればいいんですよ!」
「そうか!」
はっとした篠原が様々な場所にパンチし、ペンキをまき散らす。ペンキは固まり、砂の流入を止めた。
「やったぞ!後は出口を作って…」
篠原が砂の壁に右ストレートをぶつけようとしたとき、再び砂がなだれ込んできた。篠原のペンキが混ざっていて、カラフルになっている。
「なぜだ!粘性はこっちも調整できるのに!」
篠原が動揺している。
「えいちゃん!建物の外に、この兆能力の使い手がいるはずだよ!探して!」
なぎさは善永に向かって叫ぶ。その善永は、目をつむっていた。
「やっている!だが、オーラを発している奴がいないんだ!生徒会の奴もいない!」
「なんだって!?それじゃあ、これは誰の仕業で…」
なぎさが再び叫ぶ。
「誰か立ち止まっている人は?不審な人はいないの!?」
「いない!どいつもこいつも歩き去っている!…いや、2人だ!2人いる!」
「そいつらは誰だ!?」
「生徒指導の斎藤先生だ!誰かを説教しているぞ!だが、彼らのうちの誰かが犯人とは思えん!」
善永は、テレポートビジョンで砂の建物外部を見回すが、オーラを発する人物を見つけることができない。そんな中、篠原が何かを思い出すように口を開いた。
「そうだ!斎藤先生…斎藤英一先生は、一太の親父だ!!」
善永の挑戦状:世界最大の砂時計がある、島根県にある砂の博物館は何?
前回の『善永の挑戦状』答え:一条鞭法




